「中編サスペンスに挑戦!」~英語多読のための読書ガイド [ミステリー]~
本記事は、英語学習誌 🥮『多聴多読マガジン』🥮の連載記事、
「多読のための読書ガイド」からスピンオフ掲載したものです。
多読のプロたちによるおすすめの良書(英語の本)を紹介しています。
『多聴多読マガジン』は、多読やシャドーイングの素材を提供する、英語学習雑誌です✨
ミステリー編 ~2025年10月号~
執筆:河出 真美 (梅田 蔦屋書店 洋書コンシェルジュ)
中編サスペンスに挑戦!
今回ご紹介するのは、ちょっと長め、でも先が気になってすらすら読める、中編サスペンス二編です。
まずはBlackout。主人公の女性は見知らぬ部屋でたったひとり、目を覚まします。
自分がなぜこんなところにいるのかわからない。
ロンドンに住んでいるのに、なんとここはパリ。
お金も電話もパスポートもない状態で、いったいどうやって家に帰ればいいのか。
そしていったいどうしてこんなことに? 彼女を襲った企みとは。
お次はThe Thief。ポリーには子どものころから悪癖がありました。
それは嫌いな人のものを盗んで壊すというもの。
同じ飛行機に乗り合わせた迷惑な男トレヴァーによって傷ついた彼女は、彼のものを盗んでしまいます……。
事態を収めようとするポリーですが、物語は悪い方へ悪い方へと進んでいきます。
もう、ハッピーエンドになるわけがない。
わかってはいても結末まで目が離せない、手に汗握る一編です。
はらはらしながら主人公の運命を見届けてください。きっとあっという間ですよ
(1) 『Blackout』

著者 Emily Barr
出版社 Review
総語数21,000 語
この物語では、主人公がパリで目覚めた現在と、一年前のロンドンの出来事が交互に語られていきます。
そして少しずつ、主人公が心に抱えている闇が明かされていくのです。
わけがわからないままとにかく家に帰ろうとする現在パートもいいのですが、この一年前のパートがとにかく怖い。
確かに自分で生んだ赤ちゃんが、自分の子と思えない。
人の心が妄想に囚われていく恐怖がここにあります。
(2) 『The Thief』

著者 Ruth Rendell
出版社 Arrow
総語数 16,940 語
嫌いな人のものを盗んで壊してしまう。
それは確かに一線を越えた行為ではあるのですが、本作でその引き金になるこのトレヴァーという男はとにかく最悪な性格の歩く迷惑のようなヤツ。
飛行機でこんな人の隣の席になるなんて嫌すぎる。
読んでいて完全にポリーを応援したくなってしまいました。
さすが大御所ルース・レンデル、と言いたくなるような巧みな心理描写で最後まで読みごたえのある一編です。
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