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【サイドストーリー】「今度、虹を見たら」~シンゴのひとりごと(後編)~


🌈このお話は連載中の恋愛小説
「今度、虹を見たら」第四話の
「シンゴ視点」のサイドストーリーです。
まだ読んでいない方は、こちらからぜひ▼


🌈「シンゴのひとりごと」前編はこちらから▼


〜シンゴのひとりごと(後編)〜

あの「ワッフルの件」以来
俺は、気が付けば彼女を目で追うようになっていた。

一年からずっと同じクラスだったけど、
特に存在を気にしたこともなければ、
ほとんど話したこともなかった彼女。

それなのに

何が好きなんだろう?
どんな音楽を聴くんだろう?
どんな本を読んでいるんだろう?

そして、

好きな人は……
彼氏はいるのだろうか?

気付けばそんなことを考えるようになっていた。


ある日、休み時間に席を離れた彼女の机の上を見ると、一冊の本が置いてあった。

淡いブルーの表紙の上の方に
「銀色夏生」という、まるで四字熟語のような名前が書いてある。

この本の作者なのか?

その表紙のブルーが、
彼女の静かで淡いイメージと重なって、
俺の中に一瞬、戸惑いのような、
説明のできない感情が、静かに湧き上がった。


その日の帰り、俺は本屋に立ち寄ると
「銀色夏生」を探した。

小説やエッセイのコーナーに、それはあった。
彼女の机にあったのと同じ本。

パラパラとめくってみると、
中身は写真と詩のようなもので
余白の中にポツンポツンと、
文字が置かれている。

俺はその本を持って、レジに向かった。


その日から俺は、
「銀色夏生」を持ち歩くようになった。


体育会系でガサツな俺らしくないその本を、
友達は「おまえには似合わない」とからかった。

はじめは俺にも、その本の良さや魅力なんて
これっぽっちも理解できなかった。

でも、その静かで淡い世界観を、
彼女と共有しているような気がして
俺は少しずつ魅了されていった。



三年生になって、
部活を引退したある日の放課後。

図書室に寄ってみると
彼女の姿が見えた。
あのブルーの文庫本を開いている。


「あ、銀色夏生」

俺が声をかけると、彼女は少し驚いた表情で、
座ったまま俺を見上げた。

女子に声をかけるのに、
こんなに緊張したのは初めてかもしれない。
声のトーンが、いつもより少し高かった気がする。

それをきっかけに、
俺は彼女とよく話すようになった。

「銀色夏生」は二人の共通の話題になった。



彼女は俺と話すとき
いつも楽しそうにしてくれている。


唯一気になるのは、
俺のことを「さん付け」で呼ぶことくらいだ。


「シンゴでいいよ。同級生なんだから」


そう言っても、彼女は呼び方を変えなかった。


ある日の放課後、友達と本屋に寄った時の事だ。

俺が懲りもせず
銀色夏生のコーナーをチェックしていると、

「シンゴ、おまえサラのこと好きなんだろ?」

とそいつに言われた。

「え、なんで?」

「だってお前あいつとよく話してるし、
今だって銀色夏生の本探してるんだろ?」

「……」

「図星かよ。お前ホントわかりやすいよな。」

その友達は笑った。

「でもな、シンゴ。あいつはやめとけ」

「え、なんで?」

「だってあいつ、彼氏いるよ」

「……え」

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