見出し画像

ロマンシア初期広告は緑沢みゆき氏?円英智氏の漫画も大特集

ファルコムの名作?ロマンシア都築和彦先生による可愛いらしいイラストが有名ですよね。大傑作だった円英智先生の漫画「浪漫境伝説」も忘れられません。ところが初期広告イラストはタッチ全然が違うんです。今回はこの謎を追いながら、ザナドゥの次の時代を綴ります。


都築和彦先生による可愛いらしいタイトル。ロマンシアと言えばまずコレですよね!

❶緑沢みゆき先生の隠れた作品?

1985年末に発売された日本ファルコムのザナドゥは大ヒットとなり、翌1986年のパソコン雑誌はザナドゥ一色となりました。ファミコンと次元の違う奥深さにパソコン少年たちは狂喜乱舞、ファルコムはパソゲーブランドの一躍トップに躍り出ることになります。当然ドラゴンスレイヤーの次回作に期待が集まりましたが、86年夏休み明けに、この広告が堂々3ページにわたり掲載されたのです。


86年10月(実売9月の夏休み明け)「ドラゴンスレイヤー第三弾」と銘打たれていました。 初代ドラクエを彷彿とさせる、古典的な「姫を救う王子様」のイメージですね。
ロゴも製品版と違っています。


「このおもしろさはザナドゥを超えたかもしれない…」まあ確かに色んな意味で超えたんですけど😅ザナドゥ次作の初広告ということで、凄く印象に残っています。

ところが翌月号では後のファルコムのキャラクターイメージを決定づけることになった、都築和彦先生のイラストに変更されることになりました。その後のロマンシアはマニュアルに掲載されたマンガに至るまで都築先生が担当し、その世界観は一貫していたので、9月号のイラストだけが特殊だったのです。


ボックスにも使用されたこのイラストはファルコムの伝統的な画風でした。


キャッチフレーズは『こんなのアリか!?』『かわいさ余って、難しさ100%』
何だかフラグが立ちまくってるような🤣

僕はこのことを昔から不思議に思っていて、まだアカウントが健在だった2024年にTwitterでフォロワーさんに問い掛けた所『緑沢みゆき先生ではないか』という意見を数多く頂きました。「目の描き方が独特だ」という見解が多かったですね。ゲームファンだけでなく、現役のイラストレーターの方からも「この独特の色彩やタッチから緑沢みゆき先生で間違いない」とコメントを頂きました。
ただ残念ながら緑沢先生がファルコムでお仕事されたと言う確証は取れませんでした。先生は現役のPC88ユーザーで、プログラムもされていたそうです。代表作の『燃える女さっちゃん』はパソコンゲーム化もされたので、何か縁があったのかも知れません。





河原野アパラさんご指摘があった緑沢先生の絵柄、確かに似ていますね!
目の描き方が特徴的です。


代表作『燃える女さっちゃん』はパソコンゲーム化もされました。
かなり過激な設定の💛コミックです😍


デジタイズの原画も緑沢先生が担当されたんですね。描き下ろしの漫画も附属ということでプレイしてみたかったです。

緑沢みゆき先生はロマンシアと同時期にデビューされた美少女を得意とするアダルト系マンガ家さんで、僕も若かりし日はお世話になりました🤩しかし2007年に享年46歳で心臓麻痺でお亡くなりになったと聞き、ずっと心にひっかかっていたんです。ファンの一人として確証が取れれば、永遠にレトロPCゲーマーの皆さんの記憶に残ってくれると期待したんですが残念でした。しかしこの情報をネットの片隅に残しておきたいという気持ちが強く、今回筆を取った次第なのです。


「9月11日に生まれて」さんより抜粋。
10年以上前にこの記事を見た時、胸が締め付けられる想いでした😥


中学生の時「まんがの森」で密かに購入した初期版『燃える女さっちゃん』😍
しかし母上に見つかり、文字通り焚書坑儒の憂き目に😁総集編を買い直しましたよ。

80年代後半、美少女イラストのレベルの進化は凄まじいものがありました。その媒体はそれまでの主軸であった少年マンガに留まらず、アニメ雑誌、ゲーム雑誌などにも広がっていきます。特にそれまで日の目が当たらなかったアダルト系雑誌で活躍していた漫画家さんが、パソコンゲーム雑誌には度々登場していたんですね。


コンプティークの福袋💛に掲載された「描き下ろし美少女図鑑」から。
素敵な美少女と共に詳細に書かれたPC88が印象的です。

美少女マンガ家がパソコンゲームと親和性がかったのは、パソコンゲームが規制を受けない最も自由なオタク文化を形成していたからだと思うのです。現在でも今でもSNSで光輝く少女たちの姿を見ると、ふとそんな熱い時代を思い出してしまうのでした。改めて緑沢みゆき先生のご冥福をお祈りいたします🥺


1988年8月号に掲載されたあらいずみるい先生のイラスト。

恐らくアダルト系漫画化出身で、最もブレイクされたのはファンタジー小説『スレイヤーズ』シリーズの挿絵を担当された、あらいずみるい先生だと思います。僕も大ファンです。伝説となった80年代美少女絵師の特集もやってみたいですね。


『スレイヤーズ』は日本のライトノベル文化を決定づけた作品だと思います。


どのシリーズも思い入れがありますね。

❷こんなのアリか!?ロマンシア顛末記


1987年3月号のランキング。実質87年のお正月商戦の結果だと思います。この集計はパソコンショップに依頼していたそうなので、かなりの売れ行きだったようです。


ハイドライドⅡ、信長の野望全国版、ザナドゥシナリオⅡなどを押しのけて堂々の首位

ロマンシアの記憶を辿ってみると、やはりザナドゥの次作という印象が強かったです。あれだけ面白かったザナドゥを超える作品をパソコン少年達は渇望していました。広告で掲載されたグラフィックは流石にファルコムだけあって素晴らしく、都築和彦先生のイラストから作製されたオープニングは期待させるの十分でした。


ザナドゥは87年4月に発表された86年度の読者大賞をぶっちぎりで受賞。このアンケートは読者投票なので、当時のパソゲーの人気動向をかなり正確に反映していると思います。ファルコムの木屋さんや加藤社長も「ザナドゥの次」を意識したコメントをされていますね。


広告ではフレディ王子とセリナ姫のペアが定番でした。

同年1986年5月に発売された初代ドラクエを彷彿とさせる、古典的な「姫を救う王子様」のイメージイラストだったため

🤔「システムはザナドゥのような本格派アクションRPGで、シナリオはドラクエみたいなゲームになるんじゃないか。」

と、僕の周りのパソコン少年は噂していました。僕はMSX1を入手して丁度1年後位の時期でしたが、名作パソコンゲームがMSXに移植されない悲哀を嫌というほど味わっていました。パソコンショップを兼業しているファルコム本社に「🙇お願いですからMSXにザナドゥ出してください。」と直訴しに行ったのもこの頃です。僕の大声に店内は爆笑に包まれましたが、店員さんは苦笑しながらも

🤔「うーんMSX2なら可能性はあるけど1では難しいかなあ。」

と答えてくれました。確か1986年のクリスマス前後ぐらいだったので、翌年1987年2月に発売されることになるMSX2版は開発終了いしていて、11月発売になるMSX1版はまだ未定だったのかもしれません。そして

😉「ロマンシアはMSXでも発売されるのでぜひ買ってね!」

と教えて貰ったのです。そうです、密かに日本ファルコムのMSX参入第一弾ソフトだったですよ。ザナドゥの未発売に悶絶躄地していた僕にとっては、コナミを差し置いてクリスマス購入の最右翼だったんです。


ファルコムもMSX参入第一弾としてMマガに専用の広告を打っていました。これが僕の購入動機の決定打になったのですが…「ザナドゥで謎が少ないとお嘆きの皆様、ご要望にお応えして…」それならまずMSXでザナドゥ出してくれ!と突っ込んでました😁


86年末は名機パナソニックFS-A1とメガロムブームに沸いていました。
各種イベントでも盛んにデモされていたようです。

そんな経緯をパソコン仲間のX1くんに話すと、

🤨「うーんロマンシアかあ」

と黙りこくってしましました。X1シリーズは先行発売、というか木屋善夫さんが制作したオリジナルはX1版だったんですね。X1くんの宿敵だったFM7くんは

😁「しょせん『ドラゴンスレイヤーJr.』だろ?」

と発売されない恨みをぶつけてましたが、無視することにしました。そして期待に胸を膨らませて購入し、レッツゲームスタート!しかし結果は…一時間後には「ぶたまるパンツ」で遊んでいましたよ。


古代祐三先生のオープニングBGMは素晴らしいのですが、何とMSX1版ではカット。MSX2版ではちゃんとあるのに…


導入を見てオーソドックスなARPGだと思いきや…

とにかく何をすればゲームが進行するのか解りにくいのがきつかったです。ロマンシアのテーマはカルマ(業)で、主人公は剣士なのに修行僧並みに殺生を禁じられているのでした。それまでザナドゥやハイドライドⅡでも(善)の属性のモンスターを倒すとペナルティがあるというトリックはありました。しかしロマンシアではアゾルバ国民が変身させられたという設定なので、「すべてのモンスターを殺してはならない」という極端すぎる仕様なんです。数匹殺したらもう攻略不能なんですよ。


もう何が何だか…という感じでした。


本作を象徴するセリフ
「わたしは ただいま めいそうにふけっております。おひきとりねがいます。」
殺意が湧きましたよ😁

仕方なく手探りでの試行錯誤を繰り返すのですが、入手した時点でハマり確定のダミーのアイテムが山ほど登場したり、他の背景と区別がつかない「触ってはならない木」など、ムチャすぎるトラップが目白押し。
こうしてフラグ立てに失敗すると所謂「ハマり」を起こしてあっという間に攻略不能になってしまいます。しかもRPGのくせにセーブも出来ず、制限時間制があるというおまけ付き。まあロマンシアがRPGというのは僕の勝手な思い込みで、広告には「RPG風味ニュータイプアドベンチャーゲーム」と銘打たれていました。「風味」って何だよ!と突っ込みたいところですが、当時ロマンシアを購入したユーザーは、殆どがRPGだと思って購入していたと思います。


画像はヤフオクから。X1くんが所有していたのはテープ版。ノーマル用とFM音源対応版、X1turbo対応用の3つのプログラムが収録されている優れもの。OPがカットされていますがその他は全てFD版と同等で、流石ファルコムという感じでした。考えてみるとテープ媒体最後のビックネームかもしれません。この頃テープのゲームは殆ど発売されなくなってきていたので、そういった意味でもPCゲームの時代が変わろうとしていました。

納得いかない僕はX1くんの家に行ってX1版もやらせて貰いました。この頃のMSX1移植ゲームは酷い完成度の物も多かったので、MSX1だけの現象かと思たんですね。しかしX1版も内容は全く同じでした。X1くん曰く

😟「操作性やプログラム、グラフィックは流石木屋さんだ、文句つけようがねえよ。こりゃもう『こういうゲーム』と観念するしかねえな。」

「前を通ると殺すおじさん」とか、ヤバすぎる罠がゴロゴロ出てきます😵

つまりロマンシアというゲームの企画自体が「アレ」だったわけです。それでもしかたなく定価で購入した以上、86年の年末年始は1日一時間「日課」にして強制的にプレイしていました。しかし1か月以上プレイしても全然攻略は進みません。ある日遊びに来たFM7くんがこう漏らしました。

😝「これさあ、ARPGぽく見えるけど、中身はコマンド入力式のテキストアドベンチャーゲームと同じじゃん。」

確かに言われてみると、ノーヒントでフラグを管理し、謎と言うよりプログラムを解析していく攻略法を要求される黎明期のAVGと酷似していました。

😁「テキストAVGにはロマンがあるけど、ロマンシアにはロマンがねえなあ、イヒヒッ」

この後大喧嘩になったのは言うまでもありません。


MSXマガジンでもプッシュしてましたね。今考えるとMSXのゲーム全体としては標準以上の良作だったと思います。


MSXマガジン87年5月号のランキング。ドラクエ、ザナック、夢大陸アドベンチャーなどを抑えて堂々の首位に。このランキングもショップの売り上げから集計していたので、かなり売れていたのだと思います。


MSX2版のタイトル画面。色数の多さを活かして全機種中一番綺麗です。

❸救世主?MSX・FAN創刊号


MSX・FANはゲーム攻略が中心で、低学年層ユーザー拡大に貢献しました。長きに渡るMSXFANと言う物語はここから始まったんです。

ようやく進展があったのは翌1987年3月に創刊されたMSX・FANのおかげでした。創刊号のロマンシア攻略特集を読んだら、その日のうちにクリアーしてしまいましたよ。その時のプレイ時間は2時間ほどで、現在の最短記録は15分程度とのこと。こちらの動画では全てのフラグまで公開されているので解りやすいです。

攻略法が解ると、すぐクリアー出来てしまうのもテキストAVGと同じです。感想は皆様と同じ

😡「こんなの自力で解けねえよ!」

ちなみにこのMSX・FAN創刊号なんですが、ザナドゥと違ってロマンシアはあまりパソコンゲーム雑誌に掲載されなかったので、他のパソコン機種のユーザーに「貸してくれ」と頼まれて、そのまま借りパクされてしまいました。持ってる奴がいたら今からでも返してよ!😁まあこの頃のパソコンゲーマーは少数派だったので、機種が違っていがみ合ったりしてても、結局は仲良しだったんです。


そんな訳でMSX・FAN創刊号は現在手元にないのでした😁

僕はエンディングを見ながら

🥴「素直にザナドウ出してくれよ!」

と思ってましたが次号のMSX・FANの「誰もが不可能だと思っていたMSX・ROM版ザナドゥ完全移植に成功!」の広告に二度ずっこけました。ちなみにこのMSX1版のザナドゥは史上最高の出来なのですが、僕は間の悪いことに「🤨MSX1版よりMSX2版の方が出来がイイだろ!」と勘違いし、歴代ザナドゥで最低のMSX2版を掴まされました。しかしこんな悲劇はパソコンゲーマーにとって日常ちゃめしごと。こうして僕のメンタルは、鋼のように鍛えられていったのです。


MSX1版のザナドゥは様々な改良が加えられた神移植だったのですが…


MSX2版はMSX2の同時発色数やスプライト機能が活かされておらずイマイチな出来。わざわざ高額なFDドライブ付きのMSX2を購入した僕は信じられませんでした。

こうして役目を終えた僕のロマンシアはMSX仲間にレンタルされることになるのですが、そこでも評判は散々でした。気に入ってくれたのは謎のコナミ嫌いでMSX仲間でも有名なクソゲー、アワワ個性的なゲームの収集家、サンヨーくんだけでした。彼は

😍「俺が求めていたのはこれだよ!」

とキチガイじみたこと…アワワ気に入った様子で、わざわざMSX2版を購入してました。僕は貸して貰って古代祐三先生のオープニングBGMばっかり聞いてましたよ。


1987年10月にファミコンにも移植されましたが殆ど話題になりませんでした。
コンパイルが移植を担当。

僕はあんまりゲームの批判をするのは好きではないんですが、その後現役時代からSNSを含めて30名以上の方にロマンシアの感想を聞いたのですが、ノーヒントでクリアした人は皆無で、ゲームへの評価も似たり寄ったりでした。恐らくパソゲー史上でも屈指の難易度の作品だったと思います。今回この投稿を書くためにロマンシアのwikipediaを読んだのですが、公正中立を旨とする百科事典なのにも関わらず

当時の宣伝やパッケージの裏には「20万エリアの広大なマップ」という売り文句が使われていたが、それはPC88シリーズの最小スプライトを1エリアと定義した上で、ゲーム内に存在する全ての画面の「エリア数」を計算したものであり、詐欺同然の宣伝だった。実際の世界の広さは初代スーパーマリオと同程度。

と、恨み骨髄の内容が書かれていて爆笑してしまいました。それだけ被害者が多かった証明だと思います。


コアなMSXユーザの集結するtagooさんでもムチャクチャな言われよう。伝説の辛口女性MSXユーザー沙魚川無腸さんの容赦のないコメントです。他のコメントで最高に面白かったのが『87年のお年玉と冬休みを返してくれ』おお!同志よ・・・🤣

ただ当時の木屋善夫さんのインタビューを読んでみると、パソコンゲームとファミコンゲームの差別化を図るにあたって、色々試行錯誤されていたことが伺えます。当時の標準的な8ビットパソコンはフルセットで30万円以上するのが当たり前でした。「1万円台のファミコンと違った魅力的なゲームをどう創りだすのか」という命題への回答がロマンシアだったのかもしれません。


山下章さんとの対談で、木屋さんはパソコンゲームとファミコンゲームの方向性の違いについて語っています。

日本ファルコムはロマンシアの反省から「今、RPGは優しさの時代へ。」をキャッチコピーにした、シナリオとビジュアルを重視したイースIを翌年1987年6月に発売。一方木屋さんの「パソコンにしか出来ないゲーム」の回答はソーサリアンに帰結したように思います。イースⅠⅡに対する想いはMSX総選挙の投稿に綴りました。


この広告はイースの初期広告の雰囲気に通じるものがあります。やはりロマンシアはイースに繋がった作品なのかもしれません。

今振り返ってみると、ロマンシアは日本のパソコンゲーム最大のブランドとなったイースシリーズを生んだ作品とも言えます。そういった意味を含めて、パソコンゲームの歴史の節目になったタイトルであることは間違いないでしょう。
ロマンシアは極めて実験的なゲームでした。ファルコムのパソコンゲーム制作に対する真摯な姿勢は本物で、ゲーム本編はもとよりマニュアルや音楽などの完成度も素晴らしかったと思います。しかしどんな天才バッターであっても打率十割が不可能なように、ロマンシアが名作に昇華しきれなかったことも仕方がなかったのかもしれません。


キャラクターを育てるファルコムの経営戦略で、多くのグッツも作成されました。

僕は正直ロマンシアを「掴まされた」ことを後悔していました。しかしファルコムさんは、その後MSXにも良作を贈り出し続けてくれました。「ドラスレファミリー」「ワンダラーズフロムイース」そして「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」まで苦労して移植してくれ、どれも忘れることのできない名作ばかりです。
そう考えて「パソコンゲームの時代を体験出来た」と現在では感謝しています。プレイせずにネット記事や文献だけで批判するのと、自分で体感して悪戦苦闘した記憶とでは全く違いますからね。こうやってネタにも出来ましたし。


1990年のファルコムキャラクターミュージアム。
最も古参のキャラにセリナ姫が登場しています。

サウンドも名曲ばかりで耳に残っています。

❹これこそ真の浪漫!円英智先生の描くロマンシア浪漫境伝説


読み込み過ぎてボロボロの表紙でスイマセン。キャラ紹介やフレディ王子とセリナ姫のSDキャラがカワイイですね。

実のところ僕が一番ハマったロマンシアは円英智先生の描くコミカライズ版「ロマンシア 浪漫境伝説」でした。当時ロードス島戦記の連載で勢いを増していたコンプティークの1987年1月号から88年3月号までの約1年間の連載で、非常に印象に残っています。


連載予告のイラスト。当初はゲームの2頭身キャラの影響か、セリナがロリッ子として企画されていました。本編ではスタイル抜群の美少女剣士として登場しています。原作同様、美形の王子が恋仲になると思っていましたが…

漫画版最大の特徴はフレディ王子が囚われの姫君セリナを助けに行くと言う展開を逆転させ、行方不明になったフレディ王子を腕利きの剣士であるセリナが救出に向かうという設定になっているということです。これはMSX版のセリナ姫が主人公になる裏技の影響もあるかもしれません。


同誌のロマンシア攻略記事のイラスト。


セリナ姫が主人公になる裏技はMSX、MSX2だけの特権でした。
MSX2版はアイテムのCGも変わる拘りです。


その他にも色々と変更が。思い切りブスとか書かれてます🤣

このように原作の設定を踏襲しつつも、大胆な設定の改変がなされています。原作は殆ど主人公以外のキャラクターの性格やバックストーリーが見えてこなかったのですが、連載が続くうち円先生の描く独創的な幻想世界に惹きこまれていきました。


毎回の扉絵も楽しみでした。

原作では王子の一人旅でしたが、少年魔導師のマジシンという魅力的なキャラクターが加わることで、相棒物の冒険譚として動き出していきます。天真爛漫なセリナ姫と、陽気で博識なマジシンとのコミカルで息の合った掛け合いは、50歳を超えたオッサンには眩し過ぎますよ。シニカルな妖馬?のエルビスなど、他のファンタジー作品では味わいえない魅力も満載です。


終盤のカラーイラスト。セリナちゃんはどんどん等身が高くなっていきました。

一方でつぶら先生の描く世界はSF要素を加えたハードファンタジーという趣で、結構残酷な描写も多いのも特徴です。原作の「モンスターは街の人間が変身させられたもの」という設定も生きており、悲劇的な展開が物語に緩急を付けていました。


原作は寺田憲史氏。
アニメやファイナルファンタジーの脚本などで多くの作品に関わられています。

中盤以降はオリジナルキャラクターの『闇導師ガラウ』と、つぶら先生のお気に入り『魔導士シアン』の登場で一気にきな臭くなってきます。この二人はうさん臭さ爆発の中ボス的存在なのですが、それ以上の無頼漢としてセリナを救う謎の美形魔法剣士が乱入、ついに役者が揃いました。


約一年に渡る連載だったのでこんなサービスカットも。

そういえばエロジジイを絵にかいたような、天界に住むマジシンのお師匠さんがいましたっけ。今作は全一巻と非常に小ぶりなのですが、全てのキャラクターが魅力的かつ個性的なんです。


独創的な幻想世界と疾走感のあるバトル描写が秀逸でした。

また躍動感あふれる戦闘シーンは、まるでアニメを見ているようでした。その後少年ジャンプで大ヒット作になる『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の連載前でしたので、まだファンタジー漫画というジャンルは未開拓な時代でした。当然そのフォーマットも定まっていませんでしたが、その中でつぶら先生のこの描写は特筆されるべきだと思います。


普段はラブコメ全開ですが、決めるところは決めてくれるセリナちゃん。
「ドラゴンスレイヤーの威力を見せてやる、さあこい怪物ども!」

終盤は息もつかせぬ展開から、相棒の死を乗り越えてセリナに隠された出生の秘密が語られます。最終回の頃は毎月コンプ買う前に、本屋で立ち読みしてしまうぐらい盛り上がってました。その結末はあえてここでは述べません。しかし最後は物語を振り返って、「ボーイ・ミーツ・ガール」を地でいく王道のラブロマンスであったことが、この作品を名作たらしめたのだと感じました。


その後の二人についての物語も知りたかったですね。
セリナちゃんは幼女がえりしたような💦

ビジュアル面では80年代らしく、綿密に描き込まれた絵柄はいまだ魅力的です。セリナ姫がパワーアップすると露出度高めのビキニアーマー戦士になったり、お約束の入浴サービスシーンがあるのもこの時代のゲームコミカライズの元祖という感じがします。
セリナは前半は幼さが残る長髪のキャラだったのですが、救えなかった人々への贖罪から自ら髪を切り落とし、一気に大人びた雰囲気に成長していきます。ここら辺の演出も素晴らしかったですね。通じて見てみるとほとんど別キャラのようですが…😁


やはり主人公セリナ姫の魅力が物語を際立たせていました。


約一年後『あのセリナが帰ってきた!』のコピーが超絶嬉しかったです。角川ドラゴンコミックから出たときは速攻買いましたよ。かなりページが追加されています。ゲーム版は当時を知らない人にはお勧めできませんが、円英智先生の作品は今の人にこそ読んで頂きたいと思います。

ゲームを体験した方ならばロマンシアのイメージを一新し、なおかつその香りを残す物語が楽しめる力作だと思います。ロマンシアを知らない人でもまったく問題なく楽しめるので、今なおお勧めの一冊です。


折角なのでコミックに収録されなかった扉絵をいくつか紹介。


これはお正月の扉絵


こんなオマケページも


コミックコンプに連載された「エルデガイン 導きの神」も超名作でした。

このようにつぶらひでとも先生は日本のファンタジー漫画を開拓したオリジンとも呼べる方なのですが、その後腰痛を悪化させてしまったとのことで、活動を休止されてしまったというのが残念でなりません。しかしファンタジー漫画黎明期において本作がクリエイターたちに与えた影響は大きく、現在でもファンを公言する方が大勢いいます。今回ロマンシアを語るにあたって、あの連載に心を躍らせた心境を是非残しておきたかったのでした。


他のつぶらひでとも先生のお仕事で有名なのは「ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー」のパッケージアートですね。


ご自身でセルフパロディされています。


ドラマCDにもなりました。セリナ姫は冨永みーなさん。他にも池田秀一さん、野沢雅子さんなど超豪華メンバー。


マジシンなんだかカッコいいぞ!

この頃のゲーム漫画は個性的な作家さんが担当されていることが多かった気がします。まだゲームで全ての世界観を表現できなかった時代なので、ゲームのコミカライズが果たした役割は大きかったのではないでしょうか。作品の新たな魅力が生み出してくれた名作も多かったですよね。その中で最も好きだのが円英智先生のロマンシア、そして昨年お亡くなりになった栗橋伸祐先生のダンジョン・マスターでした🥹


❺もう一つのロマンシア・ゲームブック


発売から約1年後の1987年8月、ゲームブック版が発売されました。 JICC出版局はアドベンチャーノベルスというブランドで、多数パソコンゲームのゲームブックを発行していたんです。


これも勿論プレイしましたが、この時期はかなり国産のゲームブックが進化しており、このロマンシアもそれに伴った佳作という感じで十分楽しめました。物語は原作に忠実で、善行を表す「KRカルマ」の値が最重要なのも同じです。ただ難易度は低く抑えられているので、その点は安心でした。
ただストーリーが「困った人を助け、善行を積んでいく」展開なので、戦闘が少なく爽快感がないのが残念な所。なんだかボランティア活動をゲームブックでしてるみたいでしたよ。最強の武器「ドラゴンスレイヤー」を手に入れると、戦闘のサイコロで「6ゾロ」を出すと問答無用で敵を倒せるという豪快な仕様なのですが、それを発揮できる機会は殆どありません。


鈴音さんのXより。エンディングのオチにはニヤリとさせられました。


MUCOM™さんのXより。
ロマンシアのハンドブックの中のイラストの一部も星里もちる氏が担当されています。

今作の最大の特徴は、イラスト全般を「りびんぐゲーム」で有名で、現在もご活躍中の星里もちる先生がデビュー直後に担当されている点です。都築和彦先生のイラストをさらにコミカルにした雰囲気で、ロマンシアの雰囲気にとてもマッチしていました。贅沢に冒頭と巻末のエンディングが漫画形式になっており、挿絵も多く楽しむことが出来ました。ゲームとマンガの一体化という点では前回紹介したザ・スクリーマーとは別の意味で成功したケースだと思います。

今作は監修をファルコムの宮本恒之さんが自ら行っているので、このテイストがロマンシア本来の目指した世界観なのかもしれません。そういった意味で、原作のファンならプレイして損はないと思います。
原作もマニュアルに都築和彦先生のマンガを採用していました。ファルコムはゲームのマニュアルを非常に重要視していて、これが次回作イースシリーズの成功の一因になっています。パソコンゲームとマンガを繋げることを本格的に試みた作品はロマンシアが発端であったことを今気が付きました。ロマンシアはやはり色々な意味で実験的作品だったのですね。


ゲームマニュアルはオールカラーのイラスト満載で気合が入っていました。

❻名作ばかりが想い出じゃない?「とんだ一杯食わせもの」

如何だったでしょうか?今回のテーマは「とんだ一杯食わせもの」だったゲームについてです。このフレーズはプロレス用語で「待望の未来日外国人選手」が予想外のダメレスラーだったことを揶揄した、福澤朗アナの名台詞なんですよ。僕はパソコンゲーム界の「食わせもの」として断然ロマンシアを推しますね。


小橋建太選手を交えての福澤朗アナウンサーのトークショーの一幕。
80年代プロレスも特集したいですね。

ただロマンシアが単なるクソゲーだった訳ではないことは繰り返し強調しておきたいです。あくまで名作すぎるザナドゥの後継作として期待度MAXで登場したにも拘らず、ユーザーの期待とのギャップが大きかったという想い出を語りたかったのでした。美しいグラフィックや操作性、古代祐三氏や阿部隆人氏の珠玉のBGM、都築和彦氏によるキャラクター造形など見どころも多い作品です。


なんだかんだ言って忘れることの出来ない作品です。
これは手持ちの古代祐三先生作品。


円英智先生のコミックは自炊してしまったのですが買いなおしました。


グローブを吊してしまった本棚に置いて、何時でも読めるようにしています。

しかしロマンシアをレトロパソコンユーザーが居酒屋談義するとしたら、やっぱり極悪すぎる難易度になると思うんですよ。あの阿鼻叫喚の日々を語れるのも、レトロパソコンユーザーの特権だとも思うのです。ロマンシアの熱烈なファンの方にはお詫びしなければならないですね。スイマセンでした🙇


全くその通りだと痛感する年齢になってしまいました。

そんな訳で僕のタイムマシン訪問記もいよいよ1986年に差し掛かろうとしています。これからもお読みいただければ幸いです。

                       サイボーグMSX

いつもスキ💛や凍結された僕に変わってのXでの紹介ポスト、暖かいコメントなど感謝です🙇皆さんとの繋がりが次の投稿への励みになるんです🥹 


いいなと思ったら応援しよう!