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なりきり屋、奇譚|||シン小説 no.074

「いよッ!なりきり屋ァ〜!」

『ナニカ』に成り切ることで、その能力を飛躍的に向上させる。

そんなことが、可能なのか。

もし可能ならば、俳優たちは皆、天才に成れてしまう。

そう、彼は、あくまで成り切っているだけ。

かの名探偵たちに。

当然、名探偵たちよろしく、難事件を解決したことはない。

自分が気に入った、名探偵の誰かとして振る舞い、語る。

ただ、成り切る。

ところが、その成り切りぶりは、なかなかたいしたもので。

云うなれば、憑依探偵。

彼のご実家は、なんだか大層な新興宗教にご熱心で。

幼少のみぎりから、救世主として育てられたとか、なんとか。

この憑依じみた振る舞いは、そのあたりの影響なのかもしれない。

いずれにせよ、モードに入った彼の語る『四方山話』が、これまた、なかなかのものなのである。

ひとつ難点なのが、その成り切りに、こちらも付き合わねばならないこと。

それを怠ると、エラく不機嫌になり、語るのをやめてしまう。

私は、かつて、ついつい正義感なぞという、謎の病いを患った。

あちこちに楯突いて、新聞社を追われてしまう。

新聞というメディアが縮小し続けている昨今、私の首など、あってないようなものだった。

そこからは、ジャーナリストもどきの、ルポライターもどきの、作家もどき、という日々。

そんな私にとって、目線の違う話は、ありがたいのである。

たとえ、こんな『なりきり屋』のような変わり者であったとしても。

ついつい付き合っているうちに、私も、すっかり成り切れるようになってしまった。

たとえば、かの大家、京極夏彦氏によって産み落とされた名物キャラクター、中禅寺秋彦こと京極堂。

自動的に、私は、関口巽と相成るわけで。

たいていは、この京極堂か、ホームズ。

私は、彼の語りを書き残せる。

それが、ワトソンや関口と、被るからだそうだ。

本人いわく、古今東西、たいていの名の知れた探偵なら、成り切れるとのこと。

古畑任三郎は、相棒が、いまいち冴えない。

コロンボ警部は、相棒がいない。

明智小五郎は、小林少年が文字通り、少年なので、私とだと不適格。

云々。

本人いわく、脳内整理のための、壁打ちのようなもの、なのだそうで。

AIが進化している昨今、私でなくても構わない、みたいなことを言う。

私の首は、ここでも、あってないようなものらしい。

そもそも『なりきり屋』というのは、私が勝手につけた。

そんな風に呼ぶのは、私だけ。

最初の頃は、小馬鹿にされている気がする、と不機嫌そうだった。

当然、成り切っているときに、そう呼ぶのは、御法度。

ただ、いつしか本人も、それなりに気に入ったらしく。

『業斬也』などという、勝手な屋号みたいなものを書いたりしていた。

(ギョウザ……屋か?)

どうやら、これで『なりきりや』と読むらしい。

『業を斬るなり』ね、なるほど。

なんでも、捏ねくり廻したがる、なりきり屋らしい。

たとえ、成り切りジャーナリストに相成ってしまった私であったとしても。

それでも、昔は、それなりに活躍した記者であった。

そんな私が、くだらない……おっと失礼……成り切りに付き合ってでも、聞きたいという四方山話たち。

京極堂みたいなもの、三部作とでも言おうか。

昨今話題の『クマ🐻騒ぎ』に便乗してしまったやつを、二つばかし。

 と、


三つ目。

線状降水帯、だの
異常台風🌀、だの
季節がない、だの
猛烈に暑い、だの

なりきり屋なりの『気候変動』『天変地異』対策みたいなもの


以上、京極堂みたいなもの、三部作。

なりきり屋の奇譚は、まだいくつかある。

また機会があればね。



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