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宇宙配達員ろること2号 第一話『星を継ぐもの』

割引あり



高校2年の修学旅行、私は宇宙へ行った。
かの有名なガガーリンの言葉通り、地球は青かった
──あのとき、私は決めた。将来、宇宙に生きるって。

あの青の向こうに、何かがある気がして。
自分の人生の答えが、きっとそこにあるって、信じてた。

帰還後、進路希望はもちろん“宇宙飛行士”。
先生も家族も応援してくれた。
推薦をもらって、訓練を受けて、夢を追いかけて……

ちょうどその頃、イーロン・マスクによる“宇宙大革命”が起きた。
民間宇宙産業は爆発的に拡大し、世界は空前の大宇宙ブームへ突入。

火星旅行が修学旅行先になり、
月面にはスタバとフィットネスジムができ、
コロニー間を結ぶ高速輸送便が当たり前に飛び交う時代──。

私も宇宙飛行士試験には合格した。
でも、憧れていたSORA-ONE宇宙航空(ソラワン)は倍率1000倍。
“宇宙人材・超・氷河期”の中で、私みたいな凡人が入れる余地なんてなかった。

それでも、宇宙に行きたい気持ちは、消えなかった。

あきらめきれずに選んだのが、スペースイーツ配達員
そう、宇宙船で運ぶのは夢じゃなくてタピオカだった。

大宇宙時代になっても、世界の人々は腹ペコなのだ。

正式な職業名は「民間宇宙物流ドライバー」──
でも実際は底辺職って言われてるやつだ。

配達先は、地球軌道ステーションや月面コロニーの高層居住区。
エントランスにはセキュリティドローン、
受付はAI執事、住人はセレブや国際機関の要人。
それでも私の扱いは、あくまで“ただの配達の人”。

受け取りは無言、チップはゼロ。
「玄関前に置いといてください」──
無重力の廊下でぷかぷか浮かぶピザの袋を見て、私は思う。

「これ、時給880円でL1軌道から運んでるんですけど?」

それでも、配達の途中、
ステーションの窓越しにちらっと地球の青が見えると、
なんか、ちょっとだけ報われた気がする。

"宇宙に生きる"って、まあ、
こういう意味もあるんだろうな。


あとがき『この物語のはじまり』

これは 「配達員ろること2号」の完全スピンオフ です。
キャラクターの見た目や性格はそのまま。
ただし、舞台だけが少し遠く――宇宙になりました。

そしてこの話も、いつも通りろるさんとの会話から始まりました。

最近暑くなってきたこともあって、空調服の話をしていたとき、
「ろるこにも着せてみようか」とふざけてた中で、ふと気づいたんです。
宇宙服って、究極の空調服じゃね?

ろるこに宇宙服を着せてみたら、やたら似合っていて。
そのとき、ろるさんがぽつりと「私、宇宙が好きなんだよね」と言いました。

じゃあ連れていこう。ろるこを宇宙に。
それがこの物語の出発点です。

中学生の頃、僕はSFが大好きでした。
ホーガンやクラーク、アシモフを読み、AKIRAや銃夢にのめり込み、
ターミネーターやエイリアン、2001年宇宙の旅に胸を躍らせた。

子供の頃に感じた「10年後の未来」は、すごく遠くに思えた。
でも今は、100年先ですら“手が届きそう”な感覚がある。

未来って、意外と想像の外にあるんじゃなくて、
今の日常の、ちょっと先にあるものなんだと思う。

たぶん宇宙に行けるようになっても、
「あー、こんなもんか」って言いながら、ハンバーガーを食べてる。
それくらいの距離感で、僕たちは未来と向き合ってる。

大宇宙時代になっても、世界の人々はやっぱり腹ペコなんだってね

この物語は、宇宙飛行士になれなかった女の子が、
タピオカを配達することで、それでも宇宙に生き続けようとする話です。

華やかでも、特別でもない。
それでも、窓から青い地球が見えたとき、
ほんの少しだけ報われた気がする――そんな話です。

この「ろるこ宇宙編」も、ろるさんとの雑談から生まれた、いつものろるにごです。
また気が向いたら、続きを書くかもしれません。

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※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
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