雪のない国境を越えていく|北海道・東日本パスで宗谷岬を目指す旅#01(2025年12月)
家を出たとき、外はまだ夜と朝のあいだでした。
吐く息は白くならず、手袋を探すほどでもない。
季節の境目に立っているような空気のなかで、玄関の鍵を閉めました。
この旅は、去年の夏に途中で止まってしまった続きです。
2024年7月、大雨で辿り着けなかった宗谷岬。
今回は、同じように普通列車を乗り継ぎながら、もう一度北を目指します。
<こちらの記事に書いています👇>
19分の稚内から、もう一度|げじげじくん🎈
🚊始発列車の温度
高崎線の始発列車は、すでに席が埋まっていました。
ボックスシートはなく、ドア付近の座席に腰を下ろします。
周りを見渡すと、忘年会帰りの人と、これから一日が始まる人とで、車内がきれいに分かれているようでした。
シートヒーターの熱が、じんわりと背中に伝わってきます。
それだけで、少し現実に戻される感じがしました。
熊谷駅でボックスシートが空き、子どもと一緒に移動します。
座った途端、ようやく安心したのか、黙ってご飯を食べ始めました。
ロングシートだと落ち着かなかったらしい。
その様子を見て、私は窓の外に目をやります。
ガラス越しに伝わる空気は、思ったより冷たくて、しばらくすると身体が少し縮こまりました。
🚊雪のない上越線

高崎駅から先は、車内が驚くほど空いていました。
3年前、同じ時間帯にはスキー板を抱えた人たちでいっぱいだったはずなのに、その姿は見当たりません。
理由は分かりません。
まだ仕事納め前だからなのか?、あるいは、青春18きっぷの制度が変わったからなのか?
ただ、沼田駅でほとんどの人が降りてしまうと、列車はまた静かになりました。
以前は、ここから先が雪だった。
今回は、その面影すらありません。
水上駅での乗り換えも、拍子抜けするほど余裕がありました。
かつての座席争奪戦を思い出しながら、ホームで立ち止まります。

新清水トンネルの中で、車内改札が回ってきました。
周囲を見回すと、青春18きっぷと北海道・東日本パスの人が、なんとなく半分ずつ。
言葉を交わすことはありませんが、同じ方向を向いている気配だけがありました。

🚊国境の先で
長いトンネルを抜けても、景色は白くなりませんでした。
どおりでスキーヤーがいないわけです。
越後湯沢駅を過ぎたあたりから、窓の下に雲海が広がります。

小千谷駅あたりで地元の人が増え、車内はほぼ満員。
天気は曇りのままでした。
長岡駅での乗り換えは、少しだけ緊張しました。
同じ動きをする人が多そうだと思ったからです。
でも、予想に反して席は空いていて、快速列車は軽快に走り出します。

新潟駅に着くころ、空はどんよりと沈み、小雨が落ちてきました。
待合室でスマホを充電しながら、昼ごはんを食べます。
ここまでで、まだ1日目の途中です。

🚊北へ向かう前に

特急「いなほ」で、少しだけ距離を縮めます。
車内は3割ほどの乗車率で、雨はだんだん強くなっていました。
村上駅に着くと、明日は強風で午前中が計画運休になる、という案内が流れます。

今日出発してよかったのかどうか、その判断が正しかったのかは分かりません。
ただ、ここに立っている、という事実だけがあります。
この先、今日はまだ北へ向かいます。
函館を目指して、羽越本線を進む予定です。
駅の外は雨音がはっきりしていて、私はしばらく、その音を聞いていました。
(つづく)
<次の記事はこちら👇>
日本海側を北上する夕方|北海道・東日本パスで宗谷岬を目指す旅#02(2025年12月)|げじげじくん🎈
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