保健師に求められるスキルNo1の保健医療福祉計画の策定・実施・評価(後編)
宮崎県立看護大学の大学院で講義をしました。
「保健医療福祉行政論」における「保健医療福祉計画の策定・実施・評価」の後編です。
保健師にとっては、計画の策定、実施、評価は最も重要なスキルであり、迅速な計画策定能力は必須です。

行政の計画の策定・変更は、5年ごとの節目に行われることが多く、人脈形成や多様なスキル習得の貴重な機会となります。
予算獲得のためにも計画は不可欠です。

全国の保健師約6万人のうち約7割が行政に所属しており、行政保健師にとって計画策定は必須業務です。

病院や事業所に勤務する保健師も、単なるサービス提供に留まらず、計画立案を通じて経営層と連携する能力が求められます。
計画策定能力がなければ、対人支援業務に終始し、その存在意義が問われる可能性があります。
保健師には、直接的な対人支援に加え、企画立案ができるプランナーとしてのスキルが重要です。

行政課題は政策となり、必ず計画として具体化されます。
地方自治体には、基本構想(10年ごと)、基本計画(5年ごと)、実施計画があり、これらを総称して「総合計画」と呼びます。

保健師は就職先の自治体のこれらの計画を理解し、保健医療福祉の要素を積極的に盛り込む努力が求められます。
施策が生まれるのは既存計画の見直し時期です。
計画策定の成功には、
「意気込み」
「怠け心の排除」
「時間管理」
「インテリジェンス活動(情報収集)」
「高邁な理想」
「科学的根拠」が重要となる。


計画はプレゼンテーション能力とPowerPointを活用し、1枚にまとめるなど分かりやすく提示することが効果的です。

地域における保健師の保健活動に関する指針にも「各種保健医療福祉計画策定および実施」が明記されており、保健師はこのスキルを習得し、計画策定と実施を行う義務があります。

計画策定は組織横断的なチームで行い、項目選定と情報収集(インテリジェンス活動)が重要です。
委員会でのプレゼンテーションや、重要人物への事前の根回しが不可欠であり、分かりやすく関係者全員が納得できる「腹落ち」する計画が「良い計画」とされます。
情報収集は、既存資料の活用に加え、地域の実態把握(現地訪問、住民の声、歴史、文化、方言の理解)が極めて重要です。

CDCの「靴疫学」に示されるように、足で稼ぐ現地での情報収集が基本となります。
インタビュー調査やアンケート調査もエビデンスに基づく計画策定の根拠となります。
日頃から地域を歩き、訪問し、サービスを提供する中で、常に情報収集の意識を持つ「インテリジェンス能力」が求められます。

保健師の活動に密接に関連する主要な計画として、以下の4つが相互に調和して策定される。
1. 健康増進計画: 健康増進法に基づき、国の「健康日本21」を参考に県や市町村が策定する。
2. 医療計画: 医療法に基づき、当初の病床数管理から「6疾病5事業」(がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患、感染症と、救急、災害、へき地、周産期、小児医療)へと内容が拡大された。
第8次医療計画は2024年から6年間。
3. 医療費適正化計画: 高齢者医療確保法に基づき、持続可能な医療提供体制と財源確保を目指す。特定健診・特定保健指導の推進やデータヘルス計画との連携が特徴。
4. 介護保険事業支援計画: 市町村が策定し、県が集約する。
3年ごとに改定され、現在は医療計画と期間が調和され6年周期で策定される。

これらの計画は、老人福祉法、アルマータ宣言(プライマリーケアの提唱と市町村保健師への転換)、老人保健法(一次予防の確立)、健康日本21、高齢者医療確保法(二次予防)、介護保険法・ゴールドプラン(三次予防の完成)といった歴史的変遷を経て発展してきた。



特に、寝たきり老人問題への対応としてリハビリテーションの普及が進み、介護保険制度の基礎が築かれた。

健康増進法、医療法、高齢者医療確保法、介護保険法は、いずれも国民に対し、健康保持増進への努力(自助)と、地域社会全体での支え合い(連帯)を促している。
健康日本21の新たな目標には「誰一人取り残さない健康づくりの展開(インクルージョン)」と「より実効性を持つ取り組みの推進(インプリメンテーション)」が掲げられている。

計画の評価は、以下の4つの視点で行われます。
ストラクチャー評価: 人的資源、予算、施設設備、制度などの体制。
プロセス評価: 目標達成に向けた過程の質(優先順位、協力体制、予算調整)。
アウトプット評価: 量的な成果(作成物、達成数)。
アウトカム評価: 最終的な成果や影響(行動変容、健康状態改善、医療費変化)。
計画は毎年評価し、PDCAサイクルを回すことで、より良いものへと発展させていくことが重要です。
小学生の時の夏休みの計画を評価してみるとこんな感じでしょうか。



特定健診・特定保健指導計画の評価を示しています。

今後の行動項目
就職先の地方自治体の基本構想と基本計画を理解する。
保健医療福祉に関する要素を、基本構想や基本計画に積極的に盛り込む努力をする。
企画立案、情報収集、プレゼンテーション、根回しなど、計画策定に必要なスキルを習得・向上させる。
直接対人支援だけでなく、企画立案もできる多角的な能力を持つ保健師を目指す。
地域における保健師の保健活動に関する指針(特に計画策定・実施)を遵守する。
計画策定における組織横断的なチーム編成とミッション付与を検討する。
計画策定のための情報収集活動(インテリジェンス活動)を継続的に実施する。
委員会でのプレゼンテーション資料の作成と、重要人物への事前の根回し(説明)を徹底する。
議会等での説明に向けたプレゼンテーション能力を強化し、PowerPoint資料を準備する。
計画策定におけるアンケート等の調査を実施し、そのデータに基づく計画の正当性を確保する。
日常的な地域活動(訪問、サービス提供)を通じた情報収集意識を維持する。
担当地域への積極的な現地訪問と、地域の歴史・文化・風習の理解を深める。

笑ってしまったのは、この記述です。
AIの配慮に脱帽しました。
次回の講義において、機材の事前確認と設定を徹底し、マシントラブルが発生しないよう努める。
音声トラブル発生時の代替手段(例:別のPC、スマートフォンの活用)を検討し、準備する。
お後がよろしいようで。

