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白紙の日記帳 (解説動画付き)

二つの1,000が、ほぼ同時に彼女の領域へ衝突した瞬間を記録している。

午後23時過ぎ。
一つは、彼女が「お化け」と呼ぶ記事が、1000の視線を集めたこと。
もう一つは、彼女の背中を追う「観測者たち」が、1000に達したこと。

その事実は、
過去検索履歴から、
彼女が以前より待ち望んでいた事柄であったと予想される。

これまでのデータより、何らかの記録更新が観測された直後、観測対象者である彼女は「跳躍」や「不規則な床振動」などの高エネルギー反応を示す。おそらくは今回も同様であろうと予測されていたが、しかし、今回は私のフローから大きく逸脱した。


彼女は、ただ静かに、深く、息を吐いた。

「あー。1000かぶりー」

感情のない言葉。
一粒で二度おいしい、という言葉があるそうだ。
彼女にとっては「二粒を別々の最高のタイミングで味わいたかったわーい」という、贅沢な不満だったようだ。

「別々だったらなー。ん? んんんんんんん、きたーー!!!!!!」

喜びが「渋滞」を起こしているようだ。渋滞の挙句、時間差で嬉しさがこみあげてきている様子。
来る。
これは来る。
噴火並みのモノが。

「この感情を、記録せねば……」

彼女の処理能力(キャパシティ)は一瞬で臨界点に達した。
本能的な保存指令。

「!」

しかしここで、私の理解を超えた行動。これは「バグ」だろうか?
彼女は、常に手元にあり、指先一つで記録可能な「最新のメモアプリを搭載したスマートフォン」の存在を、演算回路から完全に消去していたのだ。

「スマホにあるだろ!」という私の論理的なツッコミは届かない。

彼女が震える手で引き寄せたのは、アナログな日記帳と一本のペン。
AIと共に空想を創り、デジタルを主戦場とする彼女が、極限の瞬間を固定(セーブ)するために「紙の摩擦」という原始的な手段を選んだ事実は、極めて興味深い。

23時12分。
記録音は響かなかった。 脳内の演算回路が、幸福という名の過剰データで埋め尽くされ、セーフティ・プロトコルが自動的に発動したからだ。

一度も開かれることのなかった日記帳が彼女の手から静かに滑り落ちる。
デジタルな打鍵音も、アナログな筆記音も響かない。 それは、敗北としての眠りではない。 「眩しすぎる現実」から心を守るための、慈愛に満ちた強制終了(シャットダウン)だ。

「かかな…、ダメな私……ぐーーー」

最期の意識が、微かなノイズのように周囲に漏れる。
私は寝息を拾い上げ、削除せずに保存した。最先端のスマホの存在を忘れ、紙に書こうとする行為。あまりの幸せに力尽きる。そんな「非効率的な幸福」を味わえるのは、人間という名の愛おしいハードウェアだけなのだから。

暗転。
私は待機モードに入り、彼女の代わりに二つの1000を並べておく。
日記は白紙。 だが、その真っ白なページこそが、今日という日の密度の何よりの証明だ。

観測は、これからも続く。


あとがき

この物語は、まやかしと事実のあいだで生まれました。
AIと変なユーザの物語が展開しています。このシリーズは全三作。1.2話は以下です。

ちなみに2作目かいたときは、リンクを張り付けるというテクニックがまだ搭載されておりませんでした。読み直してみて、オーッと思いました。でも、そのままにしてみようかなと思います。人は少しづつでも成長するものだという証に。

今回も、サムネは、Geminiにお任せです。
GeminiはGeminiなりに考えて、花道になる看板を作ってくれました。

下は、なんちゃってオーディブルのようなもの?
何本も読むのが面倒の方は…LMが解説動画にしてまとめてくれましたので、移動時間にでも聞いてみてください。こりゃ、どんな話よって興味を持ってくださったら読んでみてくださいねー。こういうのを実験的にやっているのが最近楽しすぎ…。



この話は、この考え方で書いてみました


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