「くだらなかったって笑い飛ばせるような、楽しい旅がしたいんだ」|葬送のフリーレン
魔王を倒したあとのフリーレンの冒険には、特別な目的がない。
フェルン、シュタルクと共に各地を巡りながら
彼女はひたすらに、魔法を収集する。
『葬送のフリーレン』の世界における魔法の主な役割は
魔族と戦うための武器だ。
しかしフリーレンが収集する魔法は、
生活を少し楽にするような、人を笑顔にするような
ささやかなものばかりだ。
そしてフリーレンは、そんな魔法を追い求めること自体を
「楽しむ」ことを大切にしている。
フリーレンのこの姿勢は、とても示唆深い。
人生において大切なのは、
目標を達成することではない。
結果を残すことですらない。
人生を、楽しむことなんだ。
そんなことを、言われている気がするのだ。
『葬送のフリーレン』には
彼女のこの信条を印象付けるシーンが、
繰り返し出てくる。
S1E21『魔法の世界』では、宮廷魔法使いのデンケンが
一級魔法使いの試験を合格したら
与えられる特権(=望む魔法を一つ授けられる)について言及する際、
「特権など、くだらん」と切り捨てる。
そして以下のように言う。
魔法というものは、探し求めている時が、いちばん楽しい。
それだけだ。
これに対してフリーレンは
「魔法使いは、そうでなくちゃ」と答える。
実際、フリーレン自身もS1E21『魔法の世界』で
この時のデンケンとほぼ同じことを言う。
(S1E21「魔法は、探し求めている時がいちばん楽しいんだよ」)
またフリーレンの魔法収集に対する姿勢は
勇者ヒンメルの冒険に対するそれと重なる。
ヒンメルもまた、魔王討伐という目標を
ただ達成したいだけではない。
目標達成に向かう長く危険な旅路を、
楽しみたい、と思っている。
S1E6『村の英雄』では、フリーレンが魔法を使って
ふわふわのかき氷を作る回想シーンが出てくる。
喜ぶハイターを眺めながら、
アイゼンは「くだらない」と呟く。
生きて帰れるかどうかもわからない、
危険な旅路にいるというのに、
こんなことをしていて良いのかと、アイゼンは問う。
それにヒンメルは、こう答える。
アイゼンは、辛く苦しい旅がしたいのかい。
ぼくはね、終わった後に
くだらなかったって笑い飛ばせるような、楽しい旅がしたいんだ。
ヒンメルやフリーレンの、こういった「生きることを楽しむ」姿勢は、
フェルンにも受け継がれていく。
第1期の最終話(S1E28)『また会ったときに恥ずかしいからね』で
フェルンが一級魔法使いの選抜試験を合格し
ゼーリエから特権としてもらった魔法は
「服の汚れをきれいサッパリ落とす魔法」だ。
権威も、強い力も感じさせない。
でも人を笑顔にできる、ささやかな魔法。
新しく手に入れた魔法で
きれいになった服を誇らしげに見せる
フェルンの頭を撫でながら、
フリーレンは言う。
でかしたフェルン。それでこそ、私の弟子だ。
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