真っ暗な車窓と、走行音だけの時間|北海道・東日本パスで宗谷岬を目指す旅#03(2025年12月)
<前回の旅行記はこちら>
日本海側を北上する夕方|北海道・東日本パスで宗谷岬を目指す旅#02(2025年12月)|げじげじくん🎈
発車ベルが鳴るころには、ホームはすっかり夜でした。
秋田駅から新青森駅へ向かう最終の快速列車。
座席はほぼ埋まり、通路に立っている人もいます。

目につくのは、会社帰りの人や学生さんばかりで、いかにも旅の途中といった雰囲気の人は多くありません。
外は相変わらず雨で、ガラスに当たる音が、発車と同時に後ろへ流れていきました。
🚊八郎潟までの賑わい
快速列車は思った以上のスピードで走ります。
けれど、八郎潟駅に着くころには、車内の空気ががらりと変わりました。
それまで立っていた人たちの多くが降り、急に静かになります。
座席も空き、さっきまでの通勤列車の顔は、いつの間にか消えていました。
窓の外は、完全な闇です。
景色は見えず、代わりに、電車が線路を噛むような力強い走行音だけが続きます。
この音をBGMにして、考えごとをしていました。
明日は強風の予報が出ている。北海道に入ってからの移動に、影響は出るのだろうか。
考えても答えは出ませんが、音に押されるように、思考だけが先へ進みます。
🚊揺れと、静かな会話
時折、列車が左右に大きく揺れます。
この速度で大丈夫なのか、と一瞬だけ思いますが、すぐにまた平然と走り続けます。
どうやら、これくらいは想定内らしい。
隣に座っていた学生さんは、最寄り駅が近づくまで、問題集を広げて黙々と手を動かしていました。
通学時間を、ただの移動にしない、その姿を横目で見ながら、子どもにぽつりと言います。
「すごいね、ずっと勉強してる」
すると、「普段、ちゃんとやってるよ」と、少し間を置いて返ってきました。
その返事を聞いて、私はそれ以上、何も言いませんでした。

🚊夜の停車駅
東能代を過ぎると、残っているのは、ほとんどが旅人のように見えます。
列車は、10数分おきに駅へ停まり、そのたびに、短い光景が現れては消えます。

大館駅に着くころには、乗客は20人ほどでした。
ここで、花輪線からの到着を待ちます。

厳しい天候の中でも、接続列車は定刻どおりに滑り込んできました。
誰かが拍手をするわけでもなく、ただ静かに発車します。
その後も、闇の中を快走していきます。
山を登っているのか、谷を抜けているのか。
長いトンネルをいくつか通った気配はありますが、確かなことは分かりません。
🚊北へ来た実感
大館から先では、雪が降った後らしい景色が、かすかに見えました。
白く照り返すものがあるおかげで、並走する高速道路が浮かび上がった、と子どもが教えてくれます。
青森県に入ったあたりから、車内の空気が少し冷えてきました。
ドア付近から入り込む、冷たいすきま風。確かに、北へ進んでいる感触があります。

弘前駅で再び人が増え、列車はまた、地元の足としての顔を取り戻します。

新青森駅には、定刻どおりに到着しました。
約2時間半、夜を走り続けての到着です。

新青森駅でようやく押し慣れました
ホームに降りると、雨音はまだ続いていました。
ただ、北に近づいたことだけが、身体に残っていました。
今日、ここまでの乗車時間は約17時間半!ですが、まだまだ続きます。
(つづく)
<次の記事はこちら>
トンネルの向こう側まで、あと少し|北海道・東日本パスで宗谷岬を目指す旅#04(2025年12月)|げじげじくん🎈
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