事業計画のハナシ 事業計画の活用方法 a.k.a. 予実管理舐めんな!
BASE株式会社執行役員の柳川です。金融事業の事業責任者をしています。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
現在は事業戦略、プロダクト戦略、組織戦略全ての責任を持ちながら、事業責任者を務めさせていただいています。
今回「事業計画のハナシ」第3弾として、事業計画の活用方法の話を書きます。端的にいうと予実管理の話です。せっかく事業計画を書いても活用されないと勿体無い!ということで、実際に毎日毎月事業計画をどのように活用すべきか書いてみます。
事業計画三部作(参考記事)
プロダクト開発概要(参考記事)
事業計画は達成していれば良いわけではない
事業計画を引いたら、そのあとはどうしていますか?毎月もしくは毎週など決まった単位で達成か未達成かを見ると思います。ですよね!
(達成と未達成さえみてない現場やフェーズもあると思うんだけど、みた方がいいです。ただこれ結構大変なんだけどね。その話は最後に書いてます。)
事業計画を引いて予実管理をした結果が、達成しました!未達でした、、、だけでは勿体無いです。という話をします。
予実管理奥深いです
予実管理という言葉を聞いて何を思い浮かべるでしょうか。退屈だなとか窮屈だなとか意味ねーとか思いませんか?僕は思っていました。
予実管理は何をするかというと、文字通り予算に対して実態がどうであったかというの延々とみていく行為です。文字だけ見ると退屈そうですが、この延々とみていく行為が、着実に事業を良くするのです。
事業計画は道具であるという話をしましたが、予実管理はその道具を使いこなす行為です。アクションです。
事業を進める上でもPDCAのリズムが大事
プロダクト開発と同様に、事業を進める上でもPDCAのリズムが大事です。
Pが事業計画策定
Dが事業活動
Cが予実管理
Aが改善アクション
です。
プロダクト開発に例えると、予実管理は、スプリントレビューでありスプリントレトロスペクティブです。改善のアクションにつながる大事な行為なのです。気がついたときではなく、定期的に行うことが大事なのです。やらないとリズムができないのです。
こう聞くと予実管理めちゃくちゃ大事だなと思いませんか。
まずは達成するために頑張る
事業計画を立てて予実管理をすることの一番大きな意味は、達成するために頑張ることです。日々の事業活動の目線感を合わせ、それに向けチーム一丸として頑張る。方向性を決めモメンタムを作る。これが一番大事な効果です。
事業計画を立てただけでは、その効果は半分しかなくて、日々予実管理をして追い続けるからこそフルで効果が効いてくるのです。
このチームでの目線合わせで得られる効果が一番大きいかもです。
達成原因も未達成原因も分析する
達成するために頑張り続けると、達成したり未達成だったりします。
達成してやったね!未達で残念だったね!だけでなく原因を分析しましょう。
未達の場合は原因分析と説明を自然にやるんですが、達成してるとついついやらなかったりしがちです。達成した時こそきちんと原因分析しましょう。
原因分析をする際に大事なのが、計画を引いた際に想定していたトレンドとの変化を感じとることです。
事業計画を書くためにKPI分解してツリーを作るわけですが、その分解したKPIのトレンドが事業進捗に応じて変化していくんですよね。いい変化もあれば悪い変化もあるんですが、そのどちらも感じ取って、それを踏まえたアクションを考えるのが大事です。
分析作業自体はSQLを叩くもよし、Lookerのようなツールを使うもよしです。データ抽出をエンジニアにお願いしていると時間がかかってしまうので原因を分析する人がデータを触れる環境にあると良いですね。
結果と原因をみんなでシェアして次のアクションに繋げる
原因を分析したら、それを人に伝わる形にまとめる必要があります。これは経営陣や株主への説明のためでもあるのですが、チームを動かすためでもあります。
なにより人に説明できる形まで原因分析できると、自分の中でもだいぶ腑に落ちます。説明できるまで色々な数字を見ましょう。ここで腑に落ちないとネクストアクションが取れません。
短期のリカバリ策を取るのか中長期的に歪むから無視するのか
アクションの内容として、なんとかして数字達成したいから短期のリカバリ策を取るのか、中長期的にプロダクトが歪まないように静観するの迷ったりしますよね。
基本的には数字達成のために出来ることはなんでもやるべきです。でもそれをして中長期のユーザー信頼を失うならやるべきではないです。
ここで大事なのは気持ちではなくて数字に基づいて決めることです。短期で約束を守らなければ中長期で続けられません。中長期で発展しなければ短期を取り繕う必要もありません。短期と中長期両方の数字がどう変化するかを天秤にかけてベストな選択肢を取りましょう。
数字に基づいてそれぞれの役割でディスカッションしましょう。Biz側とかプロダクト側とか言って一方通行になってはダメですよ!
事業の理解度がどんどん上がる
予実管理と分析を毎月行っていると、どんどん事業の理解度が上がります。この数字とこの数字連動しているんだとか、この数字はこういう周期性があるんだとかに気がつきます。
数字から仮説を立ててユーザーの行動確認まで行うこともあります。「この数字のトレンド下がっているけど、何で何だろう?この前の動線変更の影響かな?」とかとか。
プロダクトや事業の改善はどれだけの時間考えたかも大事なんですが、どれだけの角度から考えたかも大事なのです。ユーザーインタビューからヒントを得たり、VOCからヒントを得たり、GAからヒントを得たり、そういうものと横並びで予実管理からもヒントが得られるのです。
予実管理がしやすい計画の立て方とかもできるようになる
予実管理をしていると、この数字わかりにくいなとか、この数字知りたいのに取れないのかーとかが出てきます。そしてそもそもKPIツリーがいけてないなとか、KPIの切り方が間違っているなとかに気がついたりします。
予実管理をへて事業計画の立て方にもPDCAが回るのです。
こういうことがあるので事業計画を立てて3年ぐらいは予実管理を回さないと、事業計画と予実管理は上達しないのです。
トップラインだけじゃなくて原価や販管費も大事
トップラインの達成未達成だけでなく、原価や販管費のズレや未消化も大事です。PL全体が事業活動のシグナルの塊です。しっかりチェックしましょう。事業のフェーズや性質により、売上を見るべきか、売上総利益を見るべきか、営業利益を見るべきかは変わります。何を最重要としてみるかは変わりますが、売上も売上総利益も営業利益も常に存在するのです。
僕は営利が正義だと思いますが。
特定のKPIにこだわるのも大事
「売上が遅効指標なので、売上見てても良くわかんないんだよね。」そういうこともあるでしょう。であればアクションの結果ができるだけすぐわかるKPIを見つけてそれを追いましょう。まず大事なのはアクションが数字に影響する実感を得ることです。何でもいいから絶対に数字は見ましょう。予実管理しましょう。
達成しないことによるモメンタム低下をどう考えるか
事業計画未達だとモメンタムが下がるから、達成できる計画を引くべきであるという考えもあるかもしれません。僕はこれはナンセンスだと思います。計画は当てるためにあるのではありません。当たった外れたで評価されるものではありません。計画は事業やプロダクトをよりよくする道具にすぎません。
常に達成する事業計画には何の意味もないです。むしろ未達の時こそモメンタムを作るのが事業責任者の仕事です。未達の時にそれをいかにバネにして次回の達成に繋げるか。原因を見極めどう対処するのか。これが非常に大事です。
達成と未達成の繰り返しこそがモメンタムを作るのです。
幼稚園児ではないので未達でテンションを下げない!悔しがるのはOK!
これの派生で、計画に対して外れるのが不快だから、そもそも計画を立てたくないなどと言う(思っている)人もいますが、全くの問題外であることは語る必要もないでしょう。
月次で数字を追う意味があるのか
月次で数字を追う際に、事業数字がコントロールし難い事業も中にはあります。獲得がテックタッチに依存するプラットフォームビジネスなどは、コントロールが難しいです。こういう場合月毎の計画を追う意味があるのか。
あります。施策を打って効果が出るのがその月ではないとしても、中長期では効いてくるはずです。そうでなければやる意味がない。
時折プロダクトチームが短期的な数字を追う意味がありますか?という質問をいただきます。あるに決まってます。アクションごとに即時に、数字影響が出ないとしても、常に最終的には数字影響が出るはずです。それを定期的に追っていくことは、モメンタムを作る意味でも、プロダクト改善のヒントを得る意味でも大事です。
たまに数字を見てもわかんなくなっちゃうしね。
外形的な指摘はすこぶる大事
予実管理をしている人から指摘や質問を受けると、「数字の話ばかり突っ込みやがって、ユーザー価値とか全然考えてないだろ」とか思うこともあると思います。気持ちはわかります。気持ちはわかりすが、浅はかだと思います。
事業やプロダクトというのは多角的に見るべきなのです。定性だけでも定量だけでもダメなのです。予実管理で得られる情報は大事な定量情報です。それも定期的な定量情報です。この情報から気がつけることはたくさんあります。
予実管理から得られる情報は福音であり神の恵みなのです。ありがたがりなさい。
予算の変更ってどれくらいの周期でやるの?
事業計画を立てて時間がたつと、だんだん予実がずれてきますよね。なんなら1月目からずれて冷や汗かいたりしますよね。(この怖い話共感してくれる人いますか?)
ずれてきたらどうしますか。修正しますか?
これが難しいところなのです。基本的には修正すべきではない。いちいち修正してたら計画を立てる意味がなくなりますからね。それにIRで1年単位で約束してたりすると、途中でみだりに修正するわけにはいきませんよね。
でも事業フェーズや、ずれてる理由によっては修正した方がいい場合もあります。
事業フェーズの話で言うとアーリーなフェーズではデータがないので盛大にずれてくる場合があります。この場合は修正周期をQ単位とかにした方が良いです。より細かくPDCAを回す選択肢を取る、と言うのも正解なのです。
ずれてる理由に関しては、しょうもない記載ミスとかでずれてたら直してください。ここはミスだからズレますみたいなところがあると途端に見る意味ないなーとか認知負荷上がるなーと言うことになります。もちろんしょうもないミスすんなよ!と言うところではありますがミスしますよ!あんな数字の羅列!
予実管理の仕組み化は確かに大変
予実管理しっかりやった方がいいのはわかるけど、仕組み化するのは結構大変ではあります。数字をデータベースから取ってきてとか、そもそも数字がデータベースにないから他の証票から起こしてとか、毎回SQL叩きたくないからツールで自動化してとか、色々自動化したあげくすごいスプレッドシートが出来上がってとか、あれーなんか微妙に数字合わないなとか。色々あります。
大変なんです。予実管理は一定コストがかかるのです。でもそれでもやった方がいいです。
今回の記事でそれでもやった方がいいということが伝わったかな。不安です。
データを貯める
データを集計する
データを整形して可視化する
それぞれに困難があるのですよね。「あーこのデータ溜めておいて取れるようにしておかないと、この部分の予実管理をするときに困るのか」とか全然あります。作ってから気がついて、エンジニアにお願いしたりします。予実管理する姿まで思い浮かべられて、初めて優れたプロダクト設計ができるのです。
そういうことを繰り返して、チーム全体で予実管理の練度が上がっていくのですよね。
予実管理と言えば、「ログラスとかDIGGLEとかあるけどどうなの?」
わかりません。多分役立つかどうかはフェーズとかビジネスモデルによるんだと思います。魔法の道具ではないと思います。ビジネスの形が固まってきてからは役に立ちそうですよね。
新規獲得の初期的なフェーズであればスプレッドシートとかで、ああでもない、こうでもないとグリグリやることをお勧めします。
どちらかというとLookerとかの方が先に使うことになそう。
予実管理舐めんな!
なんか色々書きましたが、地味だなー。
そうなんです地味なんです。事業を成長させるというのは地味なことの積み重ねなんです。こういう地味なことを継続できるのはそれだけで差別化なんです。予実管理めんどくさくなるけど、ガチで複利的に効いてくるからやろう。
予実管理まじで上達するので、騙されたと思って3年くらいやってください。
ただ数字遊びとか照らし合わせとかやってるわけじゃないから!
昔の自分に改めて言いたい。予実管理舐めんな!!
