「魔法は、誇り高いものでもなんでもない」|葬送のフリーレン
「魔法」という言葉は、すべてを一手に解決できるような
万能な力を想起させる。
しかし『葬送のフリーレン』における魔法は、
万能からはほど遠い。
細分化された用途に合わせ、個別に魔導書を読んで学び
自身のスキルと組み合わせることで
初めて手に入れることができる「実現する力」に過ぎない。
その工程や成果物を
具体的にイメージできないものは、実現することはできない。
(参考記事は以下)
そして魔法は、それ自体には善も悪もない。
使う者やその意図によって、どちらにもなりえるものだ。
だからこそ、常に危うさを伴う。
S1E19『入念な計画』以降、
魔法の危うさや権威性について
繰り返し言及される。
宮廷魔法使いのデンケンとリヒターが
大陸魔法協会について話をするシーンがある。
大陸魔法協会が求める一級魔法使いとは、
魔王軍と戦っていた時代の
「強く誇り高い」魔法使いだと、リヒターが言う。
デンケンは「時代遅れも、はなはだしい」と言い、
以下のセリフを言い放つ。
魔法は、誇り高いものでもなんでもない。
フリーレンの世界の中で権威側の立場にいる
宮廷魔法使いデンケンの口から
この言葉が発せられることが、意義深い。
「政敵を殺したことだって一度や二度ではない」
とも評される宮廷魔法使いだからこそ、
デンケンは、自身の経験を持って言えるのだ。
魔法自体を「強く誇り高い」と崇めることはくだらない、と。
それでは、魔族と変わらないからだ。
魔族は、自身の魔力・魔法に対する誇りや欺瞞によって
身を滅ぼしていく、というのは、
以前にも書いたとおりだ。
国すらも動かすことができる
宮廷魔法使いという立場にあるデンケンが
魔法を「誇り高いものでもなんでもない」評する言葉。
これは、有象無象の魔法使いが集まり、
「一級魔法使い」という権威を求めて戦う試験の中だからこそ、
より鋭く、その皮肉な構造を際立たせる。
履き違えるな、見誤るな、と言われている気がする。
そしてS1E20『魔法の世界』でも、デンケンは言う。
「一級魔法使いに、人死にの価値があるとは思えない」と。
それに、フリーレンも答えるのだ。
一級魔法使いなんて、ただの称号だ。
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