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限界の夜、娘がくれた「ラブレター」。どんな高級食材にも勝る最高のアテ|だれやめ語り

おやっとさぁ。今日も一日、本当にお疲れさん。

今夜も「居酒屋だれやめ」の暖簾をくぐってくれて、ありがとうね。おいちゃん、今日はちょっと、目頭を熱くしながら筆を執っているんだ。

あんたは「もう限界だ」って思う夜、どうやって自分を癒やしているかな。
仕事で予想外のトラブルが続いて、体調もなんだか優れない。
重たい足取りで玄関を開けて
「あぁ、今日はもう、ビールを流し込んで寝ちまいたい」……そんな風に思う夜が、誰にだってあるよね。

おいちゃんにも、そんな夜があったんだ。

食卓に並んだ「皿うどん」と、寝る前のサプライズ

その夜、パパはただただ疲れていた。
イレギュラーな仕事に振り回されて、体も心も乾ききっていた。
キッチンに立つ元気もなくて、その日の夕食は、ママが作ってくれた「皿うどん」だった。

温かい湯気に救われながら、プシュッとビールの缶を開ける。
喉を鳴らして流し込む一口目のビール。
いつもなら、それで一日のスイッチを切って、泥のように眠るはずだった。

ところが、寝る支度を済ませたお姉ちゃんが、トコトコとパパの方へ歩いてきたんだ。

「パパ、これ……はい、お手紙」

小さな手に握られていたのは、不器用に折られた一枚の白い紙だった。

今日、パパは料理を作っていない。けれど娘は、ずっと見ていた。

手渡された紙を広げてみて、おいちゃん、言葉を失くしたよ。 そこには、まだ少し震えているような、一生懸命なひらがなでこう書いてあった。

「おとうさん いつも おいしい りようり つくてくれて ありがとう」

思わず、ビールを持つ手が止まったね。
お姉ちゃんは、ママにも
「いつもあそんでくれてありがとう」って手紙を書いていた。
家族みんなのことを、この小さな胸でちゃんと考えていたんだ。

でもね、パパが何より胸を打たれたのは
「今日は料理を作っていない」ってことなんだ。

その夜の食卓に並んでいたのは、ママが作ってくれた皿うどん。
それなのに、娘は
「いつも料理を作ってくれてありがとう」
って書いてくれた。

あぁ、そうか、と思ったよ。
この子は、今日この瞬間のパパだけを見てるんじゃないんだ。
疲れて帰ってきても、週末にエプロンを締めて包丁を握るパパの背中を。
「おいしい」って笑う顔が見たくて、フライパンを振っていたあの日、あの時を。

全部、この子の心の中には「パパの味」として刻まれていたんだね。

これこそが、人生を支える「最高のアテ」だ。

手紙を食卓の横に置いて、パパはもう一度ビールを口に含んだ。
不思議なもんだよね。
さっきまでただの「苦い液体」だったビールが、急に、世界中のどんな美酒よりも深く、甘く、五臓六腑に染み渡っていく。

世の中には、高い金を払えば食える贅沢な食材なんて、いくらでもある。
大トロ、松阪牛、キャビア……。 でもね、今のパパにとっては、この一枚の紙切れに勝るアテなんて、この世のどこを探しても見つからない。

仕事で嫌なことがあったことも、体調が悪くて沈んでいたことも、この「震える文字」の前では、霧みたいに消えていく。
「あぁ、パパの頑張りは、ちゃんと届いていたんだ」 そう思えただけで、乾ききっていた心に、じわっと潤いが戻ってくるような心地がした。

これこそが、本当の意味での「だれやめ」なんだろうな。 晩酌の「だれやめ」っていうのは、鹿児島の方言で「疲れ(だれ)を止める(やめ)」って意味。 強い酒で意識を飛ばすんじゃなくて、心の中に溜まった疲れを、誰かの優しさで溶かしてもらう。そんな夜が、俺たちには必要なんだ。

てげてげでいい。また明日も、台所に立とう。

完璧な父親なんて、ならなくていい。
仕事でヘトヘトになって、たまに「てげてげ(適当)」になったっていい。

この手紙がある限り、パパはまた明日も、キッチンに立つ力をもらえる。
「パパのご飯、おいしいね」って笑うあの顔を思い浮かべながら、また包丁を研ごう。
そんな風に思わせてくれる存在がそばにいるだけで、パパたちは、また何度でも立ち上がれる。

もし今夜、あなたが一人で孤独にビールを飲んでいるなら、思い出してみて。
あなたの頑張りを、誰かが、どこかで必ず見てくれている。
言葉にはならなくても、あなたの背中は、誰かのヒーローなんだ。

さぁ、今夜はもう一本、開けちゃおうか。
この「世界一のラブレター」に乾杯してさ。

明日も、ボチボチいこうや。
おやすみなさい。


おいちゃんより 読んでくれて、ありがとうね。 もしよかったら、あんたの「人生最高のアテ」の話も、今度こっそり教えておくれ。 それじゃ、また次の夜に。

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