泰夢(たいむ)のお話 その二:24
ようやく談話室から出た華恋と泰夢。本を探すために書架に向かいます。
それでは、どうぞ!!
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せの高い観葉植物の植木を手でシャラシャラとさわりながら、泰夢(たいむ)が歩いていく。
その先にあるのは、たくさんの本がならんだ本だながズラリと列になっている図書館の本がある場所だった。
デイパックをユサユサとゆらして、泰夢はごきげんの様子だった。
その後ろから、華恋(かれん)がトートバッグをかたにしてついていく。
(お母さんに持たされたおつけもの……
ちょっと重いかも……)
図書館に来る前、駅の向こうにある母のつとめ先によって、受け取ったものだった。
おすそ分けでもらったという、そのおつけものが入ったプラスチックの容器がズッシリと重いのだ。
華恋もそのおつけものは大好きで、泰夢の祖母も好物だった。
(━━きっと、泰夢くんも気に入ると思うから、
ちょっと多めに分けておいたからね!)
(えっ……それはわかるけど、
これって、さすがに多すぎじゃない?)
おつけものが入った容器は、一つが道具箱ぐらいの大きさがあって、とうめいのビニールのふくろで包まれているのだけれど、なんとそれが三つもトートバッグの中に入っているのだった。
泰夢くんも気に入ると思う……という母親の言葉に、ついついバッグに入れてしまったけれども、やっぱり一つか、せめて二つにしておけば良かったと思う。
(……でも、さっき泰夢くん、おつけもの好きだって言ってたし、
早く本を借りて、おばあちゃんちに帰って、
お夕飯のときに出してもらおっと!)
泰夢がおつけものと白いごはんをたくさんほうばって、ポリポリムシャムシャとやっているすがたが頭にうかんで、ちょっと楽しい気分になる。
「━━あれ、泰夢くんと華恋ちゃん。
外も暗くなってきたし、そろそろ帰るのかな?」
やさしい声が聞こえ、泰夢と華恋がそっちを向くと、そこに本を乗せたカートをおしているミハシロさんがいた。
「はい!
今から帰るところです!」
泰夢がそう元気よく返事をする後ろで、華恋がバッグのひもをギュッとにぎりしめる。
やっぱりちょっと、ミハシロさんのことが苦手だ。
またいつものむねのおくの方がクシュクシュっとなるような感じがして、ミハシロさんからそっと目を外すと、前にいる泰夢のせなかが見えた。
「…………」
なんとなく泰夢の手に目がいき、それを見ているうちにひもをにぎっている自分の手がじんわりとあたたかくなっていく感じがして、そのうちにスーッと力がぬけて、バッグのひもから手をはなす。
「あのぉ、ミハシロさん。
ボク……じゃないや、
オレたち本を借りたいんですけど……」
泰夢の言葉にミハシロさんは、ちょっとおどろいたような顔をして、メガネのはしっこを指でつまんでヒョイと持ち上げた。
「━━本を? もちろんいいけれど、
泰夢くんが借りたいのは、どんな本かしら?
自由研究の資料になりそうな本? それとも別の……」
「えーっとね、神様のお話で、ヨモツヘグイっていうのと、
あとは、昔話の三まいのお札のお話。
この二つが書いてある本が借りたいです!」
「うんうん、なるほどね。
『ヨモツヘグイ』と『三まいのお札』か……
それなら、わかりやすく書いてある本がいいかなぁ」
泰夢の話を聞いたミハシロさんは、ちょっと待っててねと言い、カートをその場に残して、列になっている本だなの方へ小走りでかけていく。
しばらくしてもどってきたミハシロさんのうでには、二さつの本がかかえられていた。
「━━ふぅ、おまたせ!
これだったら、きっと読みやすいと思うの」
わたされた本は、どちらもちょっと厚めの本で、泰夢の手の中でズッシリと重たい。
「それは、日本の神話について書かれた本と、
もう一つの方は、日本全国の昔話を集めた本。
目次の所にそれぞれ見出しがあって、そこだけ読めばだいじょうぶよ」
「うおーっ、スゲェー!
なんかオレさ、頭よくなった感じするじゃん!
━━ミハシロさん、ありがとう!」
それぞれの手に本を持って、チアダンスの時に使うポンポンのようにフリフリとさせて喜ぶ泰夢に、ミハシロさんもフッと鼻をふくらめる。
「それじゃあ、泰夢くん。
本の貸し出しの手続きをするから、
カウンターまで来てくれる?」
「はーい、わかりました!
……貸し出し手続きでカウンターね!
よーっし、貸し出し貸し出しー、楽しい貸し出しー!」
気分よく鼻歌を歌いながら、その厚い本を二さつ、しっかりとむねにかかえて元気よく歩き出した泰夢だったが急に立ち止まった。
一体なんだろう、と華恋が見ていると、青い顔した泰夢が振り向く。
「……えーっとさぁ、あのさぁ、華恋ちゃん。
図書館で本を借りる時って、
もしかすると、何かがないとダメ……?」
「うん……たぶんね。
だって、泰夢くんが住んでるのって別のところだし、
ここの図書館の利用カードだって、作ったことないでしょ?」
「うわーっ、マジで!?
それじゃあさ、オレってばさ、この本借りられないじゃん!
なんだよー、せっかくいいのがあったのにさぁ……」
さっきまでの大はしゃぎがウソのように、本当に頭が取れてしまうんじゃないかというぐらい、泰夢がガックリとうなだれた。
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嬉しくて楽しい時こそ、ダメになった場合の衝撃は大きいです……
では、次回もお楽しみに!
小林るい
