サクッとを読む名作と水彩画。沢木耕太郎『深夜特急』 /旅には旅の生涯がある
沢木耕太郎『深夜特急』
ある朝、目を覚ました時、これはもうぐずぐずしてはいられない、と思ってしまったのだ。
沢木耕太郎さんは『深夜特急』の冒頭で、今すぐ行動を起こさなければならないと言う、強い意志が表明されています。
『深夜特急』は、ノンフィクション作家の沢木耕太郎さんが、1970年代にインドのデリーからロンドンまでを、乗り合いバスで旅した紀行文。
「かつてシルクロードがあったのならば、現代ならバスぐらい通っているだろう」と考えて、詳細な計画は立てずに、勢いで日本を飛び出した26歳の主人公「私」の物語です。
それは沢木耕太郎さん自身の旅行体験に基づいた紀行文で、「バックパッカーのバイブル」と称され、多くの旅人たちに影響を与えて来ました。
沢木耕太郎さんの独特の乾いた文章で綴られる本書は、余計な感情の記述がなく、淡々と語られているにも関わらず、
その土地の空気や、湿気や臭いと言うものまでもを感じさせてくれます。
そして、中盤ではこんな一節で旅を総括しています。
旅がもし本当に人生に似ているものなら、旅には旅の生涯というものがあるのかもしれない。人の一生に幼年期があり、少年期があり、青年期があり、壮年期があり、老年期があるように、長い旅にもそれに似た移り変わりがあるのかもしれない。
そこには、旅を通じて得た体験や感情が込められており、沢木耕太郎さんの人生観や哲学が深く表現されていました。
そんな感情を『深夜特急』では、旅とは“さすらい”だと、沢木耕太郎さんが語っているようでした。
水彩画は『深夜特急』のイメージを形にしたものです。
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