5004年 3月27日
「綺麗なものと、生きてるもの」
雨だった。
駅前のギャラリーに、
人が集まっていた。
ガラス越しに、
絵が並んでいるのが見えた。
細かかった。
とても丁寧だった。
近づくと、
どこまで描いてあるのか分からないくらい
だった。
みんな、
静かに見ていた。
私は少しだけ覗いて、
そのまま通り過ぎた。
少し歩くと、
公園で子供たちが遊んでいた。
服は泥だらけだった。
声も大きかった。
でも、
なんだか楽しそうだった。
私は昔のことを思い出した。
ずいぶん前。
綺麗なものを作ろうとする人たちがいた。
もっと細かく。
もっと正確に。
もっと美しく。
そう言いながら、
何年もかけて作っていた。
でも、
その後。
違うことを言う人たちも現れた。
もっと荒くていい。
もっと自由でいい。
ちゃんと揃ってなくてもいい。
そういう人たちだった。

不思議だった。
しばらくすると、
また綺麗なものが流行る。
また少しすると、
勢いのあるものが流行る。
雨が少し弱くなった。
公園の子供たちは、
まだ走り回っていた。
昔、
綺麗なものが好きな人たちがいたんだけどね。
生きてる感じが好きな人たちもいた。
私は濡れたベンチに座りながら、
しばらく空を見ていた。
人間、
上手なものも好きだし。
元気なものも好きみたい。
(5004/3/27執筆)
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