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育休を取った男性社員が3年後に後悔する、会社が絶対に言わない「評価リセット」

誰も言わないから書く。

育休取得率100%を誇る会社で、
復帰後3年間「あの人は育休組」という評価が静かに存在する。


数字は嘘をつかない。
だが数字の組み合わせは、都合よく選ばれる。
育休を推奨する会社が対外的に語ること、
そして語らないことの間に、3年後の後悔が潜んでいる。

育休取得率と復帰後昇進率を同時に公開する会社はほぼない

大手企業のCSRレポートや統合報告書を開けば、
男性育休取得率の欄は整っている。
90%、95%、なかには100%という数字も並ぶ。
政府の方針に沿い、企業は積極的に取得を促している。
広報資料には「男性も育休を取れる環境」という言葉が並ぶ。
採用ページにも載る。
それだけだ。

だが同じレポートの中に、
復帰後3年間の昇進率を取得者と非取得者で
比較した表があるか。

ない。ほぼない。

厚生労働省の調査によれば、
男性育休取得率は2023年度に30%を超えた。
政府目標の達成に向け、企業は取得を促している。
数字は確かに上がっている。
事実だ。

しかし取得した後のキャリアがどう推移したかを
追う調査は、企業主体ではほぼ行われない。

なぜか。データを出すと都合が悪いからだ。

取得率と復帰後昇進率は別のKPIだ

取得率を上げることと、
取得後のキャリアを守ることは、別のKPIだ。
前者は対外的なブランドになる。
ESGの文脈で評価され、採用広報にも使える。
後者は内部の問題であり、
解決にコストがかかる。
測定が困難で、できなくても外から見えない。

会社が開示するのは、見せたい数字だけだ。
取得率を問われれば答える。
復帰後の昇進格差を問われれば
「個別の事情による」と答える。
それが制度の現実だ。


「評価リセット」が起きる3つのメカニズム

育休取得後に起きることを、三つに分けて整理する。
抽象論ではなく、職場で実際に発生する具体的な動きだ。

一つ目は、プロジェクトからの自然な離脱だ。

育休中に動いた案件から外れる。これは当然だ。
問題は復帰後にある。
そのプロジェクトのコアメンバーには、
すでに別の人間が入っている。
「引き継ぎがあったから」という理由で、
自然に周縁に置かれる。

1年のブランクは、関係者の配置図から
名前が消えることを意味する。
重要プロジェクトのリードができる人間として、
記憶されなくなる。
記憶されない人間は、候補に上がらない。
単純だ。

評価期間のギャップが1年のビハインドを生む

二つ目は、評価期間のギャップだ。

多くの企業では、評価は年間の実績を積み上げる仕組みだ。
育休期間中は評価対象外になるケースが多い。
これは法的に問題ないとされているが、
実質的には同期との差が生まれる。
1年の育休を取れば、評価の起点で1年のビハインドを抱える。
差は生じる。

「育休を取ったことへの罰則ではない」と言われる。
結果として差は生じる。その差は、説明されない。

記憶の中で起きる静かなリセット

三つ目が、最も問題にならない部分だ。

「あの人は育休を取った」という記憶が、
評価者の頭に残る。

これは差別意識の話ではない。
人間の判断メカニズムの話だ。
昇進候補を検討する会議で、
「2年前に1年間いなかった人」と
「ずっといた人」のどちらが自然に名前が出るか。
出てくる名前は、記憶に濃い方だ。

会議室の中で、誰もそれを口にしない。
記録にも残らない。問題にならない。
問題にならないから、構造として温存される。

「落ち着いてから」という言葉の構造

ある30代の男性は、
育休から復帰して8ヶ月後にこう言った。

「チームのリーダー候補の話が出ていると聞いた。
自分の名前は最初から出ていなかったらしい。
上司に確認したら、
『今は復帰直後だから、まず落ち着いてから』と言われた。」

彼はそれ以上追及しなかった。
追及しても答えは出ないと分かっていたからだ。
その判断の正確さが、
すでにこの構造の核心を示している。


育休推奨会社が語らない、復帰後1年間のリアル

復帰後1年間に何が起きるか。表に出ない話だ。

まず、リハビリ期間という位置づけが自然に与えられる。
「まず慣れることから」という言葉は優しそうに聞こえる。
だが実態は、重要な意思決定から外すための言語化だ。

慣れる期間の間に、他の誰かが重要案件のリーダーを担い、
実績を積む。
慣れた頃には、すでに差がついている。
差がついた状態が、その後の「標準」になる。

次に、成果の測定基準が変わる。

育休前は100のアウトプットを出していたとする。
復帰直後に同じ100を出しても、
「育休明けなのに頑張っている」と評価される。
プラスに聞こえる。
表面上はそうだ。

しかしこの評価軸は昇進判断とは切り離されている。
称賛されながら、昇進候補から外れ続ける。
それが復帰後1年間の典型だ。

制度は整備された。評価構造は変わっていない

さらに問題なのは、これが本人に見えない形で進むことだ。

復帰後の1年間、表向きは「環境が整っている」とされる。
制度は使えた。職場復帰できた。子どもと過ごせた。
それは事実だ。
しかし人事評価の中では、
静かにマイナスの重みが乗っている。

これを証明することは難しい。
証明できないから問題にならない。
問題にならないから、構造として温存される。

「育休を取るな」とは誰も言わない。
ただ、取った後の現実について語る人もいない。
制度は整備され、取得率は上がり、広報資料は充実する。
その陰で、個人の評価だけが静かにリセットされていく。

3年後に後悔した人間を、あなたも見たことがある。
この構造を取得前に知らなかった人間だ。


制度を使った側が損をしないために問うべきこと

育休取得率を上げることと、
取得後のキャリアを守ることは、
同じ施策では達成できない。

前者はルールを変えれば動く。
義務化、罰則、取得率のKPI化。
これは短期間で数字が変わる。
数字が変われば、報告書に記載できる。
対外的な評価が上がる。

後者は、評価者の判断基準を変えることを要する。
こちらは数字にしにくく、測定が困難だ。
効果が出るまでに数年かかる。
だから企業は前者に集中し、後者を語らない。
語らないことは、問われない限り問題にならない。

問うべきは、一つだ。

育休取得率100%を誇る会社の、
復帰後3年間の昇進率データはどこにあるか。

この質問を人事部にぶつけてみればいい。
出てこなければ、それが答えだ。
出てきたとしても、
取得者と非取得者で分けたデータかどうかを確認しろ。
分けていなければ、数字は何も語っていない。
総合昇進率を出して「問題ない」と言う会社は、
問いに答えていない。

文化を変えているかどうかを見抜く唯一の方法

あなたはまだ信じているのか。

取得率の看板を掲げながら、
復帰後の追跡データを持たない会社は、
制度を整備しただけだ。
文化を変えていない。評価構造を変えていない。

「育休が取れる会社」と
「育休を取っても損をしない会社」は、全く別の話だ。
その違いを入社前に見抜く方法は一つしかない。
数字を要求することだ。

計算してから動け。感情ではなく、数字で判断しろ。

取得率を誇る会社ほど、
復帰後昇進データの不開示を問われていない。
制度の整備は入口の話だ。
キャリアへの影響はその先にある。

黙って飲み込む必要はない。


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