「忘れ物多いよね」をやめたら、見えてきたもの

「また、やってる……」
朝の玄関に、脱ぎっぱなしの靴。
リビングには、ぽつんと置き去りにされた筆箱。
急いでいる朝ほど、
そんな光景が目についてしまいます。
「どうして毎回忘れるの?」
「何回言ったら分かるの?」
喉まで出かかった言葉を、ぐっと飲み込む。
実は最近、そんな場面が少し増えました。
なぜなら私は、
「忘れ物が多いよね」という一言が
子どもにどんな影響を与えるのかを
考えるようになったからです。
人は、自分の弱いところに意識が向いてしまう
人間って不思議な生き物です。
自分の失敗。
自分の欠点。
自分の苦手なこと。
そういうネガティブな部分には、
放っておいても
自然と意識が向くようにできています。
私自身にも心当たりがあります。
私は昔から、
自分のことを「口下手」だと思っています。
人前で話す機会があると、
「変なこと言ったらどうしよう」
「うまく話せなかったら恥ずかしいな」
そんな考えばかりが頭を占領します。
すると、本来伝えたいことよりも、
「失敗しないこと」に
意識が向いてしまうんです。
気づけば緊張して、ますます話せなくなる。
これって、子どもにも
同じことが起きているのかもしれません。
「忘れ物が多い子」というラベル
子どもに向かって、
「忘れ物多いよね」
「また忘れたの?」
「ほんとに気をつけなさい」
そんな言葉をかけたことはありませんか?
もちろん、親としては
責めたいわけじゃない。
困らないように。
将来苦労しないように。
そんな愛情から出る言葉です。
でも子どもは、その言葉を
少し違う形で受け取ることがあります。
「僕は忘れ物が多い子なんだ」
「私は片付けられない子なんだ」
そんなふうに、
自分自身のイメージとして
心の中に取り込んでしまうんです。
そして一度そのラベルが貼られると、
脳の意識はそこに向き続けます。
忘れない工夫を考える前に、
「自分はできない」
という思い込みに
エネルギーを使ってしまう。
それは、
とてももったいないことだなと思うのです。
子どもの脳にも「余白」が必要
人の意識には限界があります。
大人だって、
「私ってダメだな」
と思い続けている日は、
前向きなアイデアなんて
なかなか浮かびませんよね。
子どもも同じです。
自分の苦手な部分ばかり
意識させられていると、
「今日は何して遊ぼう」
「これ面白そう」
「やってみたい」
そんなワクワクに
使う心のスペースが減ってしまいます。
だから私は最近、
「忘れ物多いよね」
と言いたくなったときほど、
一呼吸置くようにしています。
見守るとは、「言わない勇気」かもしれない
子育てをしていると、
何かしてあげることが愛情だと思いがちです。
教えてあげる。
注意してあげる。
失敗しないように先回りしてあげる。
でも最近は、
それだけじゃない気がしています。
見守るというのは、
「言いたいことを全部言わない」
ことでもある。
つい指摘したくなる気持ちを、
少しだけ引き算する。
その勇気もまた、
大切な関わり方なのではないかと思うのです。
忘れ物をしたら、
自分で困る経験をするかもしれません。
失敗することもあるでしょう。
でもその経験の中で、
「次はどうしようかな」
と考える力が育っていく。
大人がすぐに答えを与えなくても、
子どもにはちゃんと学ぶ力があります。
子どもの心に余白を残してあげたい
大人が余計なラベルを貼らなければ、
子どもの心には自由な余白が残ります。
その余白に、
「これ面白い!」
「やってみたい!」
「もっと知りたい!」
そんな前向きな気持ちが育っていく。
忘れ物をしない完璧な子になることよりも、
自分の好きなことに
夢中になれる子でいてほしい。
私はそんなふうに思っています。
今日も本当にお疲れさまです
もちろん、私だって
毎回うまくできるわけではありません。
「また忘れてる!」
と口から飛び出してしまう日もあります。
でも、それでいい。
子どものことを真剣に考えているからこそ、
言いたくなるんです。
だから自分を責めなくて大丈夫。
もし明日、
「忘れ物多いよね」
と言いそうになったら、
一度だけ深呼吸してみてください。
そして、
「この子はどんな力を
伸ばそうとしている途中なんだろう?」
そんな目で見てみる。
それだけで、親子の空気は
少し変わるかもしれません。
今日も一日、
本当にお疲れさまでした。
明日の朝の玄関が、
今日より少しだけ優しい場所になりますように。
みなさんは最近、お子さんに対して
「言いたかったけど、
ぐっと飲み込んだ言葉」はありますか?
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