【AIマンガ】膝が痛い

「……いてて。歳かなあ、膝が」
ソファから立ち上がった慎一は、これ見よがしに膝をさすった。ちらり、と娘の様子をうかがう。
陽菜はスマホを見たまま、微動だにしない。
作戦を変えることにした。今度は片足を引きずるようにして、リビングをゆっくり横切ってみせる。
「あー、痛い痛い。階段がつらいなあ」
「……」
指がスマホの画面をスクロールしていく。目線は一ミリも動かない。演技に対する批評すらもらえないというのは、なかなか堪えるものである。
慎一はあきらめて、自分の部屋へ引き上げた。
(……誰も心配してくれん)
その背中には、盛大に哀愁が漂っていた。
そして、その夜。
部屋を出た慎一は、ドアの前で足を止めた。
床に、紙袋がひとつ。近所の薬局のロゴが入っている。中を覗くと、膝用サポーターと湿布が入っていた。
「……」
言葉が出てこなかった。
閉じた娘の部屋の向こうから、素っ気ない声が飛んでくる。
「うるさいから、早く治して」
この家の優しさは、いつも正面から来ない。

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