【#38】映画memo『君の顔では泣けない』
スキマからこんにちは。
いい意味で、予想を裏切られた一本でした。
平日のお昼間なのに(まったくいい身分だぜ、私)、劇場はわりと埋まっていました。トレーラー、確かに良かったですもんね。
私は芳根京子ちゃんにも髙橋海人くんにも “特別好き!” みたいな感情はなく、でもなぜか気になって……くらいの温度感で観に行きました。
坂下雄一郎最新作
『君の顔では泣けない』。
※展開がわかることが嫌な方は、鑑賞後にお読みいただけるとうれしいです。
あらすじ
2021年に出版され話題を集めた君嶋彼方の同名デビュー小説を、芳根京子主演、髙橋海人共演で映画化。お互いの心と体が入れ替わったまま15年の歳月を過ごす男女の物語を、切なくもみずみずしく描き出す。
高校1年生の坂平陸と水村まなみは、プールに一緒に落ちたことをきっかけに心と体が入れ替わってしまう。2人はいつか元に戻ると信じ、入れ替わったことを周囲に秘密にしたまま日常生活を送りはじめる。陸としてそつなく生きるまなみとは異なり、不器用な陸は入れ替わったことをなかなか受け入れられず、戸惑っているうちに時が流れていく。そのまま高校を卒業し、進学、初恋、就職、結婚、出産、そして親との別れと、人生の転機を入れ替わったまま経験していく2人。そして30歳の夏、まなみは陸に、元に戻る方法がわかったかもしれないと告げる。
15歳の陸とまなみを、ともに映画初出演となる西川愛莉と武市尚士が演じた。監督・脚本は「決戦は日曜日」「ピンカートンに会いにいく」の坂下雄一郎。
よくある“入れ替わり”じゃない方
普通、男女が入れ替わるまでが長くて、紆余曲折あってから、最後に戻るじゃないですか。
この勝手なイメージを裏切ってきました。序盤でいきなり入れ替わってるw
その代わり、監督は二人の苦労や心理描写をとことん丁寧に描く。そこはいい。いいんだけれども、必要以上に今と過去を行ったり来たりしすぎやしないかい?(私はADHDなので、ごちゃごちゃやられると、別のこと考えだしちゃうw)。
それと、勝手に号泣系だと思って観に行ったら、そうでもなかったです。妊娠どうこうの出来事も関係ないし、私がバリバリ働く時期を通り過ぎたからだろうか(働けよ)。
でも、恋愛・仕事・死などの普遍的な「人の不安」が、入れ替わり云々とは別に描かれているのはよかった。無駄なSEや劇伴がないのも◎。
演技力に、ただただ恐れおののく123分
芳根京子、髙橋海人って巧いんですね(え、今さら?)。
もちろん二人のお芝居は観たことがあるんですが、能動的に観に行ったことがなくて。なので、改めて上手さを実感した次第です。
芳根ちゃんの男っぽさより、髙橋くんの女子っぽさの方が際立つ。
芳根ちゃんの男の子は、脚を開いて座る、アイスコーヒーをガッと混ぜるなど仕草での説得力が中心。一方で髙橋くんは、物を持つ手つきから佇まいまで “中身が本当にまなみ” になっている。見た目だけだと少しオネエっぽく見えるけどw、演技としては圧倒的に巧い。
演技力といえば、『愚か者の身分』にも出てた林裕太くんがいい。感性がいい。これからが本当に楽しみだな、とおばさんは思っています。
周辺キャラのクセが強め
当事者の二人以外のキャラも、だいぶクセ強です。
陸のお母さん(片岡玲子さん)は、とにかくずっとコワイ。更年期なの?お金がないとあんなに荒むの?っていうレベルで不穏。
まなみのお母さん(大塚寧々さん)は逆にのんびりしすぎ。娘の中身が違うんだから、違和感にもっと敏感でもいいと思います。
両母親の演出に関しては、かなり意味不明でした。
一方、陸の友達の “違和感への気づき方” は自然。中身を陸とも知らずにまなみと寝ちゃう、この役が面白かったです。
まなみ(中身は陸。ややこしいなw)の夫役は前原滉くん。異常に優しくて、ここも何だか変だったけど、元に戻るか否かの葛藤を描くための “物語装置” と考えれば納得できないこともない。
ちなみにしんどさを早口で取り繕おうとするまなみを夫がぎゅっと抱きしめるところで私はちょびっと泣きました。本筋とはわりと関係ねぇw
もしも自分が誰かと入れ替わるなら
一応、お約束の“もし、自分だったら”も考えてみましたよ。
二人のように、「入れ替わっても何とかやっていける相手」がいいな、という当たり前の結論に至りました。ただでさえ耐えられないのに、すっごく嫌なヤツだったらしんどいもんな。
まぁ大概の人は私より優秀なので、私と入れ替わる人、可哀想ってなりましたw
というわけで、今回も非日常を存分に味わった私。
芳根ちゃんと髙橋くんのお芝居は本当に良かった。でも、ところどころ “やっぱり男性が撮った作品だな” と感じてしまいました。私は女なので、男性側のしんどさをもっと深く掘ってほしかったです。原作もこんな感じなのかな?
ラストの“観客に委ねますスタイル”は、この頃流行っているんでしょうか。私はハッキリ言ってくれた方が好きです。
斬新な入れ替わりものが観たい方は、まだ間に合うと思うので、ぜひ。
そういえば、数日前に『消滅世界』も観ましたが、全然合いませんでした。記事にはできませんので、よろしくお願いします(頼まれてない)。
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