見出し画像

【熔ける前の井川意高物語】#11:親子とも現場重視!

井川意高氏は現在、インフルエンサーとして活躍されていますが、かつては大王製紙の社長を務め、カジノで106億円もの巨額を失い、特別背任の罪で懲役4年の実刑判決を受けたことで広く知られています。

一方で、その父であり、「大王製紙の中興の祖」と称されながらも、その功績が十分に世に知られていないのが井川高雄氏です。

井川親子と共に仕事をするという貴重な経験を持つ私だからこそ、彼らとの思い出を振り返りながら、なぜあのような事件が起きたのかについて、冷静に考察してみたいと思います。


🌳タスマニア植林プロジェクト:事業の終焉と収穫

豪州タスマニアでのJV植林は、毎年500haの植林を15年間繰り返すもので、最後15年目に植林した樹木を伐採するのが30年後という息の長いプロジェクトのハズでした。

植林と伐採のローテーションを繰り返しながら事業を持続することが、JV植林のねらいであり、日本側現地法人PPT(プランテーション・プラットフォーム・オブ・タスマニア)社が目指したものでした。

このビジネスモデルでは、伐採した原木(収穫物)をJV植林パートナーの参加比率に応じて分配し、その原木をボラル社が相場で購入して各パートナーが投資資金を回収する仕組みが採られました。

ボラル社は大王製紙にチップを輸出するサプライヤーでもあったため、収穫物が行き場を失うリスクがヘッジされていたのです。

また、当時の相場では、年間500haの植林を実施するには、1.5百万USドル(約2億円)の投資が必要とされていましたが、森林公社の土地で植林を繰り返すため、植林用地の取得費用が掛からず、日本側の現地法人の35%負担は、約5千万円程度だったと記憶しています。

この必要資金を毎年増資していくやり方でJV植林に参加しました。

現地法人へ10%出資するのであれば年間5百万円の負担であり、環境投資や広告宣伝費的な意味合いもある投資なので、参画しやすいビジネスモデルとして成立していました。

しかし、環境保護団体によるガンズ社への抗議活動が拡大し、宣伝効果どころか攻撃対象にされかねないリスクが高まってしまったのです。

シドニーオリンピック開催の2000年に井川高雄氏・意高氏の賛同を得てスタートしたこのプロジェクトは、2015年にJV解消に至りました。

それでも、植林してきた財産として樹木が残っていたため、伐採した原木及び立木(樹木)をJVパートナーの参加比率に応じて分配できました。
伐採しない立木の現在価値分も含めて木材チップに換算して分配する撤退スキームに合意することができ、全てのパートナーが元本割れせずに出資者へ投資資金を返済することができました。

海外プロジェクトにおける撤退の難しさと交渉次第では円満な撤退ができる経験は会社にとって大きな収穫でした。

🌳現場主義のリーダーシップ:井川意高氏の経営スタイル

植林は会議室で行われるものではなく、現場で行われているその臨場感が非常に重要です。井川意高氏は、世界中を飛び回り、自ら植林現場を確認し、その経験に基づいて経営判断を下していました。

このJV植林発足時の現場重視の姿勢が、事業を終わらせる時にも役立ちました。既に意高氏は大王製紙を去られた後でしたが、タスマニア森林公社の協力を得て迅速にJV解消ができた幸運をもたらせたのも彼の目利き(森林公社のマネジャーが元大王社員であり彼をH&PCの英語教師に採用した目利き、森林公社の誠実さを見抜いた目利き)のお陰かもしれません。

井川意高氏の現場重視の姿勢を表わす事例として、例えばこんなことがありました。


意高氏が三島工場に生産担当副社長として着任した直後に、下請けのパルプ漉き取り現場で災害が発生しました。

パルプをワイヤーで縛ってラップする製造工程で、被災者が切れていたワイヤーを外すのにペンチを使わず手で外そうとして怪我をした省略行為が災害原因とされていました。

この件で報告を受けた意高氏は、自ら現場を訪れ、設備のメンテナンスが不十分でワイヤーが頻繁に切れていた状況を確認しました。

頻繁に切れる設備不良を放置すれば、生産を落とさないように操業員が本能的にペンチよりも素手で取り除こうとする省略行為をしてしまう動機が働くと考えた意高氏は、直ぐに動きました。

工務部の部長を自室に呼び「下請け事業者に貸与している設備を全てチェックして、保全が不十分な箇所を私に報告するように」と指示しました。

この公平で客観的な調査を経て、適切な修繕予算の割り振りを指示したことは、下請け事業者の労働環境を改善するだけでなく、工場全体の安全性向上にも寄与するものでした。

このようなバランス感覚や現場重視の姿勢は、父である井川高雄氏の影響も大きかったと感じています。

🌳5W2Hで考える:意高流の指針

よく5W1H(いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように)が報告の基本と言われますが、意高氏はこれに「How much:いくらで」を加えた5W2Hで報告するよう工場の管理職を指導していました。

井川高雄氏は、報告書の「ロジック」を重視し、文章を通して人の能力を判断していましたが、意高氏は報告書の内容の具体性を重視し、「How(どのように)」と「How much(いくらで)」を特に重視していました。

例えば、「~します。~させます。」という報告に対して、意高氏は必ず「5Wはあるが『どうやって?』がない」、「会議をやったから収益改善できるものではない」「リソースをどうやって割くのか『いくらで?』やるのか、どれだけのメリットを出すのかが含まれていない」と指摘することが多く、次のように厳しく伝えていました。

「君たちの報告する目標や施策は、今期の報告資料の年度だけを変えて、来期にも再利用できる内容だ。前期の目標に対する実績の総括や反省がなく、美辞麗句を並べているだけだ。これでは、次のステップに繋がらない。」と、意高氏は常に「どうやって?」「いくらで?」という要素に拘り、具体的な計画を求めていたのです。


次回は、井川親子が社員育成の基本として重視していた要素についてさらに掘り下げてみましょう。

つづきを読む
第1話に戻る

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
よろしかったら「スキ」🤍ポッチンをお願いします😊😊
コメントなんかいただけたら、飛び上がって喜んじゃいます😂😂

じーじの投稿のアーカイブです👇

🌳じーじと孫娘との思い出づくりのシリーズ🌳
【じーじのボヤキ】

🌳
じーじの初期投稿3点セット+時代の振り返りシリーズ🌳
その時あなたは何してた?(1985年~2020年)
【日米成長力格差】~日本は絶対に復活するんだ~
【気候変動問題の盲点】~森林大国の日本だからこそできること~
【みんなで地球を助けよう】~脱炭素社会はZ世代のあなたが創る~

🌳
じーじが中央官庁のHP等から情報をピックアップしたシリーズ🌳
【じーじは見た!】サイトマップ第1弾
【じーじは見た!】サイトマップ第2弾

🌳
じーじの時事川柳シリーズ🌳
【note川柳】

🌳
じーじが感激した話のシリーズ🌳
【じーじ感激!】

😄
Z世代応援団のじーじをよろしくお願いします😄
Z世代応援団のじーじの自己紹介⁉

その他は
【じーじのもろもろ】のマガジンあるいは【じーじの準備】のマガジンをごらんください。

いいなと思ったら応援しよう!