見出し画像

【殿堂入り記事・「AIで脳が腐る」の続き】シュレーディンガーの猫とChatGPT。実は"希望"が埋まっていた件。実はネコは生きていた。──セッション4の再解読と、シュレーディンガーの猫が教えてくれたこと #ChatGPT #MIT #認知的負債 #生成AI #脳科学

📌 お知らせ(2026年4月1日)

この記事の価格を改定しました。


前編「AIで脳が腐る」の記事(スキ510)に続き、この続編にもスキ 265件 を超える反響をいただきました(2026年4月1日時点)


「星取表の比較が目からウロコだった」「シュレーディンガーの猫の本当の意味を初めて知った」というDMが特に多かった記事です。

殿堂入り記事として、価格を改定しています。


以下の内容を新たに加筆しています。

・最終章に「読者が今日からできる 3つの科学リテラシー防衛策 」を追加

・有料壁セクション( 🔒 この先の内容ガイド )を新設

・「 貿易商12年の筆者が体感したGoogleエフェクトの実例 」を追加

現在の価格が、この記事の最安値です。

※メンバーシップの方は、追加料金なしでお読みいただけます。
他の多数の殿堂入り記事などもお読みいただけます。(累計スキ39,000以上の人気記事たち)

最近バズった他記事は以下です。


【更新履歴】
・2026年4月1日:価格改定(¥2,980)。上記3点を加筆+有料壁の設置




富山の3月。

窓の外を見れば、先週まで降っていた冷たい雨は止んだものの、空はまだ薄い灰色のベールを被ったまま、 頑なに春を認めようとしていません

ただ、庭先の枯れ草の隙間から、ほんの数ミリだけ緑色の芽が頭を覗かせているのが見えます。

あと少しだけ、あと少しだけ。

私は今日、いつものコーヒーではなく、久しぶりに日本茶を淹れました。緑茶も美味しいですよね。

急須に茶葉をひとつまみ多めに入れ、少しぬるめの湯を注ぐと、ふわりと立ち上る青く甘い香りが、鼻の奥をくすぐります。

一口含むと、苦味と甘味のちょうど境界線のような、あの独特な旨味が舌を這いました。

ああ、冬が終わりかけている。

お茶の味に、どこか春の気配が混じっている気がします。


📨 【読者からの質問】


ポス鳥さん、前回の「認知的負債」の記事、読みました。

めちゃくちゃ面白かったです。

ただ、読み終わった後にひとつ気になったことがあります。

あの実験の「入れ替えセッション(第4セッション)」って、メディアでは「AIを使い続けた人の脳が回復しなかった」という話ばかりでしたけど、実際のデータを見ると、本当に「全く回復しなかった」んでしょうか?

ポス鳥さんの目から見て、どう思いますか?


ありがとうございます。前回の記事はこちらですね。

確かになぜか大いにバズっていますね。

実は私も、前回の記事を書き終えた後、もう一度あの論文を引っ張り出して、第4セッションのデータを丹念に読み直していました。

結論から言いましょう。

埋まっていたのです 。

何が?と言われると、メディアが「恐怖」としか読まなかったデータの中に、はっきりと 「希望」が

しかも、その希望の形は、100年近く前の物理学者が、まったく別の文脈で投げかけたパラドックスと、恐ろしいほど構造が似ていました。

見てて思いました。

シュレーディンガーの猫 です。

聞いたことがある方も多いでしょう。

箱を開けるまで、猫は生きてもいるし死んでもいる。

あの有名な思考実験です。

しかし、あの猫の「本当の意味」を正しく知っている人は、驚くほど少ない。

そして、その「本当の意味」が、今回のMIT論文の誤読問題と、ゾッとするほど重なるのです。

お茶のおかわりを淹れてきます。

少し長くなりますが、 今回も解説していきましょう。


✍️ 筆者コメント

前回の「認知的負債と認知的オフローディング」記事に、たくさんの反響をいただきました。

ありがとうございます。

あの記事で私が伝えたかったのは、「論文を読め」の一点でした。

今回の続編では、その論文をもう一段深く掘ります。

第4セッションのデータに埋まっていた「希望」の正体。

教育心理学の100年分の知見が、なぜAI活用の指針になるのか。

そして、シュレーディンガーの猫がなぜこの話に出てくるのか。

前回よりも、もう少しだけ奥まで踏み込みます。

一次情報を自分の目で確かめることの大切さ。

それを、今回もまた、愚直に示していくだけです。


⚡ 第1章:あの論文を、もう一度開いた朝

湯呑みを両手で包み込み、日本茶の温もりをゆっくりと手のひらに染み込ませます。

青い渋みが口の中に広がって、頭の奥がじわりと覚醒していく感覚があります。

窓の外で、屋根から落ちた雪解け水が、ぽたり、ぽたりと 一定のリズムで地面を叩いています

冬の終わりの静かな音です。

前回の記事を公開してから、ありがたいことに多くの方に読んでいただき、DMなど、たくさんいただきました。

その中でいくつか、 同じ方向の質問 が届いていたのです。

「セッション4のデータ、本当にあれで"回復しなかった"と言い切れるんですか?」

鋭い読者の方々です。

ここで、前回の記事を読んでいない方のために、ザックリとおさらいしておきます。

2025年6月、MITメディアラボの研究チームが「ChatGPTを使い続けると脳の活動が変わるのか」を調べた論文を発表しました。

54人の大学生を3グループに分けて、4ヶ月間エッセイを書かせた。

自力だけのグループ、Google検索を使うグループ、ChatGPTを使うグループ。

書いている間ずっと、頭に脳波計をつけて脳の活動を記録しています。

そして4回目のセッションで、自力グループとChatGPTグループを入れ替えた。

ここまではいい。

問題はこの後です。

SNSで 「AIを使い続けると脳の活動が著しく低下することが科学的に証明された」 という投稿が爆発的に拡散されました。

「脳が回復しない」「不可逆的なダメージ」と。

ところが、前回の記事で徹底的に検証した結果、この投稿には重大な誤りがいくつもあった。

まず、「科学的に証明された」は完全に嘘だった。

論文は 査読前のプリプリント(下書きの公開) であり、研究者自身が「予備的研究」と明記していた。

次に、一番大事な「入れ替え実験」に参加したのは54人中 たったの18人

最大でも、各グループ9人ずつしかいない。人数が少なすぎる。

しかも研究者自身が「"brain rot(脳が腐る)""brain damage(脳のダメージ)"という言葉を使わないでください。私たちの論文にはそのような語彙は一切ありません」とわざわざFAQで訴えていた。

メディアが煽り、SNSがさらに削ぎ落とし、日本語圏に届く頃には 論文の中身とはまるで違う話 になっていた。

これが前回の記事の要約です。

詳しくは前回の記事を読んでいただければ嬉しいですが、今回はここから先が本題。

実は私自身も、前回の記事を書きながら、ずっとひっかかっていたことがありました。

第4セッションのデータ。

あれは本当に 「絶望」だけを意味しているのだろうか 、と。


前回の記事では、メディアやSNSが論文の結果をいかに歪めて拡散したかを中心に書きました。

「たった18人のデータで科学的証明などと騒ぐな」と。

それは今でも変わりません。

ところが。

論文を改めて読み直してみると、メディアが見落とした――あるいは意図的に無視した――もうひとつの 「事実」 が、データの中に静かに横たわっていたのです。

今回は、その事実を掘り起こします。

前回の記事が「嘘を暴く」話だったとすれば、今回は 「埋もれた希望を掘り出す」 話です。

当該の論文、MITメディアラボのナタリヤ・コスミナ氏らが2025年6月に発表した論文「Your Brain on ChatGPT」


📰 MIT Media Lab(エムアイティー・メディアラボ)(2025年6月10日)

「Your Brain on ChatGPT: Accumulation of Cognitive Debt when Using an AI Assistant for Essay Writing Task」

※ ChatGPT使用時の脳波変化と「認知的負債」の蓄積を調べた予備的研究論文(arXivプレプリント、査読前)

📍 メディア傾向: エムアイティー・メディアラボは米国マサチューセッツ工科大学の研究機関。テクノロジーと人間の関係を研究する世界的拠点。学術的信頼性は高い

URL:



改めてキーワードを抜き出してみましょう。

54人の大学生 を3グループに分け、4ヶ月間エッセイを書かせた。

自力グループ(Brain-only)、検索エンジングループ、ChatGPTグループの3つです。

セッション1から3までは各グループ固定の条件で書かせ、第4セッションで 自力グループとChatGPTグループを入れ替えた

SNSで大炎上したのは、この入れ替え実験の結果でした。

「ChatGPTを使い続けた学生が、自力に戻しても脳活動が回復しなかった」と。

前回の記事では、この入れ替え実験の参加者が54人中 たったの18人 しかいなかったこと。

しかもその18人の内訳が論文中に明記されておらず、各グループ 最少6人、最大でも9人 であったこと。

脱落率が50%以上 であり、残った18人が元の54人を代表しているかも不明であること。

これらを徹底的に指摘しました。

なぜ半分以上も脱落したのかは、論文には詳しく書かれていません。

4ヶ月という長い実験期間の中で、卒業や転居、単純な参加意欲の低下など、さまざまな理由が考えられますが、 確認する術はない のです。

残った18人がたまたまモチベーションの高い層だった可能性もあれば、逆に暇だった層だった可能性もある。

ここで検索エンジン群はセッション4の入れ替え対象から外されています。

論文にその理由は明記されていませんが、おそらく自力群とAI群の 両極端の対比を明確にする実験設計 だったと推測されます。

ここまでが前回のおさらいです。

では。

今回の本題に入りましょう。

あなたに一つ、問いかけたいことがあります。

「回復しなかった」と聞いて、

あなたはどんな状態を想像しましたか?

おそらく多くの方が、こう思ったはずです。

ChatGPTを3ヶ月使い続けた学生が、自力でエッセイを書こうとしたら、脳活動がほぼゼロに近い、 散々たる状態 になっていた――と。

自力で書く能力が根こそぎ奪われた。

もう戻れない。

不可逆的なダメージ

SNSではまさに、そういうニュアンスで拡散されていました。

ところが。

論文のデータは、 そんなことは一切言っていないのです。




🔒 ここから先は、有料会員限定のコンテンツです

🧭 こんな人におすすめ

・MIT論文の「星取表」で見えた 希望の正体 をさらに深掘りしたい人

・シュレーディンガーの猫が 「褒め言葉」ではなく「批判」だった という真実を知り、メディアの誤読構造を理解したい人

・量子力学の100年論争( ボーア vs アインシュタイン )が、なぜAI時代の情報リテラシーと直結するのかを知りたい人

🗺️ この先の内容

・第3章:シュレーディンガーの猫の 「本当の意味」 を解剖。量子力学の100年史を北陸の貿易商が噛み砕きます

・アインシュタインの「 神はサイコロを振らない 」とボーアの応酬。物理学史上最も有名なケンカの全貌

・最終章:MIT論文とシュレーディンガーの猫の 構造的類似性 。「箱を開けるまで猫は生きてもいるし死んでもいる」が、なぜ「AIで脳が腐る」論争と同じ構造なのか

私たちを応援していただけませんか?




私たちのメンバーシップに加入していただけないでしょうか?ご興味ある方は、ぜひ以下ボタンからどうぞ。

月500円と、月980円の2コースあり。読み放題!初月無料・解約縛りなし!かなりお買い得だと思います!

なおポス鳥への記事のリクエスト、質問などは、以下からできます。





ここから先は

26,641字 / 8画像
この記事のみ ¥ 2,980
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

こっちの方がお得!この記事+α(全記事30記事以上・総額20万円分)が980円から【初月無料・解約縛…

全部・読み放題プラン!(月980円)

¥980 / 月
1ヶ月無料