漫画家アシスタント物語 古い話で章〈6〉 週刊誌で恋人を募集すると?
《写真上: 1979年の秋山プロです。一仕事終わって、晩飯の時間です。不味い仕出し弁当を食べています。左に写っているのが、27歳のテラさん!》
< この「古い話で章〈6〉」は、文庫本約9ページ分 >
「古い話で章」は、独立した「章」ですので、「諦めま章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
ただし‥‥ 各話が連続していますので、「古い話で章〈1〉」から読みいただく方がよろしいかと思います。
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
さて‥‥ 本文の前に‥‥ ここで‥‥‥‥
「漫画家アシスタント物語 第4章」のマガジンをいくつも、ご購入いただいた方の記事を紹介させてください。
ちゃーちさん ‥‥‥‥‥‥ いつも、ありがとうございます!
以下の記事が、ちゃーちさんのnote固定ページです‥‥‥‥
その11
《 漫画家アシスタントが・・・雑誌取材を受ける!? 》
テラさん( 1971年当時、19歳 )がジョージ先生に呼ばれたのは、雑誌社の取材があった時でした。
その日、某週刊雑誌記者が、話題の売れっ子作家を巻頭グラビアで紹介する企画で、秋山プロへ来ていました。
先生や、その仕事場風景など、一応の取材が終わった後で、その記者がこんな話をしたのです‥‥
「 助手の方の中で、誰かご紹介いただいて‥‥ 出てもらうというのは、どうでしょうか? 例えば‥‥ 『 彼女募集中! 』みたいな感じで! 」
そこで、ジョージ先生がテラさんを呼んだのです‥‥
「 おめぃ~やってみ 」
「 ‥‥え? 」
「 写真撮ってよ、ガールフレンド募集してま~すってよ! 」
「 いやぁ‥‥ いいですよ俺ぇ‥‥ そんなぁ‥‥ 」
テラさんは、雑誌なんかに顔を出してガールフレンドが出来るなんて信じてはいませんでしたし、また、先生の特集記事に、自分なんかが顔を出してよいのか‥‥‥‥と、迷ったのです。
「 照れてんのかよ‥‥ それじゃ‥‥ 他の奴にするか‥‥ 」
「 照れてる 」というよりも、やはり、先生の記事に自分が一緒に掲載される事を遠慮したのです。
テラさんの代わりに、先輩スタッフの一人で、テラさんよりも一つ年下のKさん( 当時、18歳、坊ちゃん風の内向的なタイプ )が呼ばれて、記者から取材を受ける事になりました。
照れるKさんの写真には、「 恋人募集中です! 」とのコメント、そして、仕事場の連絡先が記載されていました‥‥‥‥( 当時、テラさんはインテリ風、Kさんはボンボン風といった風貌でした )
雑誌が発売されてから、数日すると‥‥‥‥
テラさんには、まったく信じられない事が仕事場には起こっていました。
それは、若い女性の写真入りの手紙が沢山( 数十通 )届いていたのです!
Kさんたちは、何枚もの写真を見比べて、品評会に忙しい数日間だったわけですが‥‥‥‥‥‥ 複雑な心境なのはテラさんです。
『 こんなに沢山、女の子から( 写真付きで )手紙がくるなんて‥‥! 』
後悔したのは言うまでもありませんが‥‥‥‥ 時すでに遅し!
Kさんは、ウハウハで止まらない笑いに咳き込みながら、一番美人の女性と付き合う事になるのですが‥‥‥‥ たまらないのはテラさんです‥‥‥‥
『 こ‥‥ こんな美人が雑誌見て手紙なんか出して来んのかよ! 』
現在では、年金をもらう歳になっているテラさん( もちろん独身 )は、当時を思い出すと、本当に悔しそうに‥‥‥‥
「 しまった~っ! ‥‥って思ったよなぁ~、あん時、俺がやってればなぁ~~~っ! 」
ちなみに、私は、この美人とその後、Kさんの自宅で会う事になりましたが、大変な美人で‥‥‥‥ 映画女優や、トップモデルみたいな、クールで派手なタイプの美人でした。
ラッキーなKさんは、結局、写真の中で一番美人の女性とお付き合いをして‥‥ 数年後には、その女性と結婚、一人息子まで作ってしまいます。
「 あん時、俺がさぁ~~ 俺がやってりゃ~な~~~! 」
白髪の混じった短い頭髪に手をやりながら、苦笑いするテラさんですが‥‥ 今でも石神井公園の小さなアパートに一人で暮らしています‥‥
人生の分岐点を振り返るように、ちょっと寂しそうにビールを口に運ぶのです‥‥‥‥
さて、大きなチャンスを逃したテラさんですが‥‥‥‥
初めてのデートに向けて、一人の女性をターゲットに選びます。
実は、その女性もジョージ先生がちょっとからんでいるのです‥‥‥‥
そのお話は、次回に‥‥!

その12
《 漫画家アシスタントが・・・バイト女性をナンパする!? 》
1971年頃の秋山プロは、大変忙しい時期で、週刊誌の連載だけで3誌以上ありました。
前回、お話ししたようにマスコミでもジョージ先生が話題になっていたのです。
さすがに超多忙な中で、ジョージ先生は本を読んで勉強する時間がまるでなくなっていました。
毎週の連載をこなすだけで精一杯、まったくプライベートな時間すらままならないのに、勉強する時間なんて全然ないわけです‥‥
そこで、自分が読みたいと思っている本を朗読してもらい、それをテープに録音し、仕事をしながらそのテープを聞くという勉強法をとっていました。
本を朗読してもらうのは、アルバイトの若い女性に頼んでいたのです。
20代の若いOLに、流行りの小説やエッセーなどを朗読してもらう‥‥ そこで、先生の仕事場に時々、彼女が顔を出すのですが‥‥‥‥
その可愛らしい女性に惹かれてしまったのがテラさんでした。
若さ故か、度胸があるのか‥‥‥‥ テラさんは、『 ダメで元々! 』と、女性に声をかけます‥‥‥‥
「 今度、映画でも観に行きませんか? 」
この時、テラさんは、19歳でしたから、相手の女性は明らかに年上です。
それも、ジョージ先生に小説を朗読している人です!
普通なら絶対無理なんじゃないかと思うのですが‥‥‥‥ いや、私もこの話を聞いた時には、なんて無謀な‥‥とか思いましたが‥‥‥‥
彼女は‥‥
「 はい。イイですよ~! 」
‥‥と、軽くOKしてくれたそうです。
ちなみに、このお付き合いは、半年ほど続いたそうです。
さて、テラさんの調子のよい話をもう一つ‥‥‥‥
ある時、テラさんが広島から東京へ出発する日( 1969年、テラさんが高校3年生の時 )に、駅まで見送りに来てくれた友人の一人が、東京で仕事をしていたのですが、その友人から突然、連絡をもらったのです。
「 広島のおじさんが亡くなったよ! 」
「 おじさん 」というのは、テラさんが高校生だった頃に、友人共々お世話になった近所に住む「 おじさん 」( 血縁関係はありません )の事ですが‥‥‥‥
テラさんは、友人が哀しそうに告げる言葉に「 え、そうか亡くなったのか‥‥ 」と答えるだけです‥‥‥‥
「 広島へ帰ろうよ、テラちゃん、俺と一緒に広島へ帰ろうよ! 」
「 え~~~?! い、いや‥‥ 俺は仕事があるし‥‥‥‥ 」
‥‥と、断るつもりだったのですが‥‥‥‥
「 何言ってるんだよ! お世話になったおじさんじゃないか! 」
『 お世話になった 』と言われても、テラさんにとっては、命の恩人とか、深いお付き合いのある人物というわけではありません。
つまり、仕事を休んで広島に帰らなくてはならないほどの緊急事態とは思えなかったわけです。
しかし‥‥
「 帰ろう! 別れの挨拶はしなくちゃ! 絶対に帰らなくちゃダメだ! 」
‥‥そう説得されて、仕方なく‥‥ 広島へ帰る事に決めたのですが‥‥
毎週、ギッシリと連載が詰まっている状態で、自分だけ休みをもらう事に後ろめたさを感じつつも‥‥‥‥ 先生に恐る々々‥‥‥‥ 休みをいただこうと‥‥‥‥
先生の仕事場の緊張感を、その日は特にヒシヒシと感じつつも、勇気を出して先生に向かいます‥‥‥‥
「 先生‥‥ 」
「 う‥‥ 」
「 身内に不幸がありまして‥‥‥‥ 」
「 う‥‥ 」
「 叔父さん(?)が急に亡くなりまして‥‥‥‥ 」
「 う‥‥ 」
「 お‥‥ お休みを‥‥ 」
「 ん~ 」( 了承の意 )
「 え!? 」
「 いいよ、俺ぃも丁度、仕事を少し休みたいと思ってたんだ 」
「 ‥‥はい 」
「 3日休もう‥‥ おめぃもゆっくりして来い 」
「 あ‥‥ ありがとうございます! 」
ここで、さらにテラさんは、追加のお願いをするのです!( 私には、とても真似できません!)
「 先生、俺、黒い背広なんて持ってないんで‥‥ そのぉ 背広を‥‥ 」
「 そっか‥‥ おめぃ持ってねぃ~のか、んじゃ貸してやるよ 」
先生から黒い礼服を一式借りて広島へ向かうテラさん‥‥‥‥ 広島へ着いて服を着替える時に驚きます‥‥‥‥
なんと、黒い背広のポケットには5万円( 55年前のサラリーマンの月収とほぼ同額 )が入っていたのです!
『 これで、香典代も交通費も食費もお小遣いもまかなえる! 』
先生への感謝の気持ちでいっぱいです‥‥‥‥ そして、同時に、ホクホクと嬉しくてたまらないテラさん。
ニヤニヤしないように注意して葬儀場へ向かうのでした。
「 漫画家アシスタント物語 古い話で章〈7〉」へつづく・・・・
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