遁走詩 熱源
トッカータとフーガ
グリスに足をとられて
濡羽色にそまったもの
鈍い羽音ひびかせた
どこからかしのび寄る影
まばたきとシンクロする
水際のボトルディギング
「君好みのレトロ」
ビン底心底奈落の底へ
転がる個の賽、六面白目
スタッカートとヴィーヴォ
「ソコデ刻ンデロ」
読唇術、此処に極まれり。
ヒョイと手伸ばし置かれた天面
割れろティールグリーンの障壁
落ちろティールグリーンの城壁
「落チタラドウナル?」
お前誰
◇
お前誰
破れた鏡に問いかける
散らばる破片、万華鏡
たくさんのわたし
たくさんのあなた
たくさんのめだま
こちらが動けばあちらが動く
それはわたしのはずなのに
それはあなたのはずなのに
破片のひとつを手に取った
破れた鏡の奥の方
小さな花が咲いていた
そっと花びら手を伸ばす
唇の紅がやっと笑った
◇
唇の紅がやっと笑った
紅をさす私のくすり指は痛むのに
痛みを宥めて、夜の海
どこに行こうかと迷う足
丸い光は、何もくれず
懐かしい香りは、誰も連れて来ず
人の声は拾わぬ耳に
風をもとめて揺れる髪
身体が私ならいいのにと
くすり指が、笑えばいいのにと
遁走詩の二回目。
今回は、やまびよりさん→コハクシスさん→私の順番で詠んでいきました。
前回との違いは、
「ラスト一行のみを、次の人に渡す」ということ。
最後に、ひとつにしました。
前回からずっと興奮していて、その気持ちをどうしても書きたくて、少しだけ湖畔目線で解説させてください。
まず、やまびよりさんのパート。
密度の濃い言葉の波に押されながら、「落チタラドウナル?」から最後の「お前誰」に辿り着いたとき、ゾクッとしました。
コハクシスさんのパート。
「お前誰」から、その問いが外に向かわず、鏡へ向かっていく流れに、またゾクっと。
「たくさんのめだま」に覗かれる中、小さな花を見つけ、そして「唇の紅がやっと笑った」。
そして私。
「唇の紅がやっと笑った」
この一行を受け取ったとき、紅が笑ったのか、と感じた瞬間に、主体が“身体”に移りました。
感情は、ちょっと隣に置き身体が動き始める。
ひとつにして感じたのは、
見えない何かとたたかいながら(やまびよりさん談)自分を探して、最後は手放していくような流れ。
混沌 → 分裂 → 発見 → 身体へ → 手放す。
最後の一行だけで繋いでいるのに、
どこか同じ深さで潜っているように感じたのが、個人的にとても面白くて、興奮しています。
横に広がることなく、縦で繋がっていき、ひとつにした時に個人が出てくる。(湖畔主観)
それでも、また最初に戻っていくような気配も感じています。
あの「お前誰」という問いに、まだ名付けられていないまま、もう一度触れにいくような。
タイトルも、一人で詩を書いたら絶対に思いつかないであろうタイトルになりました。全体を読んでから、出てきたタイトルでした。
(……ヤバない?)
ちょっと、楽しすぎて心の声が出てしまいました。
リンクしている部分や繋がりに、ロマンを感じています。
そういえば、先日も、ロマンロマン言っていました。
結局…。
人生はロマンの連続ですね。
お二人のタイトルも、全く違うものがついていて、本当に面白いです。
タイトルで読んでいくと…
探し求めた先で、鏡で分裂して、僅かながらも消えることのない熱が残る。
なんてこと、考えちゃいました。
やまびよりさん
コハクシスさん
遁走詩とは。想狗さん
前回の詩は、湖畔のパートはニ番目でした。永野さんお見事です♡(記事に追記してます!)
