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木徳神糧「農水相の暴利批判」の疑いを払拭、中間営業利益396%増、業績上方修正の最高益の快進撃!

2025年8月7日、木徳神糧が暴利批判の疑惑を跳ねのけ、2025年12月期第二四半期(中間決算)の営業利益が52億5700万円と前年比396%増という驚異的な成長を見せました。小泉進次郎農林水産相の「暴利」発言による業界全体への逆風を受けながらも、通期の純利益は過去最高となる54億円へ業績を上方修正しました。暴騰するコメ価格と、それに翻弄される農政、流通業者、そして消費者。その交差点で、木徳神糧の歩みは何を物語るのでしょうか。8月7日の決算発表は、卸業界の現状と日本の食卓の未来を映す注目の節目となります。
※今回の決算を受けて8月8日の株価はストップ高カイ気配(午前10時)。


暴利批判を受けた木徳神糧は最高益の快進撃

木徳神糧は、2025年8月7日、2025年12月期の通期連結業績予想を大幅に上方修正し、純利益を従来の28億円から54億円に引き上げると発表しました。この修正により、同社は過去最高益を更新する見通しとなり、6月の小泉農水相による“暴利批判”を受けながら、わずか2カ月での劇的な反転劇となりました。

今回の業績上方修正後の通期見通しでは、営業利益77億円、純利益54億円と、中間期の実績を単純に2倍した水準には達していません。これは、例年、新米が流通し始める第3四半期以降は、仕入価格や市況の変動リスクが高まり、利幅の確保が難しくなる傾向があるためです。

加えて、上期は政府による備蓄米放出や、コメ不足に伴うスポット取引など、卸業者にとって特需ともいえる状況が重なっていました。これにより中間期の利益が一時的に押し上げられた側面があり、下期は需要の落ち着きや価格転嫁の限界などにより、利益の伸びが鈍化する可能性を会社側も織り込んでいます。

この“快進撃”には、卸業界の現場が物価高や需給逼迫にどう対応し、企業努力を重ねてきたのかという背景が見え隠れします。ヤマタネに続き、木徳神糧も“暴利企業”のレッテルを自ら払拭した形となりました。

小泉農水相の“暴利批判”が業界を揺るがす

暴利批判の発端は、2025年6月の国会質疑における小泉進次郎農水相の発言でした。小泉農水相は「ある卸業者の営業利益が前年比500%増になっている」と指摘し、名指しは避けつつもコメ価格高騰の“元凶”が卸業者にあるとの印象を与える発言をしました。

これにより、メディアやSNSでは「卸業者による買い占めや価格吊り上げがあるのではないか」といった疑念が一気に拡大。とくに物価高騰の影響で家計に苦しむ層にとって、卸業者の“利益増”は感情的な怒りを呼びやすい対象となりました。

しかし、問題の核心は、価格高騰の原因が本当に“暴利”によるものなのか、という点です。実際には、2024年産米の作況指数が全国平均で98と不作気味であったことや、訪日外国人の急増、家庭内需要の急伸など、需給の逼迫が価格を押し上げたとの分析もあります。

業界では「政治的パフォーマンスによる責任転嫁ではないか」との批判も広がりました。

ようやくコメ政策の間違いを認めた小泉農水相

8月5日、政府はコメの安定供給をテーマに関係閣僚会議を開催。石破茂首相や小泉農水相も出席し、農水省の“需要見通し”が実際の消費動向と大きく乖離していたことを認めました。

小泉農水相は会見で、「需要が減るという予断を持っていた。リアルタイムで消費の動きを把握する判断を見誤った」と釈明しました。農水省は、コメの精米歩留まりの低下やインバウンド消費の想定外の伸びも要因に挙げましたが、それらは結果論に過ぎません。

そもそも、コメの消費動向を正確に把握し、柔軟に備蓄米や需給バランスを調整することが政府の役割であったはずです。今回の需給ギャップは、政策失敗であることが明確になった以上、卸業者に責任を転嫁するような発言は再発防止の観点からも厳に慎むべきでした。

随意契約による備蓄米の放出にも問題が噴出

コメ価格抑制策として農水省が打ち出したのが「随意契約による備蓄米の放出」でした。しかし、これが実際には市場の混乱を招く結果となりました。

備蓄米は、新米が本格流通する前の8月末までに販売する条件付きで、政府が町の米屋やスーパーと個別契約を結んで放出する形式です。しかし、契約から納入までに2カ月以上かかったケースも多く、販売期限に間に合わずキャンセルが相次ぎました。

大阪の米店では、5月末に申し込んだ備蓄米が8月上旬になってようやく届くという有様。「今さら届いても売り切れる自信がない」という声が現場から上がるのも当然です。

さらに、一度の契約数量が10トン単位という非現実的な条件も問題でした。地方の中小業者にはリスクが大きく、結局は一部大手の流通業者やネット販売に限られた供給となってしまいました。

結果として、この政策は“庶民のため”の価格抑制どころか、供給不安を助長する要因となり、政策の全体最適とはほど遠い結果を招いています。

トランプ関税によるアメリカ産米の爆買いも?

さらに、政官の混乱に拍車をかけているのが、トランプ大統領との「トランプ関税交渉」によるアメリカ産のコメの輸入問題が浮上してきました。ミニマムアクセス枠を超えた追加輸入が求められており、2025年中に数万トン規模のアメリカ産のコメが国内に流入する可能性があります。

国内ではコメ不足で価格が高騰し、農家や消費者が苦しんでいる最中に、備蓄米を放出した段階で、海外からコメを大量輸入するという矛盾した政策です。これは国内農業の信頼性を損なうばかりか、価格政策の一貫性にも疑問を抱かせます。

加えて、来年以降の増産指示、そして輸入の拡大。これらが短期間で同時に行われることで、現場では何を信じて作付けや販売計画を立てればよいのか分からないという“政策迷子”状態が続いています。

業績を示すことで信頼を取り戻した木徳神糧

今回の木徳神糧の決算は、暴利批判に揺れた卸業界において、事実と数字で信頼を取り戻した象徴的な出来事となりました。コメ価格の高騰という困難な市場環境の中でも、同社は冷静かつ的確に対応し、過去最高益という成果を上げました。

ヤマタネと並び、木徳神糧は「卸業者=悪者」という構図に抗い、実直な経営姿勢と情報開示で社会との対話を続けてきました。その結果、業績上方修正と増配は、市場や消費者への誠実な回答でもあります。

一方で、農政の迷走は今後も続く可能性があります。需給見通しや備蓄米政策、さらには国際的なコメ輸入の問題など、課題は山積しています。だからこそ、木徳神糧のような民間企業の冷静で柔軟な対応力が、混迷するコメ政策の中でますます重要になってくるでしょう。

数字は嘘をつきません。今回の決算が示したのは、卸業界が「暴利を貪る存在」ではなく、「安定供給を担う使命ある存在」であるという現実です。事実に基づく評価と政策判断がなされる社会こそが、持続可能な食料安全保障への第一歩なのではないでしょうか。

文=夏樹真生(経済ジャーナリスト)

※本稿は筆者個人の見解に基づくものであり、特定の投資、取引、政策選択を推奨するものではありません。掲載されている内容は、シンクタンクや調査機関の分析に基づく情報も含まれますが、将来の経済動向や市場の動きを保証するものではありません。投資や経済的判断は、あくまでご自身の責任において行ってください。

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