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ジャンケンミラー教団 第一話:パーより強い朝焼け

第一話:パーより強い朝焼け


ジャンケンミラー教──
ゆうしょーはその頂点に立っていた。

観衆は数百、いや数千か。
漆黒の衣をまとった人々が静かに見守る中、
ゆうしょーは両手を高く掲げ、チョキを突き出す。

その瞬間──

「ウオォォォォーーーーッ!!」

場内が割れんばかりの歓声に包まれた。
その手の形こそが、神の意志。
ジャンケンこそが、裁きと救済。

──そして物語は、数年前に遡る。


朝日が、やけに眩しい。
ベッドで寝たのなんて、何週間ぶりだろう。

ゆうしょーはシーツの上でタバコをふかし、煙を天井へ流した。
朝の光に、煙が揺れる。
隣には、昨日バーで捕まえた女がまだ寝ていた。

それは、とても静かな朝だった。

──ガチャガチャガチャ…!
突然、玄関のドアが乱暴にこじ開けられる音が響いた。

「えっ、ちょっと、やばいっ…!」

女が慌てて目を覚ます。
「何?」ゆうしょーが聞く。

「…帰るの明日って言ってたのに…」

──その瞬間、全てを悟った。

慌ててベッドから飛び降り、床に散らばる服をかき集める。
そうだ、まずパンツだけは履こう。
パンツを尻まで上げたそのとき──寝室のドアがガチャリと開いた。

現れたのは、でかい。
女の彼氏か、元旦那か、それともタチの悪い弟か。

「……お前、誰だ」

沈んだ声が響く。
数秒の沈黙。
ゆうしょーの脳内では、全選択肢が同時に走っていた。

逃げる?
土下座?
知らんフリ?

だが、そのどれでもなかった。
彼の口から自然と出た言葉は──

「そうだ!俺がジャンケンで勝ったら、見逃してくれませんか?」

「は?」
男が一瞬固まる。

「いや、これまで色々あったけど、ジャンケンって平等じゃないっすか?
 勝った方が正義っていうか、民意っていうか…」

なにかとめんどくさかったのか──
男は渋々手を出す。

「せーのっ…ジャン、ケン、ポン!」

パー vs チョキ──
勝ったのは、ゆうしょーだった。

「よっっっしゃああああ!!」

勝利の雄叫びが、静かな部屋に響く。

その日、彼は拳ひとつで修羅場を抜けた。

これは──拳ひとつでのし上がった男の物語である。

……が。

「で、ジャンケンで勝ったからって何やねん?」

「……ですよね。」

それは、また別の話である。

──第一話 完


あとがき ジャンケンミラー教・第一話を終えて

この物語は、配達員として活躍している ゆうしょーさん のX(旧Twitter)のポストから着想を得ました。

──この投稿を見た瞬間、「信者!」とAIでポスターを作ってリプしてしまったのが、すべての始まりです。

仲間でもない。
敵でもない。

信者。

それはつまり、ジャンケンミラー教──!

と、ひとり盛り上がっていたのですが、そもそも「ジャンケンミラーって何?」という方も多いと思います。

ジャンケンミラーとは、チョキの形をしたバイク用のミラー。
ゆうしょーさんはそれを装着して走っていて、今や彼のトレードマークになっています。

ちなみに、ゆうしょーさんとはリアルで会ったことはありません。
ポストの文面や語り口、ちょっとチャラそうな髪型の写真から受ける印象などで勝手にキャラを膨らませていますが、投稿を見る限り、言葉選びにセンスがあり、人を惹きつける魅力のある人物だと感じています。

あ、そうそう。
今、Wolt(ウォルト)というフードデリバリーサービスで友達紹介キャンペーンをやっているのですが、東京などの対象エリアでは、なんと紹介者に7万円も入ります!

配達界隈では、この紹介料を山分けするのが一般的なんですが──
ゆうしょーさんは違います。

「俺の欲を叶えるために全額くれ!」

……っていう。
いやもう、こういう豪胆さというか、ブレない欲望の出し方も含めて、やっぱり人を惹きつける何かがあるんですよね。

もし興味のある方がいたら、ぜひ彼の欲を叶えてあげてください✌

この物語に登場する「ゆうしょー」は、そんな彼をモデルにしています。

チャラくてアホっぽいけど、ピンチにはやたら冷静で強くて、
人を導くカリスマ性と、異常なまでの強運を持ち──
そしてついには「ジャンケンミラー教」の頂点に立つ。

そんなキャラです。

正直なところ、「第一話」と書きつつも、もともとは1話完結の短編として書き始めたもので、第2話があるかは未定です。

でも、もし続きを書くなら──
また誰かの「ポスト」や「行動」が、物語の火種になるかもしれません。

ではまた、どこかの配達先で。


※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

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