松本城で考えた、経済と道徳の交差点(2025/11/2 #151)
日本には、江戸時代以前からの天守閣が残っているとされる城が12か所あるそうで、それを「現存12天守」と呼ぶそうです。
先日、その一角である松本城に足を運んでみました。
以前現存天守の1つである姫路城に行って、その保存の経緯を知り感銘を受けたのですが、こちら松本城もおもしろいエピソードがあるので、今回はそれを中心に書いてみます。
新宿発で、諏訪~松本~上田をめぐり、お城のハシゴ
この旅自体は、新宿から「特急あずさ」に乗り、諏訪で一泊。
その後松本で一泊し、「特急しなの」で長野を経由して上田まで行き、上田城も見て帰ってくるという「お城のハシゴ旅」でした。


(ニデックオルゴール記念館すわのね)
鍵盤の数による音色の違いを体感できます

(右前方に「日本三大車窓」とされる善光寺平が)


松本~長野間は特急使うと1時間ほどで行け、両都市とも、東京とのアクセスもまずまず良いので、この2都市のハシゴというのも、十分できますね。
「博覧会」が松本城の保存に貢献した
では主題の松本城の話へ。
姫路城は「白」というイメージですが、こちら松本城は「黒」が際立った造り。負けず劣らずと美しいお城ですね。


こちらは徳川家康の重臣であった石川数正が、豊臣秀吉のもとに出奔したのち、この地に領地を与えられてから、元々あった城郭を整備したものとされます。
その後、江戸時代を経て、時代は明治へ。
ここで皆さん周知のとおり、多くの城が「廃城令」によって破却されていきます。
松本城も明治5年(1872年)に、当時の県が陸軍省から天守の取り壊し許可を得て、競売にかけたところ、落札されてしまい、取り壊しの危機にさらされます。
ここに待ったをかけたのが、市川量造。のちに地元新聞(信飛新聞)を発刊する人物で、彼は「天守閣保存の建言書」を提出するとともに本丸・天守での博覧会開催を提案。
実際に場所を借り受け、博覧会を実施・成功させ、その収入をもとに落札された松本城を買い戻すのでした。

当時の人も良い景色を眺められるということで、この博覧会は人気があったのでしょうねー
(それにしても今年は万博イヤーということもあってか、「博覧会」がキーワードになっている展示物に出会うことが多いですね、自分のアンテナが「博覧会」というキーワードに敏感なのかもしれませんが)
訴えるだけでなく、経済的手段と両立させた市川量造
日本全国各地、数多くの城が破却される中で、地元のシンボルたる松本城の保存に動いた市川量造。この世の中のトレンドに待ったをかけるあたりが、アウトサイダー感があるわけですが、注目すべきなのは「訴えかけるだけの運動」ではなく、経済的手段を用いて保存に導いたということです。
二宮尊徳の教えを表現する言葉として「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」というものがありますが、「美しい城を残せー」「先人達が築いた財産を壊すのかー」と叫んだところで、金銭で落札されたものである以上、戯言扱いされるわけです。
その点、市川量造の取り組みは、経済を以て道徳を成した例と言えると感じます。
昨今SDGsの名のもとに、「環境には良いかもしれないが、経済的にどうなの?」という案件が進んでしまってきたことも目につきますが、その辺の揺り戻しも来てますね。
揺り戻しのトレンドがどうなるか分かりませんが、個人的にはSDGsの理念そのものには共感するところがあり、ぜひ経済的に成り立たせる活動もできればと思っております。
ということで、今回は松本城が保存された経緯を深ぼってみました。
歴史の転換点や、その当時のトレンドと異なる動きに着目してみると、現代にも通用する示唆がありますね。残存12天守で、未踏の10天守にも今後着目してみます。
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