あすみ小学校ビレッジ ⑨ビオトープ計画 連載恋愛小説
ちいさな頭を突きあわせ、イメージ図作成に熱心に取り組む子どもたち。
水族館パンフレットから生き物をハサミで切り抜き、模造紙に貼る。クレヨンやマーカーで夢を描く。
これは絵に描いた餅ではない。行動したことで、彼らは大きな収穫を得た。
水族館スタッフの口添えで、ビオトープ部門のある造園会社とコンタクトがとれたのだ。途方もない計画は、一足飛びにコマをすすめた感がある。
児童や保護者だけでつくる方法では、ほとんどが失敗するらしい。
善のにらんだとおり、手掘りの簡易な池では、すぐに水が濁りアオコが異臭を放つ。防水シートで水をためても耐久性に欠ける。
その道のプロに工事してもらい、微生物が定着する特殊な素材で池の土台をつくる必要がある。
「滝もできるんだよ~」と善の声がはずんでいるのも無理はない。滝と小川、池をつなぐ地下に循環ポンプを埋め込む本格仕様。
そうなってくると問題は費用だが、ここで動いたのが森下オサム。
チャリティーバザーで資金集めをすることを提案。目標額に届くかは未知数なため、クラウドファンディングも併用することに。
先日の海あそびでゲットした流木や貝殻、シーグラス。それらで貯金箱やオブジェ、アクセサリーをつくり商品として売る。
子どもと遊んでいるだけにみえた龍次は、ほめかたやアドバイスがうまかった。打ちとけたあとだからこそ、なのかもしれないが。
「教師に向いてるねえ、塩屋くん」
オサムに先に言われ、泉は目をみはる。
「さすが千種。見る目あるなあ」
娘をほめちぎり、大満足のご様子。
それから毎週末、龍次は催しスペースでワークショップを開いた。直径20㎝のドーム型ガラス内に、テラリウム風ジオラマをつくる。花畑や海の中、牧場。なにをつくってもいい、自分だけの世界。
材料費に加えて参加費を上乗せし、ビオトープ施工代の足しにするという。
みんながひとつの目標に向かって、それぞれの分野で力を尽くす。
このごろ、泉の毎日も充実し、海面に反射する太陽光のように輝いている。
(つづく)

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