見出し画像

ダンジョン第82階層【実録】『最強ギルドの派閥争いと束の間の安息!次なる一手は大胆な潜入調査』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️

01:リミット・オブ・ネゴシエーション〈交渉の限界点〉


青木工業の本陣でのヒリヒリとするような死闘を終え、俺は東都校の拠点へと帰還した。

重厚な門を抜け、冷たい夜風が汗ばんだシャツに張り付く。

拘束の首輪(ネクタイ)を乱暴に緩めながら、俺は深い息を吐き出した。

疲弊しきったワガママボディ(鈍重な肉体)をきしませながら椅子に沈み込み、まずは俺に全てを託してくれた各ギルドマスター(社長)たちへ、瞬刻の通信文(メール)で今日の事の顛末を報告した。

互助陣列交渉(団体交渉)の可能性を残しつつも、最終的な不可逆の盟約(契約)は個別となること。

そして、遠隔防壁の分散陣列(在宅システム)への資本提携という新たなカードを切ったこと。

この瞬刻の通信文(メール)を受け取った吉田ギルドマスター(社長)が、「なんだそれは!話が違うじゃないか!」と唾を飛ばしながら顔を真っ赤にして激怒している姿が、俺の脳裏にありありと浮かぶ。

だが、全権を一任されている俺にとって、彼らの恐怖から来る後出しの追加要求を受け付けるつもりは毛頭ない。

ギリギリの条件闘争(交渉)の最前線において、条件が二転三転するのは、巨大ギルドの冷徹な怪物たちに弱みを見せるだけの愚の骨頂だからだ。

一度決めた物理刃(自分軸)は、最後まで決してブレてはならない。

俺は湧き上がる不安のノイズを切り捨て、次なる戦いに備えて準備を進めることにした。

前回は鮫島長老(役員)たちに口頭での説明だけに終わった遠隔防壁の分散陣列(在宅システム)への投資と資本提携のスキーム。

これを彼らが社内で稟議に通せるよう、完璧に論理構築された魔導設計書(資料)として準備しておこう。



02:ピースフル・サンクチュアリ〈束の間の安息領域〉


今日の死闘の果てに一つだけ確かな光明が見えた。

それは信徒(生徒)の環境整備に関する問題だ。

このかすかな光を今まさに前線で戦い続けている魔導女師(女性講師)たちにも報告しておこう。

俺は、彼女たちがいる講師控え室へと向かった。

重い扉のノブに手を掛けた瞬間。

かつてのギスギスした瘴気(息苦しい空気)を覚悟して息を止める。
そっと扉を開けた先に広がっていたのは、俺の予想を遥かに超える驚くべき光景だった。

かつては他者を寄せ付けない孤高の古参兵だった清水さんと若手の平野さん、山口さんの3人が和やかな雰囲気で仲睦まじく魔導錬成(作図作業)を進めていたのだ。

魔導鍵盤(キーボード)を叩く軽快な音が響き、かつての凍りつくような空気は完全に消え去っている。

それを見るだけで遠隔防壁の分散陣列(在宅システム)の本質的な進捗状況が全く停滞していないことを肌で感じることができた。

俺は極度の疲労と不意の安堵から、無意識に大げさなオーバーリアクションを取る痛々しいルーティンに走った。

「みんなの絆に乾杯!」とドヤ顔で右手を高く掲げた。

華麗なステップを踏もうと足を交差させた瞬間、背中の筋がピキッと不吉な悲鳴を上げる。

「ごふぁっ!」 強烈なぎっくり背中に襲われ、そのまま床に崩れ落ち、イモムシのようにピクピクと痙攣する羽目になった。

『おい、おっさん!』

『感動的なシーンで勝手に背中をつって自爆するとか、ただの初老の限界だ ワン!』

『一人で勝手に床を這いずり回って、控え室の空気を完全に介護施設に変えてる ワン!』

魔犬ツンの容赦なきジャッジメント・サタン〈魔犬の正論〉が俺の心臓を鋭く抉(えぐ)る!

痛恨的…!!

俺は背中の激痛を腹の底に抑え込み、這いつくばりながら一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!


「発動せよ……!」


ピースフル・サンクチュアリ〈束の間の安息領域〉ッ!!



03:フェイク・ホープ・インジェクション〈希望の先行注入〉


痛みに耐えながら不格好に立ち上がり、俺は3人に優しく声をかけた。

「夜遅くまでご苦労様」

「3人とも、そろそろ帰らないか」

そして、清水さんに向かって真っ直ぐに話しかける。

「習熟度はどうですか」

「2人はうまくやれてますか?」

鉄壁の結界を張っていたはずの清水さんは、見違えるような柔らかな笑顔で答えてくれた。

「2人は覚えが早くて、本当に助かりますよ」

「今は修正もなく、削除スピードにおいても私と遜色ないレベルまで来てますよ」

「異次元おじさん、2人をうんと褒めてあげてください」


奇跡的…!!


俺は驚きとともに平野さんと山口さんに向かって心から励ましの言葉をかけた。

「すごいじゃないか。さすが我が校が誇るエースの二人だね」

「これから信徒(生徒)に向けた指導が完璧にできるように清水さんからどんどん技術を吸収してくださいね」

そして、俺はもう一つ、大事な報告を付け加えた。

「あと最後に……先日、平野さんから相談されていた信徒(生徒)の在宅環境のことなんだけど」

「魔導板(パソコン)や虚空防衛の自律結界(セキュリティ環境)を買えない信徒への支援について、最強ギルドの重装盟主(スポンサー)から環境支援の流体命脈(資金)を引き出す交渉ができそうなんだよ」

「だから、心配することなく準備を進めてほしい」


驚愕的…!!


まだ確実に手に入れていない情報だ。

一歩間違えば嘘になる。
しかし、ギリギリの精神状態で戦う彼女たちを励ましたいという思いで、俺はあえて希望の言葉を投げかけた。

二人はパッと顔を輝かせ、心の底から安心した面持ちで答えてきた。

「本当ですか! それは良かったです!」

「今度は私たちが頑張らなきゃいけない番ですね!」

彼女たちの言葉を聞いた俺は、これまで冷酷な魔女(女性リーダー)たちによって虐げられてきた彼女たちの過去の痛みを思い返していた。

常に顔色をうかがい、怯えながら作業をしていたあの暗黒の休憩室での日々。

それが今、自らの力で未来を切り開こうとする強い意志に満ちた表情に変わっている。

「不安かもしれないが、俺が必ずその約束を形にする」

「今のペースで焦らず、着実に目の前の理(タスク)をこなしていってくれ」

二人はその言葉に力強く頷いた。

俺はそんな彼女たちを頼もしく思いながらも、自分が放ったこの言葉がもたらす重い責任(十字架)を噛み締めていた。

もし重装盟主(スポンサー)からの流体命脈(資金)引き出しが失敗すれば、彼女たちのこの笑顔を再び絶望の底へ突き落とすことになる。

絶対に負けられないのだ。

俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!

「いでよ……!」


フェイク・ホープ・インジェクション〈希望の先行注入〉ッ!!

うまくいかない中で、できることから始めていく。

一つ一つを泥臭く積み上げていかないと、その先の未来は決して生まれてこない。

そんな強い思いを胸に、俺は自室に戻り、先ほどの魔導設計書(資料)の作成の続きに入るのであった。



04:シャドウ・インテンション・アナライズ〈暗黒の意図の解析〉


深夜の静寂の中。

魔導板(パソコン)の青白い光だけが、俺の疲労困憊した顔を不気味に照らし出している。

冷めきった漆黒の覚醒水(コーヒー)を喉に流し込みながら、俺の思考は先ほどの青木工業での会談へと戻っていた。

鮫島長老(役員)が最後に放った不穏な言葉。

『あまり、欲をかかない方がいいですよ』

俺は手を止め、冷静に思考を巡らせた。

巨大な歯車が軋む音が、脳内で鳴り響く。

鮫島の立場から考えてみる。

今回の伊藤統括導師(部長)の闇(汚職)について、鮫島はどのように処理することが、自分たち派閥にとって最大のメリットを得られると考えるはずだろうか。

まず、伊藤が失脚してその後はどうなるのか。

今回の件が外部に表沙汰にならないよう社内で隠蔽することによって、伊藤のポジション(部長職)が空席になる。

情報を提供してくれた篠田先任導師(係長)がそこに着くことはないだろう。

彼はまだ係長だ。

最強ギルド(大企業)というガチガチのヒエラルキーにおいて、課長を飛び越えて一気に部長になることなど、よほどの異常事態がない限りありえない。

鮫島の息のかかった別の補給指揮官(課長)が昇進して、その座に座るのだろう。

篠田は、その抜けた「補給指揮官(課長」のポストを確実に狙っていると思われる。

鮫島自身はこの件を機に、理の構想陣列(設計部)や外郭盟約の補給陣列(調達部)における自分の派閥の勢力を拡大させることが目的なのか。

それとも、さらに上のポジションを狙うための布石としているのか。

俺は三つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!

「発動せよ……!」


シャドウ・インテンション・アナライズ〈暗黒の意図の解析〉ッ!!

巨大なクソゲー(会社組織)の内部で蠢く、血で血を洗う権力闘争。

しかし、どう考えても内部の確かな情報の巻物(データ)がない中で検討しても意味はない。

推測だけで動けば、足元をすくわれ、確実に致命傷を負う。

敵の真の狙いを知り、この先の見えないデスゲームの主導権を握るためには、さらなる深層の因果抽出(情報収集)が必要不可欠だ。

俺は、この巨大な闇の真相を暴くため、ある「大胆な行動」に打って出ることを決意した。

運命の歯車は、容赦なく回り始めていた。

いざ、次なる階層へ。



【次回予告:ダンジョン第83階層】


青木工業の真の意図を探るため、異次元おじさんが仕掛ける大胆な潜入調査!

敵の懐深くで蠢く派閥争いと鮫島長老の恐るべき野望が次第に明らかになる!

一方、魔導女師たちは在宅システムの本格始動に向けて限界突破の修練を続ける!

予測不能な権力闘争の渦に巻き込まれ、おじさんのMPはまたしても枯渇の危機に!?

次なる死闘が今、幕を開ける!

次階層を見逃すな!

最後までお付き合いありがとうございます。

【お知らせ】

異次元おじさんの魔道具店リニュアル!!

日々のクソゲー攻略の新しい禁断の書や魔道具がお手頃価格で出品中!!
他では絶対に手に入らない異次元おじさんの視点の魔道具が出品中!!
理不尽なクソゲーからの解放される逸品揃い!!👇️👇️👇️👇️

【迷宮の深淵へようこそ】

この 「クソゲー(社会)」 から強制ログアウトさせられた、時給1,100円スタートの男の生存戦略。

覚悟がある奴だけ、次のページをめくれ。

まさにこのダンジョンへの現在の最下層までの探索が一気にしたい冒険者はこちら👇️👇️

異次元おじさんの自己紹介はこちら👇️👇️


いいなと思ったら応援しよう!

サイコードン 執筆継続のためのMPの回復ポーション受付中!皆様のチップで私のやる気が爆上がりし、供物(生活費)という名の守備力も強化されます。頂いた支援は私の「PPR(個人再構築)」プロジェクトの運転資金として最適に配分され、記事のクオリティを劇的に改善します。ポチッと回復魔法を!