20年前のカミングアウト(6):ホモ嫌いの友人、意外な反応
こんにちは、しみっく(@simik_gay)です。
20年以上前に親友4人にゲイをカミングアウトした話 6つめです。
2004年大学4回生の冬、ホモ嫌いを公言している親友マスイにカミングアウトした話になります。
初めから読んでいただける方はこちらです。
前回の話はこちらです。
マスイについて
まずはマスイについて簡単に説明します。
マスイはどちらかというと一匹狼タイプの人間で、私たちとは仲良しでしたが学科の他のメンバーとはそこまで交流がありませんでした。その代わり、学科のメンバーには染まりきらない違った考え方をもっていて、客観的に物事を見ていて、私たちより少し大人に見えました。彼女もいましたし、あんまり理系学生っぽくない、普通っぽい人でした。
また、彼は同性愛について、時折嫌悪感を表すことがありました。ゲイを冗談のネタにする男はそこまで珍しくありませんが、ゲイに対してわざわざ嫌悪感を表明したり、レズビアンにまで嫌悪感を示す彼は珍しく、私にとって、彼はゲイバレしてはいけない、最も油断ならない親友でした。
とはいえ、もちろんホモ嫌いだけが彼の全てではありません。それ以外は気の良いやつだったので、普段は気にせず仲良くしていました。
マスイにカミングアウトすることを決めた理由
タカノの件もありましたし、ホモ嫌い発言のこともありましたので、実際にカミングアウトするべきかは迷っていたのですが、結局カミングアウトすることにしました。
正直、マスイへのカミングアウトは一番分の悪い賭けだと思っていました。普通に考えればホモ嫌いを公言する男に対して、ゲイがカミングアウトするなんて自殺行為です。引かれる、嫌がられるに決まってます。
でも、私のエゴですが、伝えたかったんです。みんなで集まった時に嘘はつきたくなかったし、マスイ以外のみんなは知ってるっていう状況はマスイに対する大きな裏切りです。一人だけ真実を知らされない、仲間はずれにされているっていうのはどんな事情があったにせよ、人間関係全てが嘘のように感じられてしまいます。私も仲間はずれにされて一時期人間不信になった経験があったのでそれだけはしたくなかったんです。
最悪、真実を伝えてマスイとの関係が壊れてしまうなら仕方ないと覚悟しました。
マスイと会って、「そっち系の人?」と聞かれたが否定してしまう
2004年2月16日午後3時、マスイと会いました。
「話がある」ということは伝えていましたが、まずは普通に買い物に行って、次にカラオケ屋に向かいました。カミングアウトしたらもうきっと2人きりでカラオケに行くことはなくなるんだろうなぁと思いながら。
途中、私がどんな話をしようとしているのか、に話が及びました。逆に、私はマスイに聞きました。「タカノにどんな話をされたか聞いた?」と。そしたら「しみっくから直接聞いてくれ」と言われただけで特に何の情報もなかったそうです。まあそりゃそうですよね。
そのときは、どんな話かは言わず、「言うかどうかも迷っている」と正直に伝えました。でも、本当はそんな風に言うのは卑怯だなと自分でもわかっていました。そんなこと言われたら相手は気になるに決まってます。だから知りたがる。そしたら「君が知りたがったから教えたんだ。私は悪くない。」みたいに責任転嫁しているようになってしまいます。でも、正直に言ってしまった。
で、大通りを歩いている途中に「実はそっち系の人とか?」とか聞かれました。大当たりなんですが、その場では正直に答えられなくて、反射的に否定してしまいました。でもうっすら感じるところがあったんじゃないかと思います。
いよいよカミングアウト
それでカラオケいって少し酒飲んで、ゲーセン行ってお好み焼き屋に行きました。話すチャンスがいっぱいあったはずなのに話せず、お好み焼き屋を出ました。午後3時に会ったのに話せないまま数時間が経過していました。
その後、やっぱり話そう、話さなきゃと覚悟を決めて、タカノにカミングアウトするときにも使った半個室っぽい喫茶店に行きました。
道すがらヒントを出しました。高校時代からのことだとか、ヤスダには2年前に伝えているとか。今思えば何だよそのクイズって思いますし、何時間も何に付き合わせてるんだよって思います。でも、それだけホモ嫌いの友人にカミングアウトすることは怖かったんです。
で、会ってから5時間半、ようやく切り出せました。タカノと同じですが、「一つ大きな嘘をついてたんよ」と。
いよいよ言わねば、となってからマスイの方は緊張もピークに達したのか「ちょっとタンマ」といってからトイレに行って10分以上は帰ってきませんでした。荷物はあったから帰ることはないとわかっていましたが、相当ビビらせてしまっていたんでしょう。本当に悪いことをしました。許して欲しい。
で、戻ってきたマスイが「よしこい」というからようやくカミングアウトできました。どんな風に伝えたかは緊張で私も詳しくは覚えていません。残念です。
マスイの反応はというと、もちろん動揺していましたが、他の人に比べるとだいぶ落ち着いていたように感じられました。「何て言えばええんかわからんけど、まあええんちゃうか」って言われたのを覚えています。意外とあっさりだったのでびっくりしました。
意外な反応
その後いろいろ話をしましたが、マスイからは「今まで変なこといえへんかったか」と言われました。
今まで同性愛を嫌悪するような発言をしてきて、ゲイである私が傷ついてきたんじゃないかと思い至ったんでしょう。ゲイの私のことを気遣ってくれたのです。私はマスイを誤解していたことを恥じました。
マスイが過去に同性愛を嫌悪する発言をしたとき、彼がそう感じていたのは事実でしょうし、生理的嫌悪というのは理屈ではないので簡単にはなくならないかもしれません。
でも、そばにいるよく知っている友人が同性愛者当事者であったということで、同性愛者が同性愛という特徴しかない人間なのではなくて、あくまでそれは個性の一部でしかないということに気づいてくれたんじゃないかと思います。これからも、少なくとも同性愛者を否定するような発言をすることは目の前にいる誰かを傷つけるかもしれない、口に出さないまでも頭の中で考えるだけでも私の顔が少しはチラつくんじゃないかと思います。
カミングアウトしたことで少しマスイの考えに影響を与えられたのではないかと思います。
次回、最終回。カミングアウトして20年後の話です。
