【英語教育】英語の歌(帯活動1)
帯活動があるのは、外国語教育の特徴かもしれません。数ある帯活動の中で、何が一番いいのか分からず、初任の時からあれやこれやと試しながらきました。今となっては必ずする帯活動は決まってきていて、そこに少しアレンジしながら工夫を重ねるという感じです。
でも、「英語の歌」だけは、絶対に授業初めにやろうと思っている帯活動の一つです。なぜなら、それは、英語が苦手な子でも楽しむことができる時間だからです。英語が嫌いだった私は、そこがよ〜く分かります。今回は私なりの指導の仕方と考え方についてお伝えしますね。
洋楽の選び方から指導について
帯活動で歌をしたいと考える先生は、きっとご自身も洋楽を聞かれるのかなと思います。私はどちらかというと邦楽の方をよく聴いているのですが、洋楽だとp!nkやTaylor Swiftが好きですね。ただし、それらを授業で歌うことはしません。私が過去に指導した曲の例を以下に示します。これは2018-2020年度に担当した学年の3年間の選曲です。

1.選曲で一番心掛けていることは「どこかで不意に聞くことがある曲」
テレビや動画、街角で流れる曲を選んでいます。英語が苦手でも、「この曲知っている!」とか「歌える!」って言えるようになってほしいじゃないですか。もう1つの思いとしては、「英語の授業で歌ったな〜」と、どこかで思い出してもらえたら嬉しいなと思っています。先日、卒業生がご飯に誘ってくれて、何名かで食事へ行きました。その中の一人が「先生見て!」と携帯を見せてきました。そこには彼らが中学生の時に使用した3年分の洋楽リストがあったのです。もうとっくに二十歳を過ぎた子らです。それを見た周りの子らが「何それ!めっちゃ懐かしい!そのリストちょうだい!」と興奮していて、その光景を見ることで「英語の歌、やっていてよかったな〜」と心底感じさせられました(私が一番興奮しました)。こういう瞬間のために、教師という仕事をしているのだなと感じ、また頑張ろうと思えます。
2.1年生の初めはなるべく音声変化の少ないもの
日本人が感じる英語の難しいところは、やはりプロソディーですよね。その中でも音声変化がなかなか身につきません。語と語がつながって早く流れたり、語の一部が脱落して読まれなかったり、あまり強く読まないから聞こえなかったりしますよね。だから、"Hello good bye"のように単語を一語一語しっかりと読んだり、ゆっくりとしたリズムであったりする曲を、なるべく一年生では使用します。そればかりの選曲では難しい部分もあるのですが、いきなり心を挫くような歌はやめたほうがいいかなと思います。
3.「歌の時間は、歌の時間!!」 歌えるようになる指導を
授業開始の3〜5分程度は歌の時間になります。リラックスできる時間ですね、私は「勉強のため」というよりは、先の「1」で示したようなところに目標があるので、歌詞でテストとかはしません。心から楽しんでほしいからです。ただしこの時間に、例えば教科書を読んだりノートを書いたりと、他のことをしている人がいると歌を一度止めます。「歌、続ける?やめる?」とその子に聞きますし、次の時間も同じことをしている子がいたら、きっと音楽を止めて、"OK. Let's go on to the next activity."と続けて、淡々と次の流れに移るでしょう。「あくまで授業の一部」という考えと「必ず歌えるようにしてあげたい」という思いから、メリハリをつけて指導しています。厳しく指導することが、むしろ歌の時間を好きになる生徒が増えると信じています
4.歌と歌詞はプロジェクターで前に投影する
歌詞は配付します。手元で見る生徒もいますが、私は歌と歌詞だけが流れるシンプルなミニ動画を作って、前に投影します。その理由は、みんなの顔が上がるからです。コロナ前は歌っていない子を見つけて、授業後に声をかけたりサビのところだけでも歌えるように指導したりしていましたが、コロナで休校になった時には困りました。歌詞リストの写真にもあるように、一斉休校でしばらく歌の指導ができなかったので、再開する時には制限もありなかなり指導が苦しかったですね。最近はマスクもだいぶんと取れましたので、以前のような指導ができるようになってきました。どんなに時間に追われても「歌わせ続けること(歌の指導を帯学習として続けること)が、生徒が洋楽が歌えるようになる指導の一歩だと思います(もちろん、日によっては「今日はカット!」という時もあります)。
5. 流行りの歌はしないけど、アンケート調査は大切
時間が経ってもよく聞かれる、いわゆる「名曲」を私は使います。生徒からすれば「今流行っている曲が歌いたい!」と思うようですが、今流行っている歌はきっと時間が経つと廃れてしまう可能性がありますし、何より流行っているのなら自分から歌えるようになるまで聴いたりすると思います。だから流行りの歌は授業ではしません(精神年齢に合わないこともありますし、スラングだらけのものもありますので使用する際は注意が必要ですね)。ただし、1年間の終わりには年間で指導した歌を順番に聞くだけの時間を作っていて、同時に人気アンケートも取っています。どの曲が生徒にハマったのかを調査することで、次に使用する曲を選定できます。全く彼らに届かなかった曲は次の時には違う曲に変えます。「私の歌リスト2018-2020」も、2回のアンケートを経て構成されています。2020年にもアンケートをとりましたので、今は3回目のアンケートを経たリストで回しているところです。人気投票はとても参考になりますよ。
6. 教科書の文法と合わせて選曲するの?
全てではありませんが、単元に合わせて構成することもあります。例えば、"Ob-La-Di, Ob-La-Da"は三単現が出てくる時に使用しますし、"Santa Claus is coming to town"は現在進行形で使用したりします(今までは年末にこの単元がくることがよくありました)。不定詞で "I just call to say I love you"を使うのも定番かもしれませんね。でも、歌はまず楽しむことから入り、歌えるようになった頃に「実はこの歌詞はね」という感じで伝えるほうが多いです。歌ってもいないのに英語の文法指導から入るのは、私なら嫌だな〜って感じだけですが。
英歌詞とカッコ抜きにされた日本語訳を見比べて記入する活動はありますし、それ以外にも実はもっと活用方法があります。その時々でいろんな工夫をされたら良いと思います。また私の実践でよければ、ご紹介させてください。
7. 歌の導入の仕方
新しい曲を導入する時には、まず歌詞を配布して、"What is the title of this song?" "Whose song is this?" など、書かれている情報を言わせたりします。The Beatlesは何度も使用するので、2回目には "Can you sing a Beatles song?”などとたずね、以前に学習した歌と記憶を紐づけたりします。次に1番とサビの部分だけリピートして、歌を流し、次時では2番とサビをリピートさせて、少しずつ歌える部分を増やしていきます。リピートも、歌のリズムに合わせて、歌うようにリピートさせる時もあります。結果的に洋楽は何度も流して最終的には聞き馴染みますので、さらっと練習すると良いと思います。
"Take me home"って、"Driving down the road, I get a feeling that I should have been home yesterday, yesterday"という部分だけが早いですよね。私はこういう歌いにくい部分は、毎時間リピートするように意識します。視覚的にも
"Driving down / the road, I get a / feeling that I / should have been home/ "
とリズムが切れる部分を示したり、音楽に合わせて手拍子でリズムを刻んだりしながらリピートさせたりもします。「この部分、歌えるようになったらかっこいいね。誰が一番に歌えるようになるかな?」などと伝えると、家で自ら聴いたりするようになりますよ。ただ流すだけでは身につかない部分は、何度も指導するのが大切だと思います。
8. 日本語訳は、指導者が作成する
今やインターネットで検索すれば、必ず使用したい洋楽の和訳が出てきます。ですが、私は自分で訳すことを心がけています。ちょっと時間はかかるのですが、なるべく直訳で、特に既習事項の文法の部分は、教えたように訳します。意訳って分かりやすいようで分かりにくいですよね、主観も入ってしまいますし。生徒が使う教材ですから、生徒の学びの系統性を理解して作成する方がいいのではないかな?と、思います。ただし、無数にあるサイトの意訳は、大変参考にさせていただいております笑。
9. 洋楽は、題材にもできる
「6」で「またご紹介させてください」とお伝えしましたが、歌を使用した授業展開って、面白いんです。メッセージ性を考えたり、背景を考えたり、歌ができた裏話なんかも、生徒と話していると私も発見があったりします。
中学最後の曲に、私は「Today my life begins」を使用しています。最後にみんなが歌えるようになる曲です。最終の授業では、この歌詞をもじったメッセージを生徒に送っています。 私の感謝も伝えながら、最後に"Today, Your life begins" と添えて送る感じです。
皆さんは、最後の授業で、どのようなお話をされるのですか?
とっても気になりますし、参考にさせて欲しいです。
さいごに
音楽って本当にワクワクしますよね。さすが、「音を楽しむ」と書くだけあります。色々と書きましたが、英語が苦手な生徒にとっては歌を歌っているだけで英語の授業が5分も過ぎている!というのはとても魅力的だと思います。苦手な授業なのに、50分のうち5分だけでも楽しいと思える時間があるって、素敵じゃないですか?英語が苦手だった私は、その点がとても共感できます。やっぱり「歌の指導」は今後も、続けていくんだろうなと思います。
皆さんが授業で使った曲や使いたい曲、自分が学生の時に聴いた思い出に残っている曲などはありますか?是非とも教えて欲しいものです。
