【英語教育】キング牧師の授業指導案⑤⑥(中学校) ゴスペルから“I Have a Dream” へ
第5時:ワシントン大行進とキング牧師の最後のメッセージ
前時までの学習を簡単に振り返った後、いよいよワシントン大行進と、キング牧師のスピーチに迫る時間です。前時の復習を終えた後、教科書本文に入る前に次の二つの問いを投げかけました。
・How many people were there?
・What did he get in 1964?
本文を読む前に、あえて答えを予想させます。1万人、2万人、10万人と色んな数が出てきました。「1964年に彼は何を得たと思う?」と尋ねると、「教会」「平等」「自由」「発言力」「支持」など、さまざまな答えが出てきました。
どれも間違いではなく、むしろキング牧師の歩みをよく捉えた言葉だなと感じます。初めは30秒で本文中からこの二つの答えを探し、アンダーラインを引く活動を行いました(教科書4ページ目)。スキャニングは中学2年生の時から「読みトレ」で行ってきましたがこういう力も必要ですよね。
スピーチを「想像しながら」読む
次に扱ったのが、キング牧師のスピーチです。ただ内容を読むだけではなく、「どんな声の大きさで話していると思う?」「スピードは?」「表情は?」
「手振りは?」と問いかけながら、話し方を想像しながら読む活動を取り入れました。20万人以上の群衆を前に、歴史的な場面で語られた言葉です。その場の空気や緊張感、期待感などをイメージしながら読んで欲しいなという思いで行いました。
個人で考えた後は班活動です。班で交流する際には、なぜ自分は強く読むべきと思ったのか、なぜ手が動くのかなど、理由をきちんと伝えることを課しました。どの班もきちんと思いを持って音読する方法を考えていたように思います。
最後はExplanationをして、その後は思い思いに音読をして終わりました。
第6時:キング牧師の言葉が生まれた場所
前回の復習を終え、キング牧師の墓の写真を提示し、そこに刻まれている言葉について考えました。

その後、ゴスペルの音源を聴き、歌詞に込められた思いをもとに、次の問いについて考えました。
冒頭を聞かせた後に、歌詞を見せました。そして、歌詞について質問をしました。ここは日本語で行いました。
・ 「靴を履く」とは、どういう意味だろう?
・ “Going to Heaven” には、どんな思いが込められているのだろう?
・ “Free at last” には、どんな願いがあるのだろう?
当時、黒人の人々は、自由に自分の思いを口にすることができませんでした。そのため、ゴスペルを通して、希望や祈り、抵抗のメッセージを伝えていたことを、歴史的背景とともに伝えました。音楽を通して言葉の意味に触れることで、生徒たちは自然と深く考え始めていたように思います。キング牧師も、もちろんこの曲を知っていたことでしょう。
本物のスピーチを聴く
授業の締めくくりとして、キング牧師のスピーチのラストの部分(日本語字幕付き)を視聴しました。「キング牧師の表情をよく見て」と伝えて見てもらいました。教室は静まり返り、生徒たちは画面に釘付けになっていました(以下の動画 11:00〜16:38あたりを使用しました)
“Free at last, free at last. Thank God Almighty, we are free at last.”
この言葉が最後に流れたとき、数人の生徒の目が潤んでいました。感情移入できるくらい考えてくれたのでしょうか。英語の授業で英語を学ぶことは当然のことですが、それだけではなく歴史を学び、言葉の力に触れ、誰かの生き方と出会えるのが英語という教科だと思います。生徒たちにとって少しでもそういう時間であったのであれば、嬉しいなと思います。
キング牧師の原稿ができるまで
キング牧師のことについて書かれているものを探しました。
The Martin Luther King, Jr. Research and Education Institute (Stanford University)
この内容を翻訳し、生徒に渡して読ませました。キング牧師の言葉は、途中までは原稿ですが、途中からは心からの声だということがわかります。だからこそ、あの表情で語ることができたのでしょう。

導入で使用したHappy Birthdayの曲
第1時で聞かせたあの曲のサビをもう一度聞かせ、Happy Birthday to youのyouは誰だったかについて思い出させます。その後、歌詞を流し読みします。そうすると、キング牧師の名前が出てきます。当時すぐにマーティン・ルーサー・キングジュニアDAYができたわけではなかったが、のちに国民の祝日として定められたことを伝え、少しずつ環境も変わってきたことを伝えました。
Because it should never be
Just because some cannot see, the dream as clear as he
That they should make it become an illusion
And we all know everything
That he stood for time will bring
For in peace our hearts will sing
Thanks to Martin Luther King
We are the world
この曲は1月のMonthly Songとして使用していました。
人種の壁を越え、みんなでお互いのいのちを救うために協力できる世界がどれほど素晴らしいかということについて伝えます。きっと、100年前には想像できなかった世界です。そして、当時この曲が出た時から時間は過ぎ、2010年のハイチ地震で再び違うメンバーで結成され、いのちのためのチャリティーが行われたことを伝え皆で視聴しました。
この動画を見ているときにもまた涙目になっている生徒がいたのは、私の気のせいではなさそうです。(私もいろんな考えが交錯して、ちょっと動画に感動してしまいましたが)
これからの未来を担っていく君たちには、こういう世界を担う一人になって欲しいというメッセージを込めて終わりました。キング牧師の物語は、「すごい人の話」で終わらせてしまえば、それまでです。英語の授業だからこそ、言葉の重みと向き合う。そんな時間を、これからも大切にしていきたいと思います。
この話が単元内に組み込まれ、みんなで再び考えられる教材として出てくることを期待しています。
教科書本文はここまでですが、あと1時間だけ続きます。
