ダンジョン第83階層【実録】『最強ギルドの闇を暴け!裏情報の蒐集家との悪魔的等価交換と水面下で蠢く監視網』
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01:シークレット・インフォメーション・ブローカー〈秘密の情報屋〉
俺はある魔力充填所(純喫茶)の奥の席で、一人静かに漆黒の覚醒水(コーヒー)を飲んでいた。
翌日午後3時。
壁に掛けられた時計の針が、てっぺんを過ぎた頃。

カランコロンとドアのベルが鳴り、その男が入ってきた。
少しよれた背広に、鋭く周囲を窺うような目つき。
男は俺の向かいに座り、低く擦れた声で話しかけてきた。
「あなたが、異次元おじさんですね」
「改めて、私はこういうものです」
男がテーブルの上にスッと差し出した魔法の符(名刺)。
そこには『週刊逸話 記者 広沢』と記されていた。

いわゆる、三流の情報の巻物(週刊誌)を扱う裏情報の蒐集家(ゴシップ記者)といったところだろう。
河野ギルドマスター(社長)の知り合いに、裏事情に詳しい記者がいると前に聞いたことがあった。
俺は、最強ギルド(大企業)青木工業との死闘を有利に進めるため、そのツテを頼ったのだ。
「河野さんからの紹介だから、話だけは聞くよ」
広沢は値踏みするような視線を俺に向けながら、腕を組んだ。
「ありがとうございます」
「実はご相談がありまして、河野さんもお世話になっている、青木工業のことについて調べてもらいたいことがあるんです」
俺の言葉に、広沢はピクリと眉を動かした。

「いや、何ね」
「最近、青木工業と取引するギルド(会社)との付き合いが多くなりまして」
俺は真っ直ぐに男の目を見据え、本題を切り出した。
「青木工業の上層部の、内部勢力争いを知りたいんですよ」
静寂的…!!
魔力充填所(純喫茶)の空気が一瞬、ピンと張り詰めた。
02:インフォメーション・バーター〈情報と記事の等価交換〉
広沢はニヤリと口角を上げ、探るような顔つきで俺に問い返してきた。
「それで、私の見返りは何だい?」
当然の反応だ。
この理不尽な魔境(ビジネス社会全体)において、タダで動く者などいない。
俺は用意していたカードを切る。

「青木工業の、因果防波堤(下請け)への弾圧の実態というのはどうですか」
「ほほう」
広沢の目の色が変わった。
「それは少し、興味があるね」
最強ギルド(大企業)の傲慢な振る舞いは、読者の興味を惹く絶好のネタになる。
俺はさらに、悪魔的な提案を重ねる。
「ある程度調べていただいて、報告をいただけるようなら」
「その弾圧の実態について、詳しくお話ししましょう」
俺はここで、幾重にも保険をかけた。
外堀から噂を流すことによって、伊藤統括導師(部長)の立場を精神的に追い込んでいく。
ただし、因果を歪める汚濁供物(賄賂)と盟約の対価記録(領収書)の件は、絶対に伏せておく。
あれは、最後の切り札だからだ。
あくまでも、横暴な一閃価(単価)の叩き切りや、下請けいじめの実態だけを情報として渡す。
そのために、あの老舗ギルドマスター(社長)たちをうまく利用する。

身バレしないように細心の注意を払い、匿名のインタビューとして記事を書かせるのだ。
その見返りに、現状の青木工業の上層部の勢力図について、深い理解を得る。
俺は少し単価を切るような、強気の口ぶりで広沢に話を持ちかけた。
ここで俺は、無駄な余裕を見せようとして足を組み替えようとした瞬間。
テーブルの太い脚に、自らのすねを思い切り強打してしまう。
「ぐふぁっ!」
激痛に顔を歪め、手元の漆黒の覚醒水(ホットコーヒー)をこぼしそうになりながら、涙目で必死に痙攣を堪える羽目になる。

『おい、おっさん!』
『裏情報の取引中に一人で勝手にすねを粉砕して悶絶するとか、ただの自傷テロだ ワン!』
『痛みに耐えきれず涙目になって、完全にハードボイルドな空気を台無しにしてる ワン!』
魔犬ツンの容赦なきジャッジメント・サタン〈魔犬の正論〉が俺の心臓を鋭く抉る!
痛恨的…!!
俺は激痛を腹の底に抑え込み、一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」

インフォメーション・バーター〈情報と記事の等価交換〉ッ!!
「あなたが面白いと思うなら」
「その実際の因果防波堤(下請け企業)の社長のインタビュー、3人ほど紹介しますよ」
「どうだい?」
広沢は少し考え込み、やがて不敵な笑みを浮かべて答えた。

「わかった」
「1週間だけ時間をくれ」
「またその時に、ここで落ち合おう」
「それじゃあ。いい答え、待ってるよ」
俺たちは足早に解散し、それぞれの影へと消えていった。
03:ヒドゥン・アジェンダ・アナライズ〈隠された意図の解析〉
今後、青木工業の上層部と対等な条件闘争(交渉)を迎えるには、どうしてもギルド(社内)のリアルな動きの情報が欲しい。
現状、俺たちが手に入れた物理刃(証拠)で、有利な立場を保っているように見える。

しかし、水面下の情報がなければ、一瞬の隙を突かれて足元をすくわれる可能性も十分に残っているのだ。
俺はその足で、河野ギルドマスター(社長)の拠点へと向かった。
河野は突然の訪問にもかかわらず、すぐに時間を割いてくれた。
「どうしたんだよ、急に」
俺はソファに腰を下ろし、静かに報告を始めた。
「先日ご紹介いただいた記者に、先ほど会ってきました」
「青木工業の上層部の勢力争いを調べて欲しいと、依頼をしておきました」
河野は少し驚いたような表情を見せた。

「ほう。それは何を意味してるんだい?」
俺は己の思考を、率直に河野へと伝えた。
「今の現状は、私たちが証拠を持って、有利な立場を保っているように見えます」
「しかし、篠田先任導師(係長)と、鮫島長老(担当役員)が、この事によってどのようなメリットを受けるかによって……」
「最終的な向こうの判断が、大きく変わってきます」
戦慄的…!!
「そのためには、内部情報がまだ圧倒的に足りないんです」
俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!
「いでよ……!」

ヒドゥン・アジェンダ・アナライズ〈隠された意図の解析〉ッ!!
大企業という巨大なクソゲー(組織)の中で、派閥の利益と個人の野心はどう絡み合っているのか。
それを見誤れば、俺たちはただの捨て駒として消費され、全てを失う。
河野社長は、俺の深い懸念に納得したような顔で、静かに頷いた。
04:アライアンス・サーベイランス〈互助会監視網の構築〉
「ギルドマスター(社長)。もう一つ、お願いがあります」
俺はさらに踏み込み、次なる布石を打つことにした。
「ギルドマスター(社長)は長老(役員)を務めている、互助陣列(互助会)のメンバーの方を、何人か紹介してもらえませんか」
河野は明らかに戸惑い、驚いた顔をしてこちらに質問してきた。

「今更、何でだい?」
俺は真っ直ぐに河野の目を見据え、言い切った。
「それは、監視するためです」
「ちょっと、意味が分からないよ」
俺は身を乗り出し、その真意を語気を強めて説明した。
圧倒的…!!
「青木工業の取引があるギルド(会社)は、全てが私たちの味方とは限らないんです」
「青木工業が、互助陣列(互助会)に対して裏で多数派工作を仕掛ける可能性がないとは言えないんです」
巨大な権力は、必ず分断と懐柔を仕掛けてくる。
これまでの歴史がそれを証明している。
「そういう不穏な動きがないかどうか、水面下で探りを入れるためです」
俺は三つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!
「発動せよ……!」
アライアンス・サーベイランス〈互助会監視網の構築〉ッ!!
最強ギルド(大企業)との激しい条件闘争の裏側。
決して表には出ない、水面下に起こる可能性を探り、事前に潰す。
俺の説明を聞き終え、河野は深く息を吐き、納得した表情を浮かべて答えてくれた。

「……なるほど。それでは、2人ほど紹介しよう」
「ありがとうございます。これで少し、道が開けそうです」
俺は微笑みながら、心からの感謝を述べた。
見えない悪意が渦巻く中。
底辺のモブである俺は、決して油断することなく、生き残るための泥臭い防衛線を次々と張り巡らせていた。
このヒリヒリとするような極限のデスゲームは、まだまだ終わりを見せない。
いざ、次なる階層へ。
【次回予告:ダンジョン第84階層】
裏情報の蒐集家との悪魔的取引が動き出す中。
俺が構築した「監視網」が早くも異常を検知する!
水面下で蠢く最強ギルドの多数派工作と、切り崩される互助陣列のメンバーたち!
俺たちが握る証拠の価値を無効化しようとする鮫島長老の冷酷なる次なる一手とは!?
裏切りと疑心暗鬼が交錯するアウェー環境でおじさんのMPは再び限界突破の危機に!
次なる死闘が今、幕を開ける!
最後までお付き合いありがとうございます。
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