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水彩詩集 私の本棚は誰かの孤独と繋がっている⓫住野よる/君の膵臓をたべたい

私の本棚は、誰かの孤独と繋がっている。
その書物は、誰かに読まれることを待っているのか?

この詩と絵は、住野よる『君の膵臓をたべたい』からインスパイアして、その世界観を形にしたものです。】

秘密の文庫本は『共病文庫』


白い病院のベンチで拾った 誰も知らない、
私の「共病文庫」。
 
最悪の運命が書かれたノートを、
仲良し君は「あ、そう」と、ただ淡々と受け止めた。
 
私の秘密を知った仲良し君。
 
私は「可哀想な病人」なんかじゃない。
みんなと同じ高校生だよ。
 
そんな私を、仲良し君だけには、
ただの「山内桜良」として見てくれた。
 
仲良し君の、その眼差しと優しさは、
私の凍えそうな心を、どれだけ温めてくれただろう。
 
「ねえ、私がいなくなったら、お葬式で泣いてくれる?」
 
「泣かないよ。代わりに君の膵臓をたべたいって言うかもね」
 
「ふふ、それ、最高のプロポーズじゃない?」
 
他愛のないおしゃべり。
 
クラスの誰にも秘密の、二人だけの旅路。

私のわがままに、あきれながらも付き合ってくれる
不器用で、優しすぎる、私の仲良し君。

仲良し君は言ってたね。
「僕なんかが傍についているのは偶然であって、
流されているだけ…」
 
「違うよ、偶然でも流されてもいない。
君がして来た選択と、私がして来た選択が、
私たちを会わせたの」
 
「私たちは自分たちの意志で出会ったんだよ。
私たちはみんな自分で選んでここに来たの」
 
あれは私の本音だったんだ。
仲良し君には、私の気持ちが伝わったかなぁ。
 
いつでも笑っていたのはね 弱音を吐いたら、
本当に崩れてしまいそうだったから、
 
でも、仲良し君といる時だけは、
運命の秒針の音を、忘れることができたんだ。
 
けれど、桜の季節はあまりにも短くて――
届かなかった、本当の言葉。
 
…   …   …   …   …   …
 
君がいなくなった世界で、
僕は、遺された小さな手紙を見つける。
 
そこには、君が一度も僕に見せなかった、
震える文字と、まっすぐな本音で溢れていた。
 
「本当はね、死ぬのがめちゃくちゃ怖いよ。  
でも、仲良し君が私に生きる意味をくれた。  
仲良し君と過ごした時間は、私の宝物。」
 
「あぁ~……君の膵臓をたべたい」
 
溢れ出して止まらない涙の向こうで、
ようやく気がついたんだ。
 
君がどれだけ勇敢に、僕の手を握りしめていたか。
 
桜は散っても、君がくれた温もりは消えない、
僕の胸の中で、君は今も、悪戯っぽく笑っている。


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