紙芝居3 いちごちゃん時計を飛び出した日|エピソード3:赤いマントと、空とぶ練習
「あったーーー!」
その手には、キラリと光る銀色のネジ。

「すごい! 本当にあった!」
アポロが叫びます。
パチパチパチパチ!
ひめが全力で拍手を送ります。
みんな、ニコニコ、大喜びです!
ネジが見つかったからには、約束を果たさなきゃ。
いちごちゃんは空を見上げて、大きく息を吸い込みました。
「ひこうきさーーーーん! ネジ、あったーーー! おりてきてーーー!」
「りょーーかいー!」
上空をのーんびりと回っていた青い飛行機が、ゆっくりと近づいてきます。
エンジン音が、ゴーゴーゴー!
だんだん大きく聞こえてきました。
「なんだこの音?」「風かしら?」
アポロとひめは聞いたことのない音に不安そう。
もちろんいちごちゃんも不安そう。
ゴーゴーゴー。
飛行機の風で、いちご畑の葉っぱが、バサバーーン! バサバーーン!と、
大きな波のように暴れ始めました。

いちごちゃんと、にゃんずたち、今にも吹き飛ばされそうです。
「うわーーーー! どうなってるんだ!」「吹き飛ばされる!!」
アポロとひめが悲鳴を上げています。
「お願い。飛行機さん、お空に戻ってーーーー!」
ヒューン。
飛行機さんは、慌てて空へ戻っていきました。
「来いって言ったり戻れって言ったり、忙しいなぁ」
ど、どうしましょう。
飛行機さんは、ここには着陸できません。
うーん。
うーん。
うーん。
三人は腕組みをして考えます。
うーん。
うーん。
うーん。
誰も何も思いつきません。
グゥ。
誰かのお腹が鳴りました。
「……お腹すいたね」
「うん」「うん」
「じゃぁ、これ。みんなで食べよ」
いちごちゃんは、ポケットに残っていた最後のおやつを取り出しました。
真っ赤ないちご。
いちごちゃんのポケットには残り一個しかありませんでした。
飛行機の風で飛ばされてきたいちごを、いくつかいただいて…。
みんなでいただきまーす。

「あー、おいしい」
甘いいちごを食べたら、少し元気が湧いてきました。
いちごちゃんだけかもしれませんが…。
アポロとひめはお口をもぐもぐさせながらも、少し元気がないようです。
「どうしようかなぁ」
いちごちゃんがつぶやいたその時です。

空から、赤いものが落ちてきました。
「なんだろう、これ?」
それは、ツヤツヤした赤いマントでした。
空の上から飛行機さんの声が聞こえます。
「いちごちゃん、それでここまであがっておいで」
ええ? これを?
どうやってーーー?
「首にまいてごらん?」
言われたとおりに、いちごちゃんは赤いマントを首に巻きました。

「きゃーーーーーぁ! 浮いた! 浮いたよ!」
いちごちゃんの身体が、宙に浮きました!
「ここまでならそれで来られるだろう。早くおいで、いちごちゃん」
飛行機さんは、そのまま行ってしまいそうです。
「俺たちの分はねーのかよ! 約束したろ!」「そーよ、約束よっ」
「あ……そうだった」
いちごちゃんは、困ってしまいました。
マントは一枚。
みんなで三人。…足りません。
「飛行機さん、にゃんずの分もマントをちょうだい」
「困ったなぁ。マントは一枚しかないんだよ」
困ったなーーー。
しばし困り顔。
みんなで困り顔。
頭を振りながら、どうしよう、どうしよう。
空に浮かびながら困り顔。
そのときです。
「いいこと思いついた! 二人とも、私と手をつないで!」
アポロは、目を丸くしました。
「おおぃ! 落ちたらどうするんだよ!」
「マントは一枚。空を飛ぶにはこれしかないわ」
アポロとひめは、顔を見合わせて、うなづきました。
「まままままま、まずは低いところから練習しろよ」「しろよー」
アポロとひめは、震える声で言いました。
「もっちろん。まかせて!」

「わーーーー。 すごーい!」
「きゃーーーー!」「お、落ちるーーーぞーーーぉ! 」
「ほら、もっと強くつかまって!」
「む、無理だよーーー!」「きゃっほーい★」
たのしそうなんだか、こわそうなんだか。
いちごちゃんと二匹の猫がお手手つないで、ワチャワチャ、バタバタ。
三人の飛行訓練は、とっても騒がしいですねー。
つづく
このお話は、ここから
紙芝居:いちごちゃん時計を飛び出した日 エピソード0|MeiMei
【MeiMeiの制作ノート:裏話】
エピソード3を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
今回の物語を形にする上で、私が特に大切にした「こだわりポイント」を少しだけご紹介します。(今回、メモ書きしたものをGeminiに渡して、さも私のようにあとがきを書いてくれました)
「音」で感じる冒険: 飛行機の「ゴーゴーゴー!」という迫力ある音と、いちごを食べる「パクリ。もぐもぐもぐ。」という静かな音。この音のコントラストを大切に、読み聞かせた時の臨場感を意識しました。
三人で悩む「うーん」の時間: ネジが見つかったのに、飛行機が降りてこられない。三人が腕組みをして「うーん」と悩むシーンは、読んでいるお子さんも一緒に「どうすればいいかな?」と考える「間」を作っています。
「不器用な飛躍」へのエール: いきなりかっこよく飛ぶのではなく、背中にしがみついて「バタバタ、ワチャワチャ」と練習する姿を描きました。「失敗しながら進む楽しさ」が伝われば嬉しいです。
どこかのお家でこの物語が、読み聞かせの一話になると良いな、なんて。
(追記:もうひとつの迷宮裏話) 今回、いちごちゃんたちが「空を飛ぶ」魔法を手に入れるまでには、実は私自身もAIとの「制作の迷宮」に迷い込んでいました……。その格闘記録(6,000文字の奮闘記)は、こちらにこっそり置いておきますね。
🔗 [またAIに騙されたのか?|迷宮で私が掴んだ「真実」]

👇 空想の街の記録(note)はこちらから https://note.com/happy_bibi88/n/n8805db952715
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