AIで人数が激減するプロダクト開発チームその時あなたは何をする?
BASE株式会社執行役員の柳川です。金融事業の事業責任者をしています。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
現在は事業戦略、プロダクト戦略、組織戦略全ての責任を持ちながら、事業責任者を務めさせていただいています。
プロダクト開発をしてきて、現在もプロダクト開発全体を干渉している立場から生成AIの話をしてみます!
序章:プロダクト開発は確実に“少人数化”していく
生成AIの進化により、プロダクト開発に必要な人数は着実に減っていきます。
なぜか?
各職種の仕事がAIによって補助・代替されるようになるから
少人数でも目的達成が可能になるから
もともと大人数で仕事や開発をするのは非効率だから
こうした変化が進めば、プロダクト開発の体制は根本から変わっていくはずです。では具体的に、どのようなインパクトをもたらすのでしょうか。視点を分けて思考実験してみます。
人が減ることによるインパクトは、想像しているより大きいのでは無いかと考えています。
生成AIで組織がどうなっていくか、特に人数が減ると何が起こるのか、みんなで考えていきたいのでご意見あればお願いします。
この記事は以下の記事が長くなりすぎるのを防ぐためのスピンオフ記事です。
【1】事業オーナー視点:新しい挑戦への扉が開く
事業オーナー視点で一番大きな変化は「コスト構造の変化」だと考えます。
必要な人員が減るということは、人件費が下がるということです。これは単に利益率が上がるという意味にとどまりません。
着目すべきは「今までコストが高くて着手できなかった事業にも挑戦できるようになる」という点です。
事業は、かけられるコストに対してどれだけリターンが見込めるかでやれるやれないが判断されます。
ということは、仮に大きく収益が見込めなくても、コストが劇的に下がればビジネスとして成立する可能性が出てきます。
プロダクト開発型のビジネスでは、コストの大半は人件費です。
AIの活用によりこの人件費が減れば、事業の意思決定における「いける範囲」が広がります。
※実際にはマーケ費用が大きいビジネスモデルも多く存在します
今までの常識では考えられない形で、「コスト的に折り合わないから無理だよ」がひっくり返される可能性が高いです。
【2】管理職視点:「人を管理する仕事」は終わる
人が減れば、それを“管理”する必要も減ります。
かつてのマネジメントは、人数の多さに比例して存在価値がありましたが、人数が減るなら今後は構造的に不要になります。
では、管理職は完全に不要になるのか?
そうではなく、人から仕組みへのシフト、「仕組みを作って組織を動かす」へと進化を促す役割は必要があると考えます。
人の感情や関係性を調整するのではなく、再現性ある成果を出すための構造を設計・運用する、ストラテジスト的な役割への転換が求められるのです。
人が多く集まるとメリットよりデメリットの方が大きいです。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
【3】メンバー視点:職能を越えて“全部がわかる人”が求められる
生成AIの導入によって、専門職という枠組みが曖昧になっていきます。
AIの補助により、企画もデザインも実装も運用も越境しやすくなるからです。
小さなチームで動くことが当たり前になる中では、
企画〜デリバリー〜運用の流れを一通り理解していること
「ここだけやる」はではないマインドセットを持っていること
が前提条件になります。
専門性は否定しません。ですが特定領域だけに閉じているメンバーよりも、「全体を見渡せるフルサイクル人材」が価値を持つ時代が来ます。
エンジニア以外もフルサイクルです。
何年かかるかは分かりませんが壁は無くなります。そういう未来が提示されました。
職能の壁に守られていただけの特権貴族は危機感を持つべき。
PdMですとかエンジニアですとかデザイナーですとかの名乗りは無くなります。予言します。
全体を見渡せるフルサイクル人材は、言い換えると「話がわかる人」とも言えると思います。
生成AIが一定の質問に答えてくれる中では、話がわからない人と関わって仕事するコストは払えないな、ナンセンスだなとなると思います。知識の専門性はコモディティ化します。
これは決してイエスマンになれという意味ではありません。ちゃんと相手の話を理解しようとしよう、その上で何が出来るかをしっかり打ち返そう。反射的な嫌悪感を示すのはやめよう。ということです。
姿勢や態度は結構大事です。お互いにバイブスを上げ合える人と働きたいというようになります。
【4】既存事業:いきなりは変わらないが、確実に変わる
既存の組織や事業は、すぐに劇的な変化を遂げるわけでは無いのかなと思っています。現状維持の力は思っているより大きいので、構造から抜本的に変化するのはかなり難しいと思います。
しかし、徐々に人の数が減っていくと思います。
具体的には退職補充がなくなったり、増員のお願いが通らなくなったりする形で現れるでしょう。
一つずつの仕事が少人数で回さざる終えなくなるし、回せるようなると思います。それが進むにつれ、組織の構造も変わるのでは無いかなと考えています。
上記は自然に進行していった場合です。
一回壊れることを厭わない、かなり強烈なトップダウンがあれば大きく変わる可能性はあります。スタートアップはそれを起こさないと構造変化についていけなくなる可能性があります。
正解は分かりません。
【5】新規事業:1職種1人で始める時代へ
新しい事業を始めるなら、もはや従来型の「職種ごとに複数人を配置する」というお約束はなくなるでしょう。
基本は1職種1人で十分。出なるだけ少人数に。
AIが補助してくれるからこそ、「目的を見失わずに進める」少人数チームのほうでPDCAを回す。
大人数チーム故の調整や合意に時間をかけすぎる必要はありません。
とにかく目的ドリブンでクイックに動いていくことが第一優先になるでしょう。
人数規模が増えることによる調整は敵です。
【6】オペレーションチーム:主役に躍り出るでしょう
生成AIにより直近で1番大きな恩恵を受けるのがオペレーションチームでしょう。オペレーションで出来ることが何倍にも何十倍にもなる。するとオペレーションの持つ意味が抜本的に変わる。
現状オペレーションに取り組んでいる方は、単なるオペレーターでいるのは勿体無いです。生成AIとこんなに相性がいい仕事はありません。
オペレーションの構造を作り出せる人は、その人だけで今までプロダクトと言われていたものが完結すると思います。
これは私見ですが、今更いままでの教科書通りのPdMやってる場合じゃないです。
生成AIでオペレーション改善するほうがキャリアアップする可能性、あると思います。
とにかく「工数を踏み倒す感覚」をいち早く身につけられた人から新しい世界が見えます。その感覚がどうしたら得られるかベースで、これからやるべきことを考えるべきだと思います。
【7】既存スタートアップは何を気にしなければいけないか
チーム構造が変わり、システム構造が変わるということがポイントだと考えています。現在のITスタートアップが「一つ前の構造的変化にのれて、自分たちは少数精鋭でスピード感を持ってやれてるぞ」と思ってる中で、抜本的に構造を変えて一つ上のスピードを出してくるチームが出てくる。すると「自分たちの強みはなんだったんだ」となる。
チーム構造を抜本的に変えて、自分たちより早く低コストでやれるチームが出てくる。
「えっ、その人数でやれてるの」というセリフが出る頃には手遅れかもしれません。
ITやインターネットが起こしてきた変化も、基本的にはチームの構造変化、特に少人数化による変化なのです。この変化にチームの構造から変化して台頭してきたのがスタートアップだと考えます。
あまりにも当たり前になってしまっているゆえにもう一度思い出してほしい。
今現在組織化していると、劇的には変えにくいと思います。でもいわゆる大企業が変わるよりは障害は低いはずで、まだ対応できると思っています。
AIが主語じゃない人間が主語
AIを使う前提のチームをどう組むかが勝負
AIがいい感じに効率化してくれるからAI を活用しようでは浅い
AIが使える人を採用しなきゃという話でもない
組織の構造を変え認知を変える必要がある
私もどういう構造であるべきか、考えて実践し続けます。
締めくくりに
AIの登場によってプロダクト開発に必要な人数が減る。これは単に効率化の話にとどまりません。
それは「どういう事業が可能になるか」「どんな組織が機能するか」「どういう人材が必要とされるか」という本質的な問いに直結します。
これから事業を創る、あるいは組織を設計する人にとって、「少人数化時代のプロダクト開発」というテーマは避けて通れない論点になるでしょう。
確実に組織は大きく変わると考えています。そもそもの組織という概念が変わるレベルで変わると思います。
PdMとかエンジニアとかデザイナーなどの肩書きに惑わされないで!
どう変わるか、みなさんの予想をXで引用して教えてください。
あとがきとして追記
生成AIは組織の人数を減らすと思う。
この意見はコラボレーションの力を軽視しているということを意味しない。主張はむしろ真逆で「人数が多すぎるせいで、コラボレーションできてない場面があるのでは」ということが言いたい。
縦割りの組織なんかその典型で人数を増やす為の副作用だと思っている。
The Modelなんて論外。
人を増やすために分業して効率化すのは、もっとも協業による創造から遠ざかっていると感じる。
シンプルに人が多いとコミュニケーションのためのコストは増えて、協働やコラボレーションがしにくくなる。
人数が多いゆえに本質的なコラボレーションができずに、形式的なコラボレーションで諦めてきたところはあるのでは。
フルサイクルな少人数による協働と、それ故に生じる創造。
ここに着目したい。
チームが始まった時のあの初期衝動。
その初期衝動そのままに大きなことができたらすごくない?
それができる時代になってる。
組織を大きくした故に失敗した事例って沢山あるよね。
やっぱりどう考えてもスモールチームの時代なんだよな。
この感覚の理解度はスモールチームを実際に体感してるかどうかで変わる。各役割が1人づつしかいないようなチームが何かを生み出す経験をしたかどうか。
組織全体の人数が増えたとしても、各チームは最小人数で価値を出せるチームにしておく。
そうすることで協働が起きやすくする。
ことが1番の生成AI時代に対する組織的な準備だと思う。
ちなみに僕はめちゃくちゃに協働による創造を信じています。
スモールチームの方がそれがやりやすくなると思う。
