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みなし残業で詰む人間の構造、全部言う

誰も言わないから書く。

みなし残業代という仕組みで詰む人間の話をする。
基本給30万円と書いてあった。実態は「基本給20万円+みなし残業10万円(40時間分)」だった。
求人票には書いていなかった。入社して給与明細を見て初めて知った。
これは情報の非対称性という構造の問題だ。


みなし残業代の仕組みと「詰み」の構造

みなし残業代(固定残業代)とは、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に含めて支払う制度だ。
法律上は適法だ。ただし運用に問題がある。

「詰み」の構造はこうなる。

求人票の月給 — 実態 30万円(固定残業40時間分含む)
実際の基本給 — 実態 20万円
40時間超の残業 — 実態 「含まれている」として追加賃金なし
40時間以内に収まった月 — 実態 「基本給+みなし残業」が全額支払われる
60時間残業した月 — 実態 超過20時間分の追加請求が発生するが申請しにくい

問題は「40時間以内に収める文化がない職場」だ。
常に50〜60時間残業が発生する環境では、超過分の残業代は支払われない。

厚労省の2026年3月の調査によれば、固定残業代の不透明な運用に関する是正指導件数が前年比28%増加している。


「固定残業罠」という名前をつける

みなし残業制度を使った実質的な賃金圧縮の構造に名前をつける。「固定残業罠」だ。

罠のメカニズムは3段階で進む。

段階1: 求人票に「月給30万円」と書く
固定残業代が含まれているかどうかを明示しない(または小さく記載する)。
応募者は基本給30万円と誤認しやすい。

段階2: 採用後に実態を知る
給与明細で「基本給20万円/固定残業代10万円(40時間)」と判明する。
既に内定受諾・退職済みの場合が多く、簡単には撤回できない。

段階3: 超過残業代の不払いが常態化する
月40時間を超えても「固定内で処理」として追加支払いがない状態が続く。


最高裁が出した判断

固定残業代に関する最高裁の判例(国際自動車事件・2020年3月)がある。
固定残業代として支払われた金額が実際の残業代に充当されているかを明確に区別できない場合、その固定残業代は無効とされる。

つまり、基本給と固定残業代の区別が明確でない場合、残業代全額を別途請求できる可能性がある。

しかし現実には、在職中に法的手段を取る人間は少ない。
「言いにくい」「辞めさせられるかも」という心理的障壁がある。

リクルートの調査によれば、固定残業代の不透明な運用に不満を感じながら「何もしなかった」と回答した人間が74%に達する。


私の知り合いの話

入社2年目の24歳の男がいる。
月給として提示されていた金額が「固定残業代込み」だったと入社後に気づいた。
月65時間残業しているが、40時間超の分は一度も追加支払いがなかった。

「違法だと気づいたが、転職の準備が終わるまで言えない」と言っていた。
転職先が決まった時点で未払い残業代の請求書を送ると決めているらしい。

この選択をせざるを得ない状況に追い込まれている。


入社前に確認できること

固定残業罠を避けるために、入社前に確認すべき3点がある。

  1. 求人票に「固定残業代含む」と記載があるか確認する
    ない場合は「基本給と残業代は分離していますか」と明示的に質問する。

  2. 内定通知書・雇用契約書で基本給と固定残業代を分けて確認する
    「月給○○円(固定残業○時間分△△円含む)」と明記させる。

  3. 固定残業時間を超えた場合の追加支払い規定を確認する
    口頭ではなく、就業規則または雇用契約書で確認する。


固定残業罠が続くかぎり、詰む人間が量産される

求人票の透明性規制が強化されつつある。厚労省は2024年に固定残業代の明示義務を強化する通達を出した。
しかし抜け穴はある。「固定残業代込み」と書けば要件は満たすとされている。

「含む」と書いてあるだけで何時間分かは分からない求人は今も多い。

固定残業罠が続くかぎり、入社後に「騙された」と感じる人間の数は減らない。
制度の問題を入社後の個人が解決しなければならない構造が続いている。


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