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【組織のAI活用#224】総合職・非エンジニアのツール作りは「GAS」を使いまくるといい!Pythonとの使い分け・Canvasアプリとの関係も整理

こんにちは!寺田です。

現在は、デジタル関連会社のAI推進者などのAI活用者のコミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!

AIにコードを書いてもらってツールを作る、という動きが一気に広がっています。総合職・非エンジニアでも「作る側」に回れる時代になりました。

そのときに「どの技術で作るか」で迷う方が多いのですが、私のおすすめははっきりしていて、GAS(Google Apps Script)を主戦場にすることです。

私自身、Chatworkのログをスプレッドシートにためるツールやニュース通知Botなど、業務まわりの仕組みの多くをGASで作って運用しています。

今回は、GASで何ができるのか、Pythonとはどう使い分けるのか、そしてGeminiのCanvasで作るアプリとの関係まで、まとめて整理してみます。

※GAS関連のほか記事はこちら


GASはGoogle専用ではなく「クラウドとの間口」

GASを「Googleのサービス同士をつなぐためのマクロ」と捉えている方が多いのですが、実際の守備範囲はもっと広いです。

一言で言うと、GASは「Googleがサーバーを無料で貸してくれる、JavaScriptベースの実行環境」です。

そして、外部のWebサイトやAPIにリクエストを送る機能が標準で備わっています。このおかげで、APIが公開されているサービスであれば、Google以外のツールともつなげます。

例えば私の環境では、ChatworkのメッセージログをAPI経由で取得してスプレッドシートにためる、といった連携もGASだけで動いています。Teamsまわりのデータ取得のような、Microsoft側との連携も可能です。

「クラウドサービス同士をつなぐ接着剤」。これが今のGASの本当の立ち位置だと思っています。

GASで何ができるのか

GASが本領を発揮するのは、次のような「点と点をつなぐ自動化」です。

  • 外部サービスとの双方向連携:Chatworkのメッセージをスプレッドシートに転記する、外部のファイルを定期的にGoogleドライブへバックアップする、など

  • 定期実行(トリガー):「毎朝9時にデータを取得してシートを更新する」といった定時のバッチ処理が、サーバーを立てずにボタン1つで設定できます

  • Webhookの受け口:外部サービスからの「何かあったら通知を飛ばす」を受け取れます

  • 簡易的なWebアプリ:HTMLと組み合わせて、社内向けの入力フォームや申請ツール、簡易ダッシュボードまで作れます

社内の申請ツール、備品管理、シフト入力、データの見える化。総合職の周りにある「ちょっとした不便」の9割は、この範囲で解決できると感じています。

GASの限界もおさえておく

一方で、GASはGoogleのサーバーを間借りして動くため、明確な限界もあります。ここを知っておくことが重要です。

  • 実行時間の壁:1回の実行は最大6分まで(Workspaceの有料アカウントでも最大30分)。これを超える重い処理は途中で止まります

  • 容量の壁:GB級の動画や大量の画像をメモリ上で処理するのは苦手です

  • 負荷の壁:不特定多数が同時アクセスする一般向けWebサービスには耐えられません。URLも独自ドメインにできないため、社外向けの見栄えも作れません

  • ローカルの壁:クラウドから実行されるため、社内のオンプレミスサーバーや自分のPC内のファイルには直接アクセスできません

逆に言えば、「社内やチームで使う、データ量がスプレッドシートに収まる規模のツール」であれば、GASの独壇場です。

では、Pythonはいつ使う?

「同じことはPythonでもできるのでは」という疑問が出てくると思います。そのとおりで、PythonからスプレッドシートやGoogleドライブを操作することは、プロの開発でも日常的に行われています。

違いを一言で表すなら、「手軽さのGAS」対「パワーと拡張性のPython」です。

  • 環境構築:GASはブラウザを開くだけ。Pythonはインストールや実行環境(サーバー等)の用意が必要

  • Googleとの連携:GASはログイン中のアカウント権限でそのまま動く。Pythonは認証設定(サービスアカウント等)が別途必要

  • 実行時間:GASには6分の壁あり。Pythonは環境が動く限り無制限

  • データ処理:数万行の集計・分析や動画処理は、ライブラリが充実したPythonの圧勝

総合職の最大のミッションは、きれいなコードを書くことではなく、「業務の課題を早く安く解決すること」です。その観点では、環境構築ゼロ・その日のうちに動くGASのタイムパフォーマンスが圧倒的です。

私のおすすめの比率は「GAS 8:Python 2」です。6分を超える重い処理、GB級のデータ、数万行の本格的な分析。そうした壁に実際にぶつかったときだけ、Pythonの力を借りる。この順番なら挫折しません。

Gemini Canvasのアプリと、GASの使い分け

Google Workspace環境なら、GeminiのCanvas機能でWebアプリを作る選択肢もあります。チャットで指示するだけでUI付きのツールが爆速で作れるので、私もよく使っています。

ただ、1つ大きな判断基準があります。それは「データを貯めておきたいかどうか」です。

Canvasで作ったアプリは、その場で動く道具としては優秀ですが、入力されたデータをどこかに貯めて、後から見返したり複数人で共有したりする「データベース」を持たせるのが不得意です。

履歴を貯めたい、チームで同じデータを更新したい、貯めたデータを別の処理で使いたい。そういうツールを作るなら、最初からGASで作って、スプレッドシートをデータベースにする構成をおすすめします。

GASなら、スプレッドシートへの読み書きが数行で書けて、Webアプリとして社内限定で公開もできます。「画面はWebアプリ、データはスプレッドシート」という構成が、非エンジニアにとって一番扱いやすい形です。

スプレッドシートをデータベースとして使う考え方は、以前こちらの記事で詳しく書いています。

なお、データ量が増えてスプレッドシートでは重くなってきた場合も、すぐPythonに行く必要はありません。GASはFirestoreやBigQueryといった本格的なデータベースにも接続できるため、「GASのまま、裏側のデータベースだけ強くする」という拡張もできます。

迷ったら、この順番で

ここまでの話を、進め方の順番としてまとめます。

  • ステップ1:まずGAS+スプレッドシートDBで作る(総合職のツールの9割はここで完結します)

  • ステップ2:データ量が増えたら、GASのまま外部データベース(FirestoreやBigQuery)に切り替える

  • ステップ3:6分の壁・GB級データ・本格的な分析にぶつかったら、その部分だけPythonを検討する

ポイントは、最初から完璧な技術選定をしようとしないことです。まずGASで作ってみて、実際に壁にぶつかってから乗り換えを考える。これが一番無駄のない進め方です。

「あの人に頼めば一瞬で自動化してくれる」ポジションへ

AIがコードを書いてくれる時代、総合職に求められるのは実装力ではなく、「どの業務を、どの道具で、どう仕組み化するか」を判断する力です。

その判断の主戦場として、環境構築ゼロで今日から始められるGASは、非エンジニアにとって最強の選択肢だと思っています。

「社内の面倒な作業は、あの人に言えばGASで一瞬で自動化してくれる」。このポジションは、間違いなく社内での価値になります。

ぜひ、身の回りの「ちょっとした不便」を1つ選んで、AIと一緒にGASで作ってみていただければなと思います!



読んでいただきありがとうございました!
過去のAI関連記事はこちらです!

ちなみに、組織におけるAIの推進についてまとめた本も出版させていただいております。もしよければご覧ください。


<自己紹介>
直近までは、電通グループに属する約1400人・20社以上の事業会社群で構成されるCARTA HOLDINGSにて、全社横断のAI推進室で組織全体のAI活用推進を担いつつ、法人向けの「生成AI&デジマ人材」研修サービスであるD-Marketing Academyの代表取締役も兼務し、大手企業からスタートアップまで、数百社にわたるAI人材育成を支援してきました。

現在は、デジタル関連会社のAI推進や担当コミュニティである「AI Digital Community (ADC)」の代表理事や、顧客事業の「×AI化」をサポートするFURIKAKE Partners(株)と組織のAI活用を支援するプロダクトを提供するAI Portalize(株)の代表取締役を務めており、様々な側面から組織のAI活用をサポートしています!

<略歴>
2005年 5月 大学在学時にEC事業を開始
2007年 5月 (株)サイバーエージェントに入社し新規事業の立ち上げに携わる
2011年 10月 (株)VOYAGE GROUPにてKDDIとの協業事業を行う(株)Flesselを設立し代表取締役に就任
2015年 11月 ECコンサルティング事業を行う(株)JSコンサルティングの代表取締役へ就任
2018年 4月 東証一部プライム企業Hamee(株)にJSコンサルティングをM&Aし、代表取締役を継続
2019年 5月 Hamee(株)の執行役員に就任し、Hameeグループの新規事業領域を管轄
2021年 2月 D2C支援を行うTHE CHOSEN ONE(株)の顧問に就任
2021年 3月 アパレルD2C事業を行う(株)NAAFYの取締役に就任
2021年 4月 D-Marketing Academy(株)を設立し代表取締役に就任
2023年 1月 (株)CARTA HOLDINGSにD-Marketing AcademyをM&Aし、代表取締役を継続
2025年 3月 CARTA HOLDINGSグループ全体のAI活用促進を行うAI推進室を兼務開始
2026年 1月 生成AIに関しての顧問を行うFURIKAKE Partners(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 組織の生成AIプラットフォームサービスAI Portalize(株)を設立し、代表取締役に就任
2026年 1月 デジタル関連のAI活用企業コミュニティ「AI Digital Community(ADC)」を設立し代表理事に就任

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