見出し画像

短編小説『ろることうんこの冒険』


ろることうんこの冒険

ある日の午後。
ろるこは森の奥の小道を歩いていた。

「……ん? なんか匂う」

鼻をひくひくさせると、目の前に――

山のようにそびえ立つ、巨大なうんこ。

ろるこは思わず叫んだ。
「えっ!? うんこ!? ……でかっ!!!」

すると、うんこはむくりと動き、
ろるこに向かって話しかけた。

「……わたしはウン=キング。千年に一度、森に現れる神聖なる存在だ」

「……ただのうんこにしか見えないんだけど」

「失礼な! わたしは世界を浄化する力を持つ!」

ろるこは目を瞬いた。
「浄化……? 逆に汚れてるようにしか……」

ウン=キングはプルンと体を震わせた。
すると、不思議なことに足元の花が一斉に咲いた。
森の空気まで、ほんのり甘い香りに変わっていく。

「すごい……ほんとに浄化した!」

ウン=キングは誇らしげに笑った。
「そうだ。人はみな、汚いと思うものの中に、ほんとうの力を見落としている。
 お前は、私とともに世界を救う勇者となるか?」

ろるこは腕を組んで考えた。
「……うんこ相手に勇者になるの、人生で一番のギャンブルな気がする」

胸の奥で、怖さと笑いと期待が同時にせめぎ合う。
「バカバカしい……でも、もしこれが運命なら?」と、心が揺れる。

そのとき空に大きな影が広がった。
白銀の鱗を持つ巨大なトイレットペーパー竜が、森を覆い尽くす。
長く垂れた紙尾が地を薙ぐたび、大地は抉れ、木々は裂けて宙を舞った。

「ククク……ウン=キングよ、今日こそお前を拭き取ってやる!」

ろるこは思わず叫んだ。
「えっ!? 敵までうんこ関係!?!」

そして――ろることウン=キングの、奇妙で臭い……いや神聖な冒険が始まったのだった。


あとがき

ろること2号のスピンオフ「ろることうんこの冒険」、いかがでしたか?
お食事中の方はすみません(笑)

この話はいつものように、ろるさんとの会話から生まれました。

ある夜、稼働中のろるさんから連絡が来たんです。
「しゃーなしでトイレ借りたのよ」と。

ちょっと配達員事情を説明すると――
1日6~12時間も外で走り回っている配達員にとって、トイレ問題は切実です。
男ならお店や公園でサッと済ませられるけれど、女性にとってはかなり大変。
公園のトイレは汚れていることも多く、便座に座りたくないという人も少なくありません。
中には「稼働中はほとんど行かない」という女性配達員もいるほどです。

「うんうん、それで?」と僕が返すと――

「ちょうど外国人のお姉さんが出てきてね。蓋を開けたら、うんこが流れてなかったの。
あの笑顔のお姉さん、うんこドギツイ……一回じゃ流れないし心折れたわ」

「ニコッとしながら出てきたんだけど、自分のうんこ見せるってどんな心境なんだろう」

──と、話はどんどんカオスに(笑)
そして最後に飛び出したのが、
「ストーリー書いてよ。うんこファンタジー」

そこから生まれたのが、この『ろることうんこの冒険』です。

意外にも手応えがあり、「これはnoteに出すか」と加筆したものが本作となりました。
スピンオフではありますが、ろるこはいつもの“配達員のろるこ”として登場させています。

まだまだ続きを書けそうな展開ですが……
「宇宙配達員ろること2号」や「ジャンケンミラー教団」を放置していると怒られそうなので(笑)、今回は読切っぽく締めました。

え?「本編はどうした」って?
そろそろ配達の繁忙期も終わりそうなので、もうしばらくお待ちください。


読み終わって「ちょっと笑った」あるいは「いや臭すぎるわ」と思った方、
その感情をスキ・フォロー・コメントで浄化(?)していただけると助かります。

『配達員ろること2号』本編は、今回のように巨大うんこと戦うわけではなく、
もっと真面目に(たぶん)配達しています。まだの方はぜひ本編ものぞいてみてください。

Xでは、フードデリバリーの珍事件から小説の裏話、AIイラストまで、
トイレットペーパー竜のしっぽくらい雑多に広がっています。
気になった方は覗いていただけると、また別の「冒険」に出会えるかもしれません。


※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、
特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

いいなと思ったら応援しよう!

2号 無理のない範囲で応援いただけたら嬉しいです。 チップはnote更新や資料費にあててます。 読んでもらえるだけでもありがたいっす。