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[38]【人生の底を知ってる人たち】人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。-新聞配達編-


◾️この物語は筆者の実体験をもとに執筆しています。
僕が生きてきた記録です。


午前一時。

コーヒーをいれる。

コーヒーメーカーで落としたコーヒーを、
お気に入りのカップで飲む。

吉田に電話した。

生きていた。

元気だった。

そして何より、
怒っていなかった。

僕が失踪して、学んだこと。
実感したこと。
経験したこと。

それは、人生の底を知っている人は、
本当に優しいということだった。

人生の底は、その人によって違う。

もう立ち直れないんじゃないか。
生きていけないんじゃないか。

飢えと乾きの中で、
極限まで追い込まれた人たち。

家族を守るため。
自分を守るため。

恥を恥とも思わず、
ただ前に進むしかなかった人たち。

僕の知る人たちには、
そんな人が多かった。

そして僕は、
そんな人たちに支えられてきた。

コーヒーを飲みながら、
その人たちのことを思い出す。

そして、いつものように
外田新聞店へ向かった。

いつものように新聞にチラシを挟む。

いつものように、
配る順番に新聞をセットする。

当時、外田新聞店は
一日に五千部ほどを配達していた。

けれど、2026年の今、
外田新聞店は廃業している。

あの頃、誰がそれを想像しただろう。

廃業の理由は分からない。

でも、時代の流れだったのは
間違いないと思う。

新聞を配達する。
集金する。
契約を取る。

当時の僕には、それが仕事だった。

でも今は、
新規契約を取ることさえ
難しい時代なのだろう。

当時、多くの人の生活を支え、
多くの人に情報を届けていた新聞店。

世界は、少しずつ変わっていく。

そんな中で、
家族のために寝具店を経営しながら、
新聞店でも働いていた宮本さん。

宮本さんの寝具店は、
今も営業している。

宮本さん。
頑張ったんですね。

当時を知る人間から見れば、
何がどうなるかなんて、
本当に分からない。

もちろん、当時の僕も
そんなことは想像すらしなかった。

僕もまた、
少しずつ自分を変えながら、
皆の助けを借りながら、
生活を取り戻していった。

朝のコーヒーを飲む。

当時のことを思い出す。

そして、今日は「父の日」。

そう。
今の僕は、
五人娘の父になりました。

当時の宮本さんのように。

あの頃の僕を知る人は、
誰も想像していなかったと思う。

娘たちも、いつか、
このノンフィクションを読んだ時
驚くだろう。

君たちの父は、とんでもない男です。

世界中のお父さん。
そして、お母さん。
いえ、世界中の誰もが。

みんな、頑張っていますね。

ありがとう。

今日も自分を鼓舞して、

一日が始まる。


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6/22掲載




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「人生が終わった日も、朝のコーヒーだけは飲んでいた。」

【第一章・失踪編】

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第1章【第1話】へ


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