NBAの表層だけを真似たBリーグ、本質は不動産事業で国際コンテンツ事業だった‼
10年目のBリーグ。前々回は、FIBAのレポートから世界の中のBリーグ(B1)が、如何に特異なリーグなのかを示した。
前回(前編)は、Bリーグの目標であるNBAと、MLBの違いの考察から、Bリーグ飛躍のヒントを探った。
即ち、バスケットボールと野球の国際普及度の差が、試合数の少ないNBAはグローバル化して巨額放映権による「高付加価値×少い試合数」モデルへ、MLBは伝統の数ヶ国のまま「薄利多売x多い試合数」モデルに。しかし、スーパースター オオタニの登場により、グローバル化しつつある。

映像も音響も光も素晴らしい
Bリーグの場合、試合数はNPBとほぼ同じだが
幸いな事に、チーム数の多いB1リーグは、NPBとほぼ同じ試合数になる。しかし、観客動員数は、大きな開きがある。
クラブ別の収益は、例えば福岡ソフトバンクホークスは約300億円、Jトップの浦和レッズが約100億円。B1トップの千葉ジェッツが、新アリーナ効果により50億円突破したが、ソフトバンクホークスの六分の1しかない。
B1リーグとNBAを比較すると
指標
B1リーグ NBA
試合数(レギュラーシーズン)
780試合 1230試合
放映権(年間)
約20〜30億円(DAZNなど) 約1兆円(新契約)
平均観客数(2024)
約3,500〜4,000人/試合 約18,000人/試合
平均チケット単価
約3,000〜5,000円 約12,000〜15,000円相当
クラブ売上平均
約10〜15億円/年 約500〜700億円/年
収益規模は桁が違います。NBAクラブの平均売上げは、ソフトバンクホークスの倍、B1クラブ平均の50倍も多い。
その主因は「アリーナの規模・所有権と収益支配権」と、「放映権単価」の差です。

約1万9000人収容
NBAラプターズのホーム
NHLメイプルリーフスのホーム
1.NBAは不動産事業、Bリーグも漸く気付く
アリーナで儲ける為のひとつのコンテンツが、プロバスケと言う認識が、日本には無かった。便利な場所に、投資し大規模アリーナを作り、200日ぐらいイベントを開催する。満員を目指し、飲食・グッズや駐車場、あらゆるライブイベント(試合、コンサート)の入場料で年間儲ける。アリーナ命名権も。ここが、そもそものNBAのアリーナビジネスです。
硬い椅子の売店の無い不便な公設公営体育館で、(地元企業・学校の)スポーツ観戦をする古い観戦文化が、永らく日本にあった。だから、Bリーグは、地域創生とか言い出し、まずは公設アリーナを沢山作らせた。VIP席をも要求し、改修させた。市や県に、税金や国の補助金で作らせる為に、バスケ大好きな人たちが騒ぐ、あのJリーグと同じ構図。間違っています。
そして昨年、節目がやっと訪れた。

ららポートアクルス名古屋アリーナ計画
不動産デベロッパーと結託してこそ、アリーナプロスポーツは、伸長する。船橋にある三井不動産のららアリーナ(馬蹄型)。神戸三ノ宮の公有地に建てたGLIONアリーナ(馬蹄型)はB2クラブを誘致。長崎では不動産業にオーナー通販会社が進出したハピネスアリーナ(楕円型)。そして、トヨタ不動産の土地にトヨタ自動車が自前のトヨタアリーナ(楕円型)を建築。ほぼすべて1万人規模です。
クラブを買収、または資本参加したオーナー(不動産企業等)のバスケ愛は、関係ない。新アリーナの事業性評価がすべて。日本のスポーツビジネスを根本から変えるインフラ転換の始まりでもあります。
利便性の良い、座り心地のよい民設民営の1万人規模のアリーナが、ライブイベントを年間200日開催する。(Bリーグの試合は、わずか30日分ブラスα) あらゆるライブイベントを招致するのが、NBAアリーナビジネスです。自前の箱で、人気イベントを招致し、ホームチームの試合以上に懸命に儲ける。だからトヨタアリーナは、サンロッカーズ渋谷のホームにもなる。
民間による立派な地方創生、地元活性化事業です。
NBAラプターズやレイカーズのホームアリーナで、NHLはもちろん、宿敵MLBワールドシリーズのライブビューイングもやっていたのが、近頃の出来事(イベント)。日本では、GLIONアリーナ(ストークス)で、Bリーグのライバル、女性に大人気のSVリーグ男子の試合を開催した。まさに呉越同舟。良い船には誰もが一緒に乗りたがる。
2.NBAは国際視聴コンテンツ産業、Bリーグは国内視聴スポーツ産業
もう一つの柱は、放映権。Bリーグは安過ぎるが、その努力の方法が、これもまた間違っている。海外英語配信は当たり前。友人は八村塁を観る為に、NBAリーグパスを購入した。オオタニがドジャースに居なければ、MLBのワールドシリーズを、1200万人の日本国民は朝見ないだろう。
ターゲットはアジア。アジアのスター選手を各クラブは、最低一人は高額雇用しないといけない。長崎ヴェルカの韓国代表イヒョンジュン(25歳)のように。米国人だらけの現状は間違っている。アジア枠は、来期のサラリーキャップから外すぐらいの覚悟が必要です。海外視聴者が必ず増えます。滋賀レイクスの台湾との交流戦略は素晴らしい。見本になります。
中継技術もまだまだ変わっていない。最新アリーナでは、センタービジョンに各選手のリアルタイムスタッツが表示されるのに、Bリーグの配信では無い。代表戦の地上波放送はリアルタイムスタッツ表示があるが。各選手のシーズンスタッツの紹介も無い。マルチ頭上カメラやリモートカメラの映像が無い。ハーフタイムに、選手やチームのストーリーも描かれない。絵が撮れて無い。ストーリーテリングは皆無。さらにSNSコンテンツは、各クラブと選手個人任せで、残念ながら下手。ダイジェスト映像にはチーム得点が表示されていない。改善点だらけである。Bリーグに、アリーナ観戦を超えるデジタル視聴体験を、世界に届ける気はあるのか? 疑問である。工夫が足りない。
NFLには、贔屓のチーム以外の試合を観てもらう工夫がある。Bリーグに、それは無い。
3.隠れた第三の要因 プレイオフ
実はMLBとNBAでは、プレイオフの「試合数」「構成」「収益への比重」が大きく異なります。Bリーグも。
この違いこそが、それぞれのリーグの「視聴構造」や「収益モデル」に直結している。そして、NBAを真似るBリーグの隠された伸びしろになる。

以下で、MLBとNBAのプレイオフを比較して整理します。
プレーオフ構造の基本比較
項目
MLB NBA
レギュラーシーズン試合数
162試合 (30チーム) 82試合(30チーム)
プレイオフ出場チーム数
12チーム(各リーグ6) 16チーム(各カンファレンス8)
シリーズ方式
各シリーズは短期決戦(3, 5, 7戦) すべて7戦制
最大試合数(チームが優勝まで)
23試合または19試合(3+5+7+7) 28試合(7×4ラウンド)
プレイオフ総試合数(全体)
約40〜50試合程度 約80〜90試合程度
プレイオフ放映期間
約4週間(10月) 約2か月(4〜6月)
放映権・スポンサー価値
年間収益の約15〜20% 年間収益の約40〜50%
プレイオフ試合の希少性
高い(短期決戦で緊張感) 連続性・シリーズ物として楽しむ
視聴傾向
「瞬間視聴型」 「継続視聴型」(プレイオフ全体で盛り上げ)

1. 試合数の“構造的”違い
NBAは全ラウンドが7試合制なので、長期化(約2か月間)することでメディア露出・広告価値が上昇し、同一カードを繰り返し見せる&語ることで、理解が進み“シリーズドラマ性”を生む。
一方でMLBは、3試合制(ワイルドカード)・5試合制(ディビジョン)など短期戦中心。偶然が起きやすい「1発勝負」の緊張感はあるが、放送時間・試合数が少ないため、放映権の総額は小さくなる。
NBAは「量」で稼ぐ長期興行プレイオフで、MLBは「希少性」で稼ぐ短期決戦プレイオフ。
2. 放映権・スポンサー収益への影響
要素
MLB
NBA
放映権料
FOX・TBS・ESPNなど。ポストシーズン全体で$800M規模
TNT・ESPNなど。プレイオフ全体で約$2.5B規模
広告単価
ワールドシリーズ中継1本あたり約$300–400K/30秒
NBA ファイルで$500–600K/30秒以上
総広告収入
約$600M(ワールドシリーズ中心)
約$1.5B(プレイオフ全体)
世界配信
MLBは北米・中南米・日本中心
NBAは欧州・中国・アジアまで視聴対象
3. シーズン全体に占める割合
指標
MLB NBA
プレイオフ試合の全試合に占める割合
約2%(50 ÷ 2430試合) 約7%(90 ÷ 1230試合)
プレイオフ視聴者の年間視聴時間シェア
約20〜25% 約50〜60%
放映収益に占める割合
約20% 約45%
NBAは「プレイオフがビジネスのコア」だが、MLBは「シーズン全体がビジネス」。
4. 視聴スタイルの違い
視聴傾向
MLB NBA
見られ方
勝負重視型 連続ドラマ型(シリーズ展開)
ストーリーテリング
MLBチーム・結果・データ・伝統中心
NBA選手個人・対戦関係・エンタメ中心(スター同士の対決物語)
SNS投稿波及
MBL限定的(静から動が長いシーン、遠い、ヘルメットで表情がわからない)
NBA毎試合で話題化しやすい(各プレイシーンが短く、ハイライト映えするシーンが多い)
NBAの方が「継続して視聴率が維持されるヒーロー対決の連続ドラマの仕組み」を多く持つ。 MLBは「頂上決戦で爆発的視聴率」を狙うモデル。
MLBは「日常的に見るシーズン全体の試合」で稼ぎ、NBAは「イベントとして見せるプレイオフの試合」で稼ぐ。
試合数が少なく、観客収容数も少ないプロバスケが、視聴価値で売上げを伸ばす工夫がここにあった。

ではBリーグとの比較
項目 B1リーグ NBA
レギュラーシーズン試合数
60試合 (26チーム) 82試合(30チーム)
プレイオフ出場チーム数
8チーム 16チーム(各カンファレンス8)
シリーズ方式
各シリーズは短期決戦(3. 3. 3戦) 各ラウンド7戦制
最大試合数(チームが優勝まで)
9試合(3x3) 28試合(7×4ラウンド)
プレイオフ総試合数(全体)
14〜21試合 約80〜90試合程度
プレイオフ放映期間
3週間(5月) 約2か月(4〜6月)
プレイオフ試合の全試合に占める割合
約2%(18 ÷ 780試合) 約7%(90 ÷ 1230試合)
B1は圧倒的にプレイオフ試合数が少ない。Bリーグには、イベント化したプレイオフこそが稼ぎ時との認識が、無いとみえる。連日開催による選手の疲労蓄積が懸念事項か、アリーナ確保問題か。NBAファイナルは、最低、中2日間の休養日がある。
大事なこの点を真似れば、アリーナでの試合開催益のみならず、高い視聴率で、リーグ放映権料を大幅に増やせる。

結語 3つの欠けた要素の追加
10年目の好調なBリーグ。チェアマンは浮かれている?場合かな。NBAにはある重要な3つの要素が欠けている。
将来は、1万人規模の民営民営アリーナを満員に出来るクラブだけが収益を元手に、高額外国人の補強が可能で優勝出来る。満員にする為には、まずはアリーナの利便性。駅近新アリーナで収益を大幅に伸ばしたジェッツもヴェルカも、今期好調な出だしですね。
5000人規模の売店も少ない、交通不便な公設アリーナで、勝ち続けるのは、かなり厳しくなるでしょう。それこそ有名ミュージシャンのツアー音楽ライブ興行が稼ぎ頭になる。指定管理者団体にならないと、それもクラブ収益にならない。不便でも大型有料駐車場があれば、補完出来るが。。
今後は、便利な立地(公有地がベスト)に、素晴らしい民設民営アリーナを作り、税金対策で寄付しよう。指定管理者団体で儲ける。公設アリーナは、その場所で、その指定管理者団体で、箱が埋まるかどうか真剣に考えよう。なお、アリーナ格差をサラリーキャップ制で抑えるのは、本末転倒。26クラブからエクスパンションで増やす際、現在の基準収容人数5000人から8000人位に、5、6年後は引き上げるはずです。
ヒューイック(不動産デベロッパー)が、千葉の海浜幕張(公有地)に作る駅徒歩3分、 NBAと同じ2万人規模の大型エンタメアリーナ(市に寄付)は、A千葉のホームアリーナになる予定です。楽しみですね、常勝軍団になるか。やっと、日本で本場並みのアリーナビジネスが根付く。川崎駅前のDeNAらによる大型新アリーナ計画(ブレイブサンダース)が待ち遠しい。放映権、視聴収益は、各クラブへの分配金となる。現在は、たぶん1億円/クラブもない。ここが大きければ、アリーナ格差は最小化出来る。まずは、スターアジア人選手獲得の優遇措置。リアルタイムスタッツ表示。選手・チームのストーリーテリングを初めよう。リーグ主催のオールスターゲーム(今期は長崎ハピネス)は、マルチ頭上カメラによる選手トレースなど最新の放送技術を実験的に駆使しよう。 SNS動画投稿は、プロ野球が最近、動画60秒に延長したので、Bリーグの動画15秒ルールは緩和しても良いかも。バスケは、SNS投稿と相性が良い。
希少性のあるCSプレイオフの試合数を増やす事が急務です。少なくとも、準決勝以降は、ホーム&アウイ5戦制に移行。プレイオフシーズンのイベント化へ。決勝は、ゆくゆくは7戦制で、1万人規模アリーナ開催を義務付ける。5月には貴重なCS試合を快適なアリーナで観る文化を作る。また、7位と8位チームは、10位と9位とのプレイイントーナメント、一発勝負も幕開けとして面白い。
リーグ放映権料(分配金)が増え、強いクラブはホームゲーム開催で、アリーナの稼働率が上がり、さらに潤う。
これで、もっと魅力的な儲かるスポーツ興行になります。そうすれば、最初の課題、得点の少ない最高年齢リーグは解決。強く若い外国人選手も、経済力のあるBリーグへどんどん移籍するようになります。NBAを目指す迫力ある若者の、エキサイティングな世界2位のリーグで、夢は叶う。
お読みいただきまして、ありがとうございます。

DH制はセ・リーグには要らない、ピッチクロックはプロ野球には不要だと言っている隙に、NBAのように、大型エンタメアリーナと(アジア)放映権で、NPBに追いつくチャンスがありますよ。日本人スーパースターが欲しい。
前編はこちら↓
Bリーグには、もうひとつの大問題があります。NBAでは考えられない対戦組み合わせの不平等。↓
オーナーも、NBAは全く違います。↓
