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【熔ける前の井川意高物語】#17:大王製紙の発展を祈って!

井川意高氏は現在、インフルエンサーとして活躍されていますが、かつては大王製紙の社長を務め、カジノで106億円もの巨額を失い、特別背任の罪で懲役4年の実刑判決を受けたことで広く知られています。

一方で、その父であり、「大王製紙の中興の祖」と称されながらも、その功績が十分に世に知られていないのが井川高雄氏です。

井川親子と共に仕事をするという貴重な経験を持つ私だからこそ、彼らとの思い出を振り返りながら、なぜあのような事件が起きたのかについて、冷静に考察してきました。いよいよ最終盤です。


🌳大王製紙の一OBとしての想い

インフルエンサーとなった井川意高氏は、大王製紙の経営陣に厳しい言葉を投げかけることはあっても大王製紙やエリエールブランドを貶めるような発言はしていないと思います。

父井川高雄氏から託された井川家3代目の大王製紙社長でありながら、ギャンブル依存症に罹ってしまい、刑務所に入ることになってしまったことも、今や後悔というよりもインフルエンサーとしての強みに変えて、若い方の人気者になっています。

そんな井川意高氏の想いがどこにあるのかは分かりませんが、大王製紙が再び羽ばたき、インフルエンサーとして、いじり甲斐のある会社に成長してもらいたいと思っていてほしいです。

私は、41年間も大王製紙にお世話になり、その内の30年近くを井川高雄・意高親子と一緒に成長できたこと、9.16事件後も微力ながら社業に貢献できたこと、いろいろな人との縁にも恵まれ、昭和人らしく一つの会社を勤め上げることができたことに感謝しています。

そして、これからは、社内持ち株制度で蓄えた大王製紙株の株価が上がってPBR1倍以上へ成長することを期待する一株主として、また、一人のOBとして陰ながら応援していきます。

🌳井川高雄氏との日々:未来を語る経営哲学

井川意高氏には、原料調達や植林、そして三島工場で直接仕えた思い出は尽きませんが、やっぱりお父さんの井川高雄氏の印象の方が強烈です。

9.16事件後にエリエールハワイから帰任した私に、一部の役員からは「あいつは井川高雄派の隠れ信者」と揶揄され、警戒されているぞと教えてくれた方がいました。

ただ、私が賢明にハワイ事業の高値売却に奔走する姿を見て、そんな噂もやがて聞こえなくなっていきました。

9.16事件によって、井川高雄氏が築いていた「子会社から上場会社の大王製紙を支配する構造」やその構造に潜む錬金術などを知り、腹も立ちましたが、今となってはカリスマ経営者に直接鍛えられて仕事ができたことは幸せだったと思っています。

「お前、わしの顔色を窺いながら返答を決めたな。わしを値踏みしたな。出ていけ。」

「(オレゴンチップターミナル社で長年チップ調達を担当しくれた現地従業員の引退を報告した後に電話が掛かってきて)ディックと言ったかな?夫妻で日本に呼んでやれ。京都や三島工場を案内してやるんだぞ。」

「経営とは考えることなり、経営とは問われなくても自己の見解を主張することなり、いいか、お言葉ですがといわんといかんぞ。」

「経営とは未来の当てっこゲームだ。何が正解かは結果が出るまで分からん。それでも見解を戦わせて未来を当てっこするのが経営だ。

入社3年目の1日秘書で「ひとが思想を話しているのにメモを取らんと覚えられんのか?メモなんか取るな。」と叱られて以来、何度叱られたか分かりません。

いろいろと投げかけられた言葉一つひとつが今は懐かしく、私のサラリーマン人生の良い思い出になりました。

🌳新生大王製紙へのエール!

私が言いたかったことがどこまで正確に伝わったかは分かりませんし、十分に語れたかも分かりません。

「お前、10人に伝言ゲームをして、一人目に”誰それに足を踏まれて痛かった”と伝えたことが、10人目には”誰それがあの人を殴り倒したらしい”と伝わるのが言葉の難しいところだ。言葉の解釈が、人の見識や経験によって違ってくる。だから1回言ったくらいでは駄目だぞ。」と井川高雄さんからよく指導を受けたとおり、人に気持ちを伝えるというのは難しいものです。

私がこの連載で伝えたかったことは、中興の祖である井川高雄氏を大王製紙にいなかったことにするのではなく、その経営哲学を知る方々がまだ社内にいる間にそれを言語化し、認める功績は認め、反省すべきことは反省することが大事だということです。

井川高雄氏・意高氏親子にだけ9.16事件の責任を押し付けるのではなく、自分たち自身も反省して、そうやって初めて新生大王製紙が誕生するのではないかとの問題提起でした。

どのように読まれたか、不安もありますが、私は井川親子時代は良かっただとか、今の経営陣に不満があるとか、誰かを批判したり、非難するつもりは全くありません。

ただ、これからの大王製紙に必要なのは、100人いたら99人が正解が分かることを判断するだけの経営ではなく、多様な意見に耳を傾け、マイノリティな意見の中にも光るものはないかと議論を戦わせて「決断」できる経営を目指してほしいだけです。

チャレンジする会社としてこれからも成長し続けてほしいと願っています。

41年間悔いなく働き続けることができたことに、今は感謝の気持ちで一杯です。楽しく働くことができました。ありがとうございました。

頑張れ大王製紙!


長い連載にお付き合いいただき、ありがとうございます。
いよいよ次回が最終回です。

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