第三話「文徳の神降臨!刺激的な香りと色のハーモニー」後編
🍛 異国の旋律、揺れる静寂

カレー色の真珠の登場を告げるアナウンスが響いた瞬間、体育館に大きな拍手と歓声が巻き起こった。
そのざわめきに包まれ、高校の体育館は一瞬で“劇場”へと姿を変える。
照明に照らされた舞台が浮かび上がり、反響する拍手が天井を揺らした。
やがて、場内に出囃子が流れはじめる。
タブラの連打、シタールの響き。
どこかの街角のインド料理屋から紛れ込んできたような旋律が、静まりゆく体育館を満たしていった。
「ん……?」
観客の間に違和感が走る。
本来なら息をひそめるはずの静寂が、かすかなクスクス笑いに変わった。
最前列で肩を震わせた笑いは波紋のように広がり、椅子のきしみさえ笑い声に溶けていく。
旋律がふっと途切れる。
その瞬間──二人が舞台に現れた。
期待は爆発し、割れんばかりの拍手と歓声が再び体育館を揺らす。
🍛導火線の男、高梁

「ど〜も〜、こんにちは〜!」
三谷の声が、張りつめた空気を切り裂いた。
声が響いた瞬間、ほどけた空気が一気に笑いへと変わり、体育館全体が揺れる。
三谷、軽く一礼して──
「いや、ただいま文徳高校!」
その言葉に、待ってましたとばかりに客席から黄色い声が弾けた。
「おかえりーっ!」
「おかえりなさーい!」
女子生徒の甲高い声と、男子の野太い声が重なり合う。
まるで劇場に仕込まれたコール&レスポンスのように、体育館全体が揺れた。
“ただいま”と“おかえり”がぶつかり合い、笑いと拍手が混じりあってひとつのうねりとなった。
三谷
「ステージから見渡すと、やっぱり真面目ちゃんの学校やね。
でも、油断すると、この人みたいな異物が混入するから気をつけてね。
…あ、教頭先生、通報しないで!」
高梁
「人を開始20秒で不審者にするな!」
高梁が机を叩くように吠えると、会場が爆ぜた。
三谷
(高梁の頭をジロジロ見て、首をかしげる)
「……あれ? ここにも教頭先生!」
観客、ドッと沸く。
高梁
「色々と失礼だな!
#母校出禁やぞ‼︎」
会場、さらに爆発。
二人
「改めて──カレー色の真珠です!よろしくお願いします!」.
三谷
「右側の僕が、スポーツマンの三谷。いい感じに日焼けしてるでしょ?
で、隣にいるのが……ご愁傷様です」
高梁
「おい!今、絶対、頭見たやろ!?
たしかに残念なフォルムやけども!
“真珠”って!盛りすぎやろ!あと!名前にまで入れるな!」
三谷
「だ・ま・れ」
高梁
「おい、頭撫でるな!」
(心春)
一往復ごとに笑いが大きくなる。たった数秒で、会場全体が彼らのリズムに染められていく──
三谷
「僕らの名前、覚えるの簡単でしょ?
僕が呼ばれる時は
"カレーさん"なんだけど、
相方は…
(チラッ)ご愁傷様です」
高梁
「何度も見るな!」
三谷
「いやいや、だって頭見ると、手を合わせたくなるよ」
高梁
「合わせるな!拝むな!まだ現役や‼︎」
三谷
「木魚どう?
カレー色の木魚」
高梁
「真珠や!
…おい、言わすな‼︎」
三谷
「いいね。ありがたみが出た。
これ、伊勢志摩産の真珠?」
高梁
「撫でるな!
れっきとした神戸産‼︎」
三谷
「はい、本人の公認出ました!
これからは彼のことを
真珠の神戸さん
と呼びましょう!」
三谷、手を合わせて拝む
高梁「呼ぶな!崇むな‼︎」
(心春)
白井さんのときの“波”とは違う。これは津波。抗えない大きな笑いの渦──
つむぎ(小声、悔しそうに)
「……名前遊びでここまで持っていくか」
三谷
「満足しました。
さ、ネタ入りましょ」
高梁
「入れるか!
人を真珠だの…木魚だの…
大体だな、合コンって、聞いて付いてきたのに…母校やないか…」
三谷
「だまれ♪
知ってたくせに」
高梁
「軽やかに撫でるなぁ!
バラすな、恥ずかしい」
三谷
「自分、カラオケ行くでしょ?一人で」
高梁
「勝手にネタに入られて、勝手にお一人様にされたぞ」
三谷
「昔、深夜にカラオケ屋の店員してたんだけど、変な客が多くてね」
高梁
「倫理観がとち狂ったお前が言うな」
三谷
「おっさんが連れてくるお姉さんが毎回違うのよ」
高梁
「羨ましい話だな、おい」
三谷
「でね、おっさん、毎回受付で99歳って書くの」
高梁
「それはだるいな」
三谷
「でも、違うお姉さんが
毎回、キャハ♡おもしろーい!って言うのよ。
…なんかさ、
負けてられないよね!」
高梁
「そこは負けてやれ。
と言うか、話に入ろうとするな」
三谷
「あの、お客様、当店をご利用になってから1年が過ぎています。
年齢は100歳でお願いします」
高梁
「何、しれっと爆弾落としてんねん!
おっさん、かわいそうやろ!」
三谷
「でも、お姉さん、素に戻って
『100歳って、お兄さん、おもろいな〜。
え?このおっちゃん、毎回、99歳って書いてるの?ウケる〜!』やって!」
三谷、ガッツポーズ
「よっしゃ〜、勝った。
おっさんも涙目」
高梁
「…お前、人の夢を壊すな‼︎
素人さんと競うな!
そのおじさん、毎日、お調子者の同僚にいじられて…、みんなに笑われて…、やっと手にした給料で、楽しいひととき過ごしてるねん!
…お前に、…お調子者のお前にそれが分かるかぁ〜!
(1秒の間)
…は?俺、何言うてんねん」
三谷(高梁を指差してオタオタしながら)
「へ?あのおっさん、自分?
やば!やっば!
…
あ、そうか!
100年生きて悟りを開いた‼︎
さすが、木魚の神戸さん」
高梁
「木魚ちゃう!
真珠や‼︎
…って何回言わすねん‼️」
(心春)
──笑いが止まらない。高梁さんの叫びさえ、爆発の導火線になる
🍛文学を喰らう華麗なる男、三谷

三谷、ちらりと舞台袖のつむぎを見やる。そして、にやりと笑う。
三谷
「でもな、どんなおっさんでも、最後まで枝にしがみつく一枚の葉っぱがあるんよ」
高梁
「……は?」
三谷(真面目に)
「それが“最後の一葉”だね。
どんだけ笑われても、最後に残るもんがある。
それが人間の滑稽さであり、美しさよ」
(会場、一瞬しん…とする)
三谷、そっと高梁の頭に息を吹きかける。
(0.5秒の沈黙──観客が固唾をのむ)
高梁(間を爆発させて)
「──おい!それ俺の毛量のことやないか‼︎」
(観客ドッカーン!机を叩く音、椅子ガタガタ!)
三谷(すかさず畳みかける)
「そうそう、“最後の一葉”やなくて“最後の一本”!」
(さらに爆笑!体育館が揺れる!)
高梁
「お前みたいな人間は地獄に落ちろ!」
三谷
「ほな蜘蛛の糸よじ登って、這い上がったる!」
(観客クスクス)
三谷
「あ、ごめん、蜘蛛の糸やと切れてしまうなぁ。──だから、お前の最後の一本で!」
(観客ドッカーン!爆笑の波)
高梁
「大事な髪の毛をお前なんかに渡せるか!」
三谷、ニヤニヤ
「じゃあ、大切に鞄にしまっておこう。
鞄と君は同一人格。──いつでも、取り付けられます」
(観客クスクス…一瞬の沈黙)
高梁
「それはカツラや‼︎」
(観客ドッカーン!椅子がガタガタ揺れるほどの爆笑!)
三谷
(ふと真顔になって、客席に向かって、ぺこりと頭を下げて)
「あ、教頭先生、すみません」
(観客クスクス → すぐに爆笑へ)
高梁
「やめろーー‼︎」
(観客ドッカーン!拍手混じりの大爆笑)
( 心春)
……すごい。文学を一つの笑いに繋いでる…!
つむぎ(小声、噛みしめるように)
「間も掛け合いも畳み掛けも完璧……しかも、うちらのネタを……クソ!当てつけやないか」
🎤 三谷(にやり)
「いやぁ、文学って奥深いなぁ〜」
高梁
「お前が文学を語るな!」
三谷
「あ〜、面白かった。じゃあ、みんなまたね!」
高梁
「おい、終わるな!帰るな!この後、説教だからな!」
三谷
「みんなごめんね。うるさかったね〜。よし、ちゃんと説教するね!」
高梁
「おい!説教するのは俺や!……ありがとうございました。
あ、自己紹介遅れました。
僕、高梁と言います。覚えてくださいね」
三谷、舞台袖で
「今更かーい!」
高梁
「やかましい!お前のせいや!
…では」
体育館、万雷の拍手。歓声がしばらく止まらない。
🍛斜陽、突き付けられる問い

体育館の熱気がまだ残る舞台袖。三谷と高梁が、心春とつむぎに歩み寄る。
高梁
「……かなわんわ。ほんま、いつもや。
気分でネタを放り込みやがって」
三谷(へらへら笑いながら)
「ごめん、ごめん。……で、どうだった、僕たちの漫才?」
(つむぎ、腕を組んで黙ったまま。目はどこか遠くを見ている。
心春、つむぎを気にしながら、恐る恐る答える)
心春
「……すごかったです。
言葉と笑いが……全部、持っていかれました」
つむぎ(小声、噛みしめるように)
「最後の畳み掛け……即興やろ。
うちらのネタ、パクりよった。……悔しいけど、発想は完璧や。
しかも──高梁さん、すぐに気付いて“間”を作るんや。
……あれは漫談やなくて、漫才や」
三谷、感心した素振りを見せて
「お!ちゃんと分かってるねぇ」
(つむぎをじっと見据え、声のトーンを落とす)
「ならさ……正直に言うけど」
一拍置いてから、静かに言い放つ。
「心春ちゃんを誘って漫才をした方が、良くない?
僕ならそうするね。
……分かったでしょ、自分の限界」
(その瞬間、つむぎの肩がぴくりと震える)
高梁(慌てて小突きながら)
「おい三谷!そういう言い方すんな!」
(つむぎ、唇を結んだまま、踵を返して歩き出す。背筋を伸ばしながらも、拳は固く握られている)
心春
「し、白井さん……!」
(呼び止めようとするが、つむぎは振り返らない。
観客のざわめきの中に紛れ、その姿を消してしまう)
(三谷、わざとらしく肩をすくめて)
三谷
「……あ〜あ、逃げちゃった」
(高梁が一歩、心春の前に出て、真剣な眼差しを向ける)
高梁
「桐野さんは、どうしたい?」
(心春、声が出ない。舞台の残響だけが胸を震わせる──)
(心春)
白井さんは逃げたんじゃない。そう思いたい。
でも……今のこの衝撃をどう受け止めればいいのか、自分にも分からない。
ただ一つ、はっきりしている。──選ばなければならない
(暗転。第三話・終)
🗳️ Parallel Time

つむぎ
「ここで──STOP!選択の時間や!」
ぱん、と手を叩く音が響く。
「この小説はただの小説やない。
みんなの選択で、話が変わっていくねん。
さあ──心春とつむぎに、何を選ばせる?」
⸻
🆕 新しい投票ルール
• 投票は note各ルート記事の「スキ」=1票
• 毎回 二択(A/B) の投票記事を同時公開
• スキ数の多い方を【正史】として物語を続けます
• もう一方は【没ルート】として残し、別の形でも読めるように公開します
⚠️ 投票は note内で完結 します。
外部サイト(Xなど)での投票は行いません。
⸻
第三話の選択はこれや!
🅰️ 「勇気を出して、つむぎを追いかける」
🅱️ 「立ち尽くし、自分の無力さに沈む」
👉 みんなの一票が、物語を決める!
🕒 締切:9月23日 20:00(JST)
📖「前編も読みたい!」って方はこちら!
第三話「文徳の神降臨!刺激的な香りと色のハーモニー」前編
最後に──
「うちの3回目の人生、楽しくしてくれるのはみんなやで!
次の展開は、あんたの一票次第や!
では──白井つむぎでした!
ども、あした〜!
