忘れていた叫び、ふたたび|あの日のわたしに会いに行く
10年ぶりに参加した中学の同窓会で、
「足、速かったよね?」
と言われ、一瞬、目が点になる。
バスケ部の話ならともかく、
走ることで印象に残るようなことはない。
「誰の話? 人違いじゃない?」
と、驚きながら、答えていたら、隣から
「違うよね、案外どんくさかったよね」
ってフォローがはいる。
思わず、ガン見して、
「いや、それも違う」
って、速攻否定。
ところが、最近見つけたサイン帳には
「持久走大会 1位」の文字があった。
あ~…そういえば、そういうこともあったなぁ…
と思い出した。
それで、”足が速い”という印象が残っていたのだろうか。
わたしは、特段、足は速くはなかった。
学校代表になんて、なったこともなかったし、
リレーのアンカーに選ばれることもなかった。
普通よりちょっとだけ速い方ぐらいの位置づけだ。
もし持久走大会で1位になったときの印象だとすれば、
その大会で、足の速いひとが手を抜いて、ちゃんと走らなかっただけ。
わたしが、特段、がんばって走ったわけではない。
1位を狙ったわけでも、新記録を狙ったわけでもない。
いつものようにいつものペースで。
でも、まわりとはどんどん離れていく。
「え?みんな、ちょっと手を抜きすぎじゃない?」
なんだかまじめに走っているわたしの方ががカッコ悪い気がした。
でも、今さらみんなと合流もできない。
というか、さっさと終わらせた方が楽!と思いながら、
ゴールを目指して走った。
ところが、1位で到着してみると、
「お前が1番で来るとは思わなかった。がんばったな~」
と、先生に称賛される。
?
だから、速いひとがちゃんと走らなかっただけ!
タイム一覧がでると、
「今年のタイムは、あまりよくないね」
って声も聞かれる。
だ、か、ら、速いひとがちゃんと走らなかっただけ!
タイムがよろしくないのは、わたしのせいじゃない‼
あの頃の叫びが、ふつふつと湧き上がり、
40年後のわたしが叫んでいる。
