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目的地よりも、トンネルの中が記憶に残った移動の日|青森・函館旅行記(2018年8月)#5

朝のカーテン越しの光が、思ったより早く部屋に入り込んできました。
まだ目覚ましが鳴る時間ではありません。
けれど、隣でごそごそと動く気配があって、目が覚めます。

旅行2日目。
この日は、北海道新幹線で青森を出て、函館へ向かう予定でした。

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橋の上で手をつないだ夜、青森駅と八甲田丸|青森・函館旅行記(2018年8月)#4|げじげじくん🎈

普段はなかなか起きない子どもが、今日はやけに早い。
新青森駅を出る新幹線は11時台なので、チェックアウトの時間ぎりぎりまでホテルにいようと思っていましたが、子どもはもう気持ちが先へ行ってしまっているようでした。

この日の移動は、目的地よりも、通り抜ける時間そのものが、強く残りました。


🚅チェックアウトを急がせたのは誰か


結局、9時半過ぎにはホテルを出ました。
「まだ早いよ」と言いかけて、言葉を引っ込めます。今日を一番楽しみにしているのは、たぶん子どもです。

外は相変わらず暑く、少し歩いただけで汗ばみました。
新青森駅に着き、新幹線改札を通ります。

妻と私は待合室で新幹線を待つことにしましたが、子どもは落ち着きません。
「ホーム上がってもいい?」と聞きながら、エスカレーターを上がったり、戻ってきたり。

他の新幹線に乗ってしまわないか、少しだけ心配になって呼び戻します。
待合室の前にあった、ねぶたの飾りを一緒に見たり、構内をぐるっと歩いたりしました。


🚅スーツケースを持ったまま、先頭へ


まもなく、乗る予定の新幹線が到着するというアナウンスが流れます。
その瞬間、「行こう」と言って、子どもがスーツケースを持ったまま、一目散にエスカレーターを上っていきました。

妻と私が、その背中を追いかけます。

車内に入ると、子どもはそのまま席へ向かい、3人掛けの窓側を確保しました。
発車前から、もう外の景色を眺めています。

新幹線は、新青森駅を出て、新函館北斗駅へ向かいます。


🚅「どこから入るの?」


発車してしばらくすると、長いトンネルが続きます。
それでも、子どもの視線はずっと窓の外に向いたままです。

「どこから青函トンネルに入るの?」
そう聞かれて、「分からない」と答えました。

妻も私も、新幹線になる前に、青函トンネルを通ったことはありましたが、境目を正確に思い出せませんでした。
トンネルが途切れたり、また始まったり。
子どもは無言で外を見ています。

しばらくして、「奥津軽いまべつ駅が見えたよ」と、子どもが言いました。
その言葉で、在来線で通ったときの記憶が、少しだけ戻ります。


🚅入ったか、まだか


やがて、車内アナウンスで、これから青函トンネルに入るという案内が流れました。

「入ったかな」
「いや、まだだった」

そんなやり取りを繰り返したあと、「入った」という子どもの一声。
いつの間にか、青函トンネルに入っていたようです。

しばらくすると、トンネルの中に灯りが見えました。
「竜飛海底駅かな」と、子どもがつぶやきます。

車内には、ほかにも親子連れがいたようで、似たような会話が聞こえてきました。
トンネルに入るまでは、子どもの話に返すことで精一杯でしたが、入ってから、少しだけ気持ちに余裕が生まれます。


🚅海底を進む時間


妻と私は、新青森駅で買った昼ごはんを広げました。
それでも、子どもは飲み物にも食べ物にも、手を伸ばしません。

さらに進んで、また灯りが見えます。
「今度は吉岡海底駅だから、北海道入ったね」

普段なら、真っ暗な車窓にはすぐ飽きてしまうのに、海底を抜けるこの長いトンネルには、強く引きつけられているようでした。

やがて、トンネルを抜け、木古内駅を通過して、また次のトンネルに入っても、目線は変わりません。


🚅明るくなった、その瞬間まで


もうすぐ新函館北斗駅に到着するというアナウンスが流れます。
それでも、子どもは窓から目を離しません。

トンネルを抜けたのか、車窓がふっと明るくなりました。
到着するぎりぎりまで、この変化を見ていたかったのだと思います。

駅に着いてから声をかけ、ようやく席を立ちました。


🚅乗り換えの、その先へ


新函館北斗駅から函館駅へは、快速「はこだてライナー」に乗り換えます。
発車時刻が迫っていて、少し急ぎ足になりました。

3両編成の車内はすでに混んでいて、ドア付近に立ったまま向かいます。
妻が「乗り換えって面倒ね」とつぶやきました。
以前、夫婦で来たときは、特急列車で函館まで直行できた頃だったのを、思い出したのかもしれません。

函館駅に着くと、子どもはスーツケースを持ちながら、少し早いペースで歩いていきました。
北海道新幹線で青函トンネルを通り、ここまで来たことが、体に残っているようでした。

たぶん、この日の一番の目的地は、函館ではなく、トンネルの中だったのだと思います。

(つづく)

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市電の横を走りながら考えた、函館の周り方|青森・函館旅行記(2018年8月)#6|げじげじくん🎈

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