紙芝居0:いちごちゃん時計を飛び出した日 エピソード0
まだ、この世界に「色」がなかったころ。
空のまんなかにある「はじまりの時計」の上に、
ひとつぶの、小さな「赤」が浮かんでいました。
それが、いちごちゃん。
カチ、コチ、カチ、コチ。
時間はいつも、同じ場所をぐるぐる回っているだけ。
いちごちゃんは、そのリズムに合わせてぷわぷわ。
「ねえ、時間はどこへ行くの?」
時計に聞いても、時計はだまったまま。
同じ場所を、ただぐるぐる回っていました。
「あーーあ、眠くなってきちゃった」

そんなときでした。
空の向こうから、見たこともない「青」をまとった飛行機が、 いちごちゃんの時計をめがけて、グングン近づいてきたのです。
「あ! あぶない!!」
ぶつかっちゃう!
時計さんがこわれちゃう!
よく見ると飛行機の操縦席には誰も座っていないではありませんか。
「だれもいない……! 時計さん逃げて!」
「ぶつかったら壊れるまでだ」
「え!! 駄目だよ」
「物はそういうものなんだよ、いちごちゃん」
長い時間を過ごしてきた時計はゆっくりといちごちゃんに語り掛けました。
「だめーー! わたしが、時計さんを助ける。えいっ!」
いちごちゃんは時計の文字盤を力いっぱい蹴り上げました。
「おーーー、痛い。乱暴だなぁ」
「ごめんね、時計さん。でもね……」
いちごちゃんは、向かってくる青い飛行機めがけてジャンプしたのです。
大ジャンプ。
誰も乗っていない操縦席へとぴょんと飛び乗り、
小さな手で、大きな操縦桿(かん)をぎゅっと握りしめます。
その瞬間です。
カチコチという音は消えました。
毎日毎日聞いていた、あの音が止まってしまったのです。
「時計さん?」
「どうやら一個、ねじが抜けてしまったみたいだねーー」
時計はさみしくさみしく微笑みました。
時計の針はゆっくり回転して、今にも止まりそうです。
「止まる前に、ねじ……とってきてくれるかい? ……いちごちゃん……」
「うん、わかった。待っててね」
時計は最後に「カチリ」と小さな音を立てて、針を止めてしまいました。
あたりは急に、しんと静まり返ります。
「時計さん……?」
下を向くいちごちゃんの瞳に、少しだけ涙が浮かびました。
昨日までの、当たり前で安心できるカチコチ毎日。
それが本当に終わってしまったんだという実感が、胸にチクリと刺さります。
「まだ間に合う!」
青い飛行機が、大丈夫だよと言うように、優しく機体を揺らしました。
いちごちゃんは、ゴシゴシと涙を拭いて、前を向きます。
「泣いてる場合じゃないよね。ねじを見つけて、また時計さんを動かしてあげなきゃ」
いちごちゃんが操縦桿をぐっと引くと、飛行機は夕暮れ色の雲を突き抜けて、高く舞い上がりました。 眼下には、遠ざかっていく時計。 そして目の前には、キラキラと輝く不思議な街の光が見えてきました。
飛行機は、いちごちゃんを乗せて、
まだ誰も知らない「空想の街」へと機首を向けました。
(にゃんずに出会うのは、この光の街に降り立ってからのお話……)
続きのお話は
紙芝居:いちごちゃん時計を飛び出した日|エピソード1|MeiMei
【MeiMeiの制作ノート:裏話】
みなさん、こんにちは。MeiMeiです。
今日は、私の大切な「いちごちゃん」のはじまりの物語をお届けしました。
実はこのお話、画像を作っている最中に、AIが突然予期せぬ「飛行機」を登場させたことから始まったんです。 最初は失敗だと思ったハプニングが、私の中にあった「決まった時間を飛び出したい」という気持ちとリンクして、時計との切ないお別れのシーンが生まれました。
「止まる前に、ねじをとってきて」
そう託されたいちごちゃんは、私自身でもあります。
ミドルエイジ。 止まってしまった時計(これまでの日常)に感謝しつつ、誰も乗っていないAIという飛行機の操縦席に飛び込んで、今は必死に操縦桿を握っています。
この「ねじ」を無事に見つけられるのか。 失敗だらけの私の「飛行訓練エッセイ」も、別のマガジンで綴っていきますので、キャラクターたちの紙芝居とあわせて見守っていただけたら嬉しいです!

(画像から飛べます)
👇 空想の街の記録(note) https://note.com/happy_bibi88/n/n8805db952715
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