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INDYWORLD 外伝       【ミキ編】 1 I’m here ―寄り添う

何もできない

#創作大賞2026
#オールカテゴリ部門

あらすじ
(前編)ミキは、横浜市民病院看護師。最近班長になったばかり。今日も担当患者、安堂あかりのもとにいる。
あかりは11歳。心臓病でドナーを待ち、入退院を繰り返している。もう二年になる。もともとは絵を描くことが好きで、夢多い少女だったが、今は心を閉ざし、ミキの方を見ようともしない。
懸命に声をかけ続けるもミキ自身なすすべもない。
仕事の重圧、心を閉ざすあかり。ミキ自身いっぱい々の毎日。堪えきれず、師であり、友であるインデイに電話。
通話の中で『(あなたが)がんばれ』というYou message ではなく、「私はここにいるよ」という『I message 』の大切さを学んでいく。
(後編)インデイ達の超法規的な活躍により奇跡的にアメリカでドナーが、見つかり、渡米することとなる。
大手術、成功、その後の不良グループとの対決を通して、あかりとの関係を深めていく。
そして影で働いてくれたインデイ達への疑念も、一段と深まり、本編へのクライマックスにつながっていく。

外伝:ミキ編(前編)  
I’m here ―【魂に寄り添う】 
https://note.com/cute_bee8449/n/n6dd8d371e4d0

外伝:ミキ編(後編)  
― I’m here ―【あの一言の続き】
https://note.com/cute_bee8449/n/n6d52c24020e4

(肩が、小さく震えている。)
ミキ
「あかりちゃん……。
あんなに心を閉ざしてしもうて……。」
(病室にて
11歳の帰国子女、安堂あかり。
心臓移植待ちで入退院を繰り返している)
ベッドの上で壁の方を向き、誰とも話そうとしない。
ミキ(声をかけ続けている)
「あかりちゃん、元気出して。
……かわいい絵をまた描こうよ。」
あかり
“Shut up! Go away!
I hate this body!”
(うるさい!あっち行って!こんな体、大嫌い!)
ミキ
(涙を押さえながら)
“Stop it…
Don’t say that.”

【I message】
昼休み、堪えきれず、
インデイ先生に電話をかける。
インデイ先生(電話越しに)
“Oh! ミキ、元気か?
……って、えらい鼻声やな。”
ミキ
「インデイ先生……。
患者さんにどう声をかけたらええかもう分からんのや。
“Hanging in there” とか
“Keep hope” とか言うたけど……
全然届かん……。」
インデイ先生
「……タロウ、ハンズフリーにしてんか。
犬はな、基本電話苦手なんや。」
(少し間)
「……そうか。
いや、届いてるで。ミキ。
辛いな。」

ミキ
「……。」

インデイ先生
「でもな、そういう時こそ
寄り添う言葉 ― I message や。」
ミキ
「寄り添うて……?
あの “ I  message”……?」
インデイ先生
「そや。難しく考えんでええ。
そのまま
『私はここにいる』言うてみ。」
ミキ
「私は……
“I”…ここは “here”…
I am here?」
インデイ先生
「そうや!
I’m here。
――私はここにいる。
独りやないで。
それだけでええ。」
タロウ
「ボクもついてるよ。」
ミキ
「……分かった。言うてみる。」
(少し間)
「でも先生……
あかりちゃんのこと……言うてもええんかな。」
インデイ先生
「ん、聞いとるで。」
ミキ
「あかりちゃん、帰国子女で心臓病なんや。ほんまは絵が大好きで、英語が好きで優しい子なんや。……でもなドナー、全然見つからん。
もう二年も待っとる……。」
インデイ先生
「……二年。」

「……さよか。」

………

ミキ(明るく)
「こらアカン、もうすぐ一時や。
回診始まってまう。
大丈夫や、ありがと。」
(電話が切れる)


大丈夫なんて、嘘

【インデイ】
部屋に残されたインデイたち。
タロウ
「ミキ、大丈夫じゃないよね。
あかりちゃん、助けられないの?」
インデイ先生は、空を見上げる。
そして、アレクサンドラに目配せする。
「……アレックス。」


ワ、ワーン(ミッションや)

アレクサンドラ
「Bow!(Roger!)」
そして、小さく続ける。
「ワワワワーン、ワン。」
(了解です。北米探査室にEグリッドβで通信します。)
タロウ
「えっ!?
アレックス、何で急に犬語!?」
インデイ先生
「何言うとる。
ただの夫婦の会話や。気にすな。」
タロウ
「……えぇ〜?」


【I’m here】
病院。
ミキが、あかりの病室へ入る。
あかりはまだふさぎ込んでいる。
ミキはベッドの横に座り、
あかりの手をそっと握る。
ミキの手首に、
小さなブレスレットが光を受けて揺れている。
深呼吸。
そして――
ミキ
“Akari…
I’m here.”
(あかりちゃん。私はここにいるよ。)
少し間をおいて、
“I’m right here with you.”
(ずっと、あなたのそばにいる。)
あかりは、ゆっくり顔を上げる。
あかり
「……Miki-chan。」
ミキ
(レゾナンスを込めた声で)
“I’m here.”
その瞬間――
あかりはミキの胸に飛び込み、
泣きじゃくった。
あかり
“Thank you…
Thank you!!”
ミキは、あかりの背中をさすりながら、
そっとその手を包み込む。

【奇跡】
信じられない速報が届く。
アメリカの最先端医療機関から
完全適合ドナー。
そして手術受け入れのオファー。
ミキは、静かに空を見上げた。
(……届いたんや。)
あの一言が。

【出発】
後日、ミキは渡米の準備をしている。
インデイ先生
「日頃の行いが良かったんやろ(笑)。」
「ミキ、
アメリカ行っても、そのレゾナンス忘れんときや。」
アレクサンドラ
そっとミキの手を取る。
アレクサンドラ
「それ、着けててくれたのね。
アメリカにも持っていって。」

(ミキ、見る)

「お守りよ。」
ミキは、少し驚いたように笑う。
ミキ
「……ありがとう。」
そっと手首に触れる。
「インデイ先生、アレックス……
おおきに!」

【学習ポイント】
Empathetic English(共感の英語)
“I’m here.”
中学一年生レベルの英語。
しかし――
人を支える言葉としては、最も強い。
頑張れより寄り添い。
“Keep hope”よりも、
“I’m here”。
それは――
あなたは一人じゃない、というメッセージ。

【編集後記】
インデイ
「言葉いうもんはな、
相手の傷口に
優しく手を添えるためにあるんや。」

(少し間)

「……みんな、恩に着るで。」

空を見上げて、ぽつりとつぶやく。

“I’m here.”
「それが言えたら、
人は一人やない。」

To be continued.

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