FDA Traditional 510(k) eSTARの作成 - Predicate Deviceの選び方

本記事では、Traditional 510(k)の大事な要素であるPredicate device(以降、Predicate)について説明します。
Predicateとは「このPredicateと同じなので大丈夫なんです」というために、申請機器と比較する医療機器のことです。なので、米国で承認が取れている医療機器でないといけません。
なおTraditional 510(k)とは、「申請する医療機器の有効性/安全性がpredicateと同等と言えるから大丈夫」、という考え方で承認を得る申請です。

「そもそも米国での医療機器の定義は?」、「米国にはどんな申請分類がある?」とご興味ありましたら、下記記事を参照ください。

また、eSTARを使った米国クラスII医療機器の申請(Traditional 510(k))は下記マガジンにまとめています。特に Biocompatibility 項については、記載例や私が実際に経験した照会例などを含む、実務でより役立って時短になる有料記事も掲載しています。ご興味あれば、ご参照ください。



手順①: Indication for Useの設定

まずIndication for Useとは使用目的です。具体的には、下記情報が含まれていると思います。これらが決まらないと、predicateも選べないはずです。

• なにをするデバイスか
• どの臓器や疾患を治療/検査するか
• 対象の患者年齢は?
• (もしあれば)システム構成は?
• どのような手技の中で使用されるか
• (もしあれば)制限範囲(画像診断装置なら「この医療機器は医師の診断をアシストするものであり、確定診断させるものではありません」のようなもの)

例えば人工心肺だと、「心肺バイパス手術中に成人のガス交換を満たすため、血液と気体環境との間でガス交換を行うために用いられる、ポンプと人工肺と血液回路から構成される装置」みたいなIndication for Useになるかと思います。

手順②: Medical Specialtyの決定

Indication for useが設定できたなら、次は該当するMedical Specialty を探します。私はeSTARフォームを使って探します。eSTARというのは医療機器申請する時に、提出する申請書フォーマットです。
ウェブから検索して探してもいいですが、このフォームを使うとちょっと楽です。「eSTAR+FDA」で検索かければ、ダウンロードページに辿り着けます。

eSTAR内のClassification項で内視鏡デバイスのMedical Specialityを探す図

例えば上部消化管に使う内視鏡を申請したい場合、「Gastroenterology and Urologyっぽい?」と選択、Regulationを見ればEndoscope and accessoryと記載があるため、これで良さそうなことが分かります。

添付画像では876.1500と番号がありますが、これはCFR(日本でいうところの省令)に記載された番号です。この番号+CFRで検索すれば、細かい定義内容が分かります。
例えば876.1500では「内視鏡およびその付属品は、体腔、中空臓器、および管腔へのアクセス、照明、ならびにそれらの観察や操作を可能にするために使用される装置である。この装置は、体腔内に挿入される様々な硬性または軟性の器具で構成され…」など、該当する医療機器の定義が細かく記載されています。Medical specialtyを最終決定する前に、CFRの内容をしっかりチェックして下さい。

実際の作業では、なかなか適切なものが見つからないと思います。既に類似機器として分かっている医療機器があれば近道できます。その類似機器のRegulationなどを見ればいいからです。


手順③: Product Codeの決定

eSTAR内のClassification項で内視鏡デバイスのProduct Codeを探す図

Regulationまで決まったら、次にeSTARでProduct codeを探します。Product codeとは、その医療機器のカテゴリー名もしくは一般的名称です。具体的には、先ほど特定した治療領域・機器をさらに細かく分類したコードです。なお、上記図で示してるのが上部消化管への内視鏡です。これはFDSというProduct codeになっています。

たくさんのProduct codeがあるので、頑張って設定したIndication for Useに合致するコードを見つけます。「こう考えたら、このProduct codeに該当すると言って良いのでは?」など、解釈の余地があるため結構大変な作業です。


手順④: Predicateの決定

いよいよPredicateを探します。具体的には、下記データベースからProduct codeで検索をかけて探します。

Indication for useがPredicateと同等であることは必須です。なぜなら、Indication for Useに適応疾患や手技などが定義されているからです。適応疾患や手技が違えば、たとえ仕様がまったく同じでもPredicateと言えません。

他にも、機器原理や動力源/出力源、製品仕様/性能が最も近いのを探す必要があります。なぜなら、選んだpredicateと悪い意味で差があれば、それが問題ない理由を申請書に記載する必要があるからです。
問題ない理由を探すアプローチとしては、2つ目のpredicateを設定する方法もあります(reference deviceと呼びます)。「1つ目のPredicateと差があるけど、2つ目のPredicateと同じだから良いんです」、というアプローチです。
または、Predicateとの比較試験や、既に公開されている情報から「その差は問題なし」と考察するのも良いです。


手順⑤:事前相談

このまま申請に進める前に、事前相談することをお勧めします。具体的にはQ-submissionを使って、「このPredicateが妥当だと思うけど、FDAはどう思う?」と、事前相談した方がいいです。FDAにとって妥当でない場合は、「それはダメです」と言ってくれます。たまに「こっちのほうが適切じゃない?」と提案もしてくれます。

蛇足だと思いますが、動物実験や臨床試験などリソースがかかる試験を実施する場合は、試験プロトコル内容も事前相談した方が良いです。照会で「その試験法は妥当じゃないです」と言われたら、とても残念な結果になるためです。



次の記事では、特定した情報をどのように申請書(eSTAR)に落とし込んでいくかを説明したいと思います。

本日も貴重なお時間ありがとうございました。

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