クラウドとは結局どこにある?SaaSとの違い・仕組みを図解
「そのファイル、クラウドに入ってます」
そう言われて、結局どこにあるんだろうと思ったことはありませんか。
GmailもGoogleドライブも使っているのに、いざ説明を求められると詰まる。クラウドは、そういう言葉の代表格です。
実際、企業の**83.5%**がすでにクラウドサービスを利用しています(総務省令和7年通信利用動向調査、2026年5月29日公表)。
もはや「導入するかどうか」の段階ではありません。
この記事では、クラウドとは何か、SaaSとの違い、仕組みを、AIツールを仕事で使う非エンジニア向けに図解でまとめます。
クラウドとは?簡単にいうと「借りて使う」こと
クラウドとは、ネット越しに他社のコンピュータやソフトを借りて使うしくみ。雲の上ではなく、実物はどこかの建物の中にある
SaaS(サース)とは、そのうち「完成したソフトをそのまま使う」形。GmailもSlackもSaaS
企業がクラウドへ移る最大の理由は、場所と機器を選ばずに使えるから
この分野をまとめて学ぶなら、非エンジニア向けの一冊が近道です。
クラウドは結局どこにあるのか
いちばんの疑問から答えます。
クラウドは、提供会社が持っているコンピュータです。
雲の上に浮かんでいるわけではなく、どこかの建物の中に実物があります。

昔は会社が自分でサーバーを買い、社内に置いていました。
これをオンプレミスと呼びます。故障すれば自分たちで直し、容量が足りなければ買い足す。災害が起きれば機械ごと被災します。
クラウドは、その機械を他社から借りる発想です。機械そのものの保守は提供会社に任せられ、必要な分だけ増減でき、どこからでも使えます。
ただしサービスの種類によっては、OSやアプリ、アカウント、データの管理は利用者が担当します(責任の分け方は後述)。
「クラウドに保存されています」は、提供会社のコンピュータに置いてありますという意味だったわけです。
クラウドファンディングの「クラウド」は群衆(crowd)で、雲(cloud)ではありません。
クラウドとインターネット・サーバーの違い
混同しやすい2つも、ここで整理しておきます。
インターネットとの違い。
インターネットはコンピュータ同士をつなぐ通信網、クラウドはその通信網を通じてコンピュータやソフトを使うサービスです。
道路がインターネットで、道路の先にあるレンタル倉庫がクラウドと考えると分かりやすくなります。
サーバーとの違い。
サーバーはデータの保存や処理を行うコンピュータそのもの、クラウドはそれをネット経由で借りられるようにした提供方法。
モノがサーバー、貸し方がクラウドです。
SaaS・PaaS・IaaSの違い
クラウドの話で必ず出てくる3つの言葉も片づけましょう。違いはどこまで用意してもらうかだけです。

食事にたとえると分かりやすい。IaaS(イアース)はキッチンを借りる。
場所と設備だけで、料理は自分。PaaS(パース)は材料と道具つき。
土台は用意ずみで、作るのは自分。SaaS(サース)は料理が届く。
完成品をそのまま使うだけです。
IPAも、IaaSは基礎的なリソース、PaaSはそこにOSや開発環境を加えたもの、SaaSは特定の業務アプリの提供として整理しています(IPA「クラウドとは?」)。
右へ行くほどラクで、左へ行くほど自由。
そして非エンジニアが日常で触れるのは、ほぼSaaSです。
SaaSの身近な例|GmailやSlackもクラウドサービス
「うちはまだクラウドを入れていない」と思っている職場でも、実はもう使っています。

分野ごとに挙げると、こうなります。
メール:Gmail、Outlook(利用企業の57.4%)
ファイル保管・共有:Google ドライブ、Dropbox(73.3%)
チャット・情報共有:Slack、Microsoft Teams、Notion(61.4%)
会計・人事:freee、マネーフォワード クラウド(56.3%)
予定の共有:Google カレンダー(53.6%)
営業管理:Salesforce、HubSpot(22.9%)
デザイン:Canva
生成AI:ChatGPT、Claude、Gemini
普段使っているストレージの容量表示。
その数字が、クラウド上であなたに割り当てられた保存容量です。
なお、Google AIではプランによって利用できる機能や利用上限も変わります。まずは無料プランで試し、不足を感じたらGoogle AI Pro(月額2,900円)へのアップグレードを検討するとよいでしょう。
企業がクラウドへ移行するメリットと理由
データを見ると、移行の理由がはっきり出ています。

注目したいのは総数より内訳です。
「全社的に利用している」企業が60.0%に達し、前年から6.9ポイント増加。一部の部門で試す段階から、会社全体で使う段階へ。 これが今の局面です。
理由の1位は「場所、機器を選ばずに利用できるから」50.7%。
次いで「安定運用、可用性が高くなるから」45.1%、「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」42.8%。
コストの安さは最下位(19.4%)でした。
安いから使うのではなく、働き方が変わったから使うわけです。
効果についても、利用企業の89.4%が「非常に効果があった」または「ある程度効果があった」と回答しています。
実務での判断軸 クラウドとオンプレミスの本当の違いは、「会社に機械があるかどうか」ではありません。容量を数分で増やせる、使わなくなったら減らせる、新しい技術をすぐ試せる——変更の速さです。
だから導入判断も「安くなるか」ではなく、調達と変更の速さ、運用の負担、障害への備えまで含めて考えます。
クラウドのデメリットとセキュリティ上の注意点
便利な一方、押さえておくべき点もあります。
基本的にはネット接続が必要です。 サービスによっては一部をオフラインで使えますが、同期や共有には通信が要ります。
データを預ける先の規約は確認が必要です。 どこの国のサーバーに保存され、誰がアクセスできるのか。会社で使うなら社内規程との突き合わせが要ります。
セキュリティは「提供会社任せ」ではありません。 IPAも、クラウドのセキュリティは事業者と利用者の両方が役割・責任を分担すると説明しています。IDやパスワードの管理は利用者の責任です。中小企業向けのクラウドサービス安全利用の手引きがチェックシート形式で公開されているので、導入前に目を通しておくと安心です。
AIとクラウドの関係
もうひとつ、このシリーズにとって重要な数字があります。
IoTやAI等のシステム・サービスを導入している企業は27.3%。前年の18.4%から8.9ポイント増えました。
この伸びを支えているのが、クラウドです。
第1回のAPIとは?も、第2回のトークンとは?で見た従量課金も、前提はクラウドにあります。AIは膨大な計算資源を必要としますが、各社が自前で買うのは非現実的。必要な分だけ借りられるから、使った分だけの支払いで済む。
私たちがブラウザやアプリから使うChatGPT、Claude、Geminiも、SaaSに近い形で提供されています。
つまり、クラウドが便利になったからAIが広まった。 順番はこちらです。
よくある質問
クラウドとは簡単に言うと何ですか? ネット越しに、他社のコンピュータやソフトを借りて使うしくみです。自分で機器を持たなくて済みます。
SaaSとは何の略ですか? Software as a Service の略で「サース」と読みます。完成した業務アプリをネット経由で使う形態です。
クラウドとSaaSの違いは何ですか? クラウドが大きなくくりで、SaaSはその一種です。提供形態にはSaaS・PaaS・IaaSがあります。
オンプレミスとは何ですか? 機器を自社内に設置して運用する従来型のやり方です。クラウドの対義語として使われます。
クラウドは安全ですか? 提供会社は自社運用より高度な対策をしていることが多い一方、IDやパスワードの管理、共有設定は利用者の責任です。責任は分担されています。
クラウドは自社運用より安いですか? 必ずしもそうではありません。企業がクラウドを選ぶ理由として「コストが安いから」は最下位です。
まとめ
クラウドとは、自分で持たずに、借りて使うこと。SaaSは、そのうち完成品をそのまま使う形です。
もう一度言うと、雲の上にあるわけではありません。どこかの建物の中にある、他社のコンピュータを借りている。 これだけ分かれば、会議でクラウドの話が出ても迷いません。
そしてAIが広まったのも、この「借りて使う」しくみが当たり前になったからです。AIはクラウドの上に建っています。
次にストレージの容量表示を見たとき、その数字は自分に割り当てられた分なんだと思い出してみてください。
次回は、クラウド同士をつないで仕事を自動化する
「自動化・ノーコード連携」を取り上げます。第1回のAPIが、ここで実践に変わります。
もっと学びたい人へ(2冊)
まず読むなら:ITパスポートの入門書 クラウド・SaaS・API・生成AIといった基礎用語が、非エンジニア向けに一冊で整理できます(ITパスポート試験のシラバスには生成AIに関する項目も追加されています/IPA)。
もう一歩進みたいなら:クラウドのしくみを解説した入門書 AWSやAzureといった名前が会議に出てくるなら、図解中心のクラウド入門書を1冊読んでおくと、話の全体像がつかめます。
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