橋の上で手をつないだ夜、青森駅と八甲田丸|青森・函館旅行記(2018年8月)#4
ホテルのカーテン越しに、夜の気配が静かに滲んでいました。
少しだけ、と思って横になったはずが、空腹感で目が覚めます。
時計を見る前に、部屋の気配で、だいぶ寝てしまったことが分かりました。
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奥入瀬から、滝まで1時間半──右足の痛みと一緒に進んだ山道|青森・函館旅行記(2018年8月)#3|げじげじくん🎈
妻と子どもは、テレビをつけたり、お茶を飲んだりして、私が起きるのを待ってくれていたようです。
言葉にされることはなかったけれど、その空気に、体を起こす理由をもらった気がしました。
このあと書くのは、夕食を食べに1駅移動しただけの、短い夜の話です。
けれど、移動の途中で見えたものや、足取りの重さが、思った以上に残りました。
🚉1駅だけ、乗ってみる
夕食は、青森駅の近くで食べることにしました。
ホテルのある新青森駅からは、1駅です。
この駅で降りるのは、初めてでした。
ホームの前方に、かつて青函連絡船へ向かう通路が見えます。
階段は封鎖されていて、ただ「通れません」と言われているだけなのに、
時間の向きが変わったことを、体で理解させられる感じがしました。
賑わっていた頃を知らないはずなのに、少し遅れて到着したような感覚が残ります。

🚉橋の上で、足の疲れを思い出す
駅前の食堂で夕食を済ませてから、あてもなく歩きました。
駅を横切る、大きなつり橋が目に入り、自然とそちらへ向かいます。
橋に上がると、長時間のドライブで溜まっていた疲労が、右足に戻ってきました。
「まだ歩けるか」を、頭ではなく、足に聞きながら進む感じです。
橋の上から、かつて青函連絡船として活躍していた八甲田丸が見えました。
もう動くことはないと分かっていても、出航前に乗り換え客を待っているように見えます。

🚉高さに気づくまでの時間
子どもは、橋の上から八甲田丸を、しばらく黙って眺めていました。
そのあとで、ふと足元を見て、橋の高さに気づいたようです。
少しだけ表情が変わり、私の方に寄ってきました。
「大丈夫だよ」と言って、手をつなぎます。
言葉よりも、手の温度のほうが、安心につながっているようでした。
橋を東へ歩いていくと、倉庫のような建物の奥に、ねぶたが見えてきます。
祭りが近いからなのか、理由は分かりません。
ただ、動かないはずのものが、今にも外へ出てきそうな気配がありました。

🚉写真に残る、少しの緊張
橋の上で、妻と子どもと一緒に写真を撮ります。
子どもはまだ少し怖そうでしたが、妻と手をつなぎ、そのままカメラの方を向きました。
写っているのは、笑顔というより、「ちゃんと立っている」顔だった気がします。
それでも、その夜の空気は、きちんと残っていました。
🚉同じ1駅、違う気配
青森駅に戻り、再び奥羽本線で新青森駅へ戻ります。
始発列車ですが、帰宅する人が多く、思ったより混雑していました。
さっきまで歩いていた場所が、窓の外を後ろへ流れていきます。
同じ1駅なのに、行きと帰りで、車内の温度が違うように感じました。
ホテルに戻り、明日に備えて早めに眠ります。
体は休んでいるはずなのに、橋の上の風や、停泊した船の気配が、しばらく頭のどこかに残っていました。
この先の旅でも、たぶん、似たような「1駅分」が、いくつか続く気がしています。
(つづく)
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目的地よりも、トンネルの中が記憶に残った移動の日|青森・函館旅行記(2018年8月)#5|げじげじくん🎈
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